ハードディスクの整理をしていたら次のような画像が出てきた。その作成目的及び用途については遥か記憶の彼方にあり、しばしのあいだ悩む。作成日は二年前の夏。
梅雨の長引いた暑い夏だった。今夏は至上の暑さと言われているけれども、小生自身はあの夏に適う暑さはなかったと断言する。アスファルトに反射する太陽熱には意識朦朧となり、歪む視界は陽炎か、目の霞みか。
結局、全て野宿で通した。大路の横にゴロリと寝たこともあった。羞恥心を感ずるよりも休息を取ることが専行された。テントはあえて持っていかなかった。
疲労がピークに達すると、逆に眠れなくなる。疲労を乗りきる為に上げたテンションは夜半過ぎまで持続し、肉体はヨレヨレながらも精神は爛々と輝きつづけた。
もっとも辛かったのは、蚊の存在だった。どこからともなく集団で飛来しては、一時の安眠を妨げてくれた。
最初の一週間は思考錯誤が続いた。寝袋に包まっては暑さに悶え、寝袋を蹴飛ばしては蚊の攻撃にさらされた。靴を履いたまま寝れば蚊にはさされないが、疲れが取れない。強烈な蚊になるとジーンズ生地の上からでも刺してくる。重要なのは生地の丈夫さではなく、生地の厚さなのだ。それが二枚重ねになると頑丈な防御壁ともなり得る。生地と生地の間に空気層をいれれば、涼しい上に厚みがでる。
そんなわけで、上記画像に近い格好で九州各地を浮浪したことを思い出した。寝ている最中に突然警察官の懐中電灯の光りを浴びせられ、叩き起こされ、職務質問を受けたことは数多く、その度に腹を立てていたが、今考えればもっともなことだと思う。
警官は大抵2人組だった。おれが逆の立場だったら、怖くて近寄れない。
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