隊長の戯言


 
2003/12/23 (火)

 骨酒用の酒と岩魚を手に入れた。酒は世界遺産にも指定されている五箇山合掌集落の地酒「こきりこ」である。わしが買ってしまうぐらいの酒だから、無論値段は安い。
 これは竹筒で飲まにゃバチがあたる。幸いにも近所には市所有の竹林があるので、福岡市から竹を頂くことにした。
 しかし、なにぶん年末の忙しい時期である。わしのような下々の者がお役所様のお手てを煩わせては恐縮至極であるので、報告することなしに竹を貰うことにした。言い方を変えれば、こっそり盗んだ、ともいう。

 竹筒の細工が楽しい。ジョナサン・リヴィングストンを彫ってみたが、いざ出来あがればそれはカモメというよりもアホウドリといった感がある。なに、彫ってる本人が楽しけりゃそれでいいのだ。まして贅沢な酒を飲むに金は要らない。

 
 十年来の友人からビジネスプランを提案された。友人同士の企業運営には、設立・衝突・分解が付き物だが、この次元からは遥かに超越、もしくは脱線したもので意外にも感心させられる。
 ところで、こんな条件を叩きつけやがった。
 ・永久に就職しないこと
 ・当ビジネスに関してはタダ働きが基本
 ・定期的に自腹を切って貧乏旅をすること
 ・金かけるのは禁止、当然援助もしない
 ・出来るだけトラブルに出会うこと
 ・場合によっては秘境・危険地域にも赴くこと
 
 なんだって。こんなムチャな条件を飲むわけない、というのが一般的常識的な見解であるような気がしないわけでもないが、こんな素晴らしい条件があるものか。
 のった。即答。


2003/12/18 (木)

 ロバート・ジョンソンの全曲が収録されたCDを知人から借りた。以前より聞きたくてたまらなかった作品なので、すごく嬉しい。和訳が致命的な間違いばかり犯している点を除けば。
 例えば名曲「Malted Milk」の歌詞はこうなっている。
 
 『麦芽ミルク』

 麦芽ミルクを飲み続けてる
 滅入った気持ちを追い払うため
 麦芽ミルクを飲み続けている

 麦芽ミルクがおれの頭にのぼってく
 変な気持ちになって、狂った頭でしゃべってる

 
 頭に上って気が狂うミルクって何なのでありますか。Malted Milkってのは、ビールのことだ。ブルーズにおける隠語である。この和訳は大変マヌケだが、少し可愛い。
 
 わしが中洲で働いていた時、「スプーン・○○」という店から出前の注文を受けた。「スプーン・○○」もブルーズの隠語でよく使われる単語であって、わしはムチャクチャ渋い酒場を想起して喜び勇んで食い物を届けに行ったのである。ところがどっこい「スプーン・○○」は下品な装飾が一面に照り輝き、ケバい姉さん方がたくさんいるタダの「酒のみ場所」だった。あんなものは酒場とは言わない。小生、がっくりきた。
 スプーン・フルは「ちんぽこ」という意味だ。ちんぽこで働く姉ちゃんに、ちんぽこで飲むサラリーマン。90%はスプーン・○○の真意を知らないと思われる。

 インドのバラナシで、アメリカ人バックパッカーと意気投合したことがある。音楽の趣味がとことんあったから、毎日ガンジス川を見ながらセッションした。その時、よく歌ったのがマディ・ウォーターズの「Hoochie coochie man」だ。ブルーズはリズムが短調で、一定のコードの繰り返しが続くので、替え歌も作り易い。その時作った「ガンジス・リバー」の歌詞は今でも覚えている。
 当時は「Hoochie coochie man」の意味が分からないまま、マリファナを廻し飲みしながらガンジス川に向かって大声で「Hoochie coochie man!」と叫んでいたのであるが、その後ふとした機会でその意味を知った。
 
 わしは異国の聖地で、「精力絶倫チンポコ!! ヤリマンマ○コ!!」と一生懸命叫んでいたのである。


2003/12/18 (木)

 なんでも「呆食」というらしい。飽食を皮肉った上での阿呆の「呆」、惚けるの「呆」ということか。
 今日の新聞(12月18日付.西日本新聞)の一面にとある写真が載っていた。
 


 ※上記の画像は、ネジをスキャンしたくてしたくてたまらなくなる衝動に唐突に襲われて思わずスキャンしてしまったもので、背景の新聞画像はスキャン機器を痛めないためにクッションとして使用したものです。西日本新聞は著作権侵害で訴えないように。メインは「ネジ」で、「新聞」はただの背景です。

 んで写真を見れば…じゃなかった、記事を読めば表題は『ある女学生の食事』。朝食には御飯、ミソ汁、ゴボウと牛肉の炒め物、昼メシはコンビニおにぎり、晩飯にうどん…となっている。
 記事の内容はお決まりの、外食ジャンクフード食う若者は野菜不足でコッソショウ症の足りないカルシウムたいへんたいへん、というヤツだ。
 しかしなんだ、豪勢とは言わないまでも立派なメシを食っておるじゃないか。わしにとっちゃァ、ご馳走だぞ。でもホントにこんな食事を毎日食っているのだとしたら、わしは相当に親近感が湧く。ぜひオトモダチになりたいものだ。

 面白いのは、このような「呆食」生活を続けている学生に「なぜこんな食事をするのか?」と尋ねると、「ただ何となく食っている」との答えが返ってくるのが大半だそうだ。実家に帰れば山ほど食える、買おうと思えば大抵のご馳走は手に入るといった飽食状況を超越するとこの呆食状況になるのだろう。呆食の定義は「栄養バランスを考えず、好きなものを食べること」とある。

 畜生、そうだったのか。お仲間がたくさんいるのかと思ってわしは嬉しくなったのだけれども、それはどうも違ったようだ。わしの食事の定義は「栄養バランスを考えず、スーパーの見切り品を食べること」じゃないか。背景からして根本的に違うらしい。畜生。

 さしずめわしの場合は「乏食」だ。つまり貧乏の「乏」である。一袋33円のラーメンはすごくおいしい。


2003/12/17 (水)

 サバイバルな冬である。誠に寒ィ。気を抜くと凍死しそうだ。
 
 前月の末に湯沸しポットが壊れた。拙宅にはヤカンがないので、フライパンで湯を沸かして茶を飲んでいる。仕方ない。
 
 先日、ベッド(高さ1.5メートル)の柵が崩壊した。おかげで夜が非常に辛い。この柵は布団の落下防止という役目も兼ねているので、この柵がなくなった今では薄い毛布一枚しか使えない。仕方ないからガチガチに着込んだ上で寝袋に包まって寝ることにしている。
 
 石油ストーブが今月初めに壊れた。使用年数は二十年近くなる骨董品なのでごまかしながら、使ってきたのだけれども、今年ついに天寿をまっとうされた。仕方ないので、腕立て伏せをして体を温めている。

 どうせ石油も買えないのだ。仕方ない。
 
 湯沸し機も壊れた。冷水で顔を洗うのは、寝起き一番に味わう拷問だ。死んだ祖父が違法にガス管引っ張ってきて設置したものなので、業者からは修理を拒否される始末。仕方がないので、顔を洗うことを止めている。

 続けざまに給湯器も壊れた。ありとあるゆるお湯は出なくなったので、シャワーは当然使えない。風呂を沸かすにも苦労する。米を研ぐのがなにより辛い。仕方ないので箸で米を研いでいる。

 





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