7月2日第501回OEK定期公演PH

7月2日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第501回定期公演PH
指揮:リオ・クオクマン、チェロ:鳥羽咲音
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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「若き才能・鳥羽咲音を迎えた夏の夜、ボッケリーニとアジアの俊英リオ・クオクマンが描く音楽世界」と題するオ−ケストラ・ アンサンブル金沢(OEK)第501回OEK定期公演PH。珍しいボッケリーニ:チェロ協奏曲及びベートーヴェン:交 響曲第3番《英雄》に期待して、石川県立音楽堂コンサートホールへ向かった。

   プレトーク、ロビー・コンサートは無し。

 コンサート1曲目は、ベートーヴェン:劇付随音楽《エグモンド》序曲。OEK弦楽5部は8-6-4-4-3の対向配置。Hrは4本。イントロは、Sostenuto ma non troppo(堅苦しく、過度に過ぎず)で、ファ(F) フェルマータで開始。このフェルマータの間の取り方が指揮者の手腕。続いて、ラ(♭)ラ(♭)ッラ(♭)シ(♭)ドと何かの予感。プログラムに因ればエグモンドは16世紀スペイン支配下のオラン ダの実在人物。圧政に抗し、市民の自由を訴え、反逆罪で捕らえられ、死刑を宣告されたとのこと。ここで、OEKはフィルハーモニー級の最高音量を発揮。中間部ではAllegroにテンポを変更。シ(♭) ドシ(♭)ラ(♭)ソソ、Obソロが続き、英雄の高邁な精神を称え、戦士の勝利を予感させて終了。体を大きく使ってのマカオ生まれのマエストロ・クオクマンによる指揮がOEKを奮い立たせた一曲で あった。

 コンサート2曲目は、ボッケリーニ:チェロ協奏曲第9番G.482(原典版)。ボッケリーニ(1743-1805)はベートーヴェン(1770-1827)より若く、モーツァルト(1756-1791)とほぼ同年代の古典派時代 のイタリアを代表する作曲家でありチェリストである。私はパブロ・カザルス(Pablo Casals )が演奏するボッケリーニのチェロ協奏曲G.482を持っている。さて、OEKの弦楽5部は6-6-4-4-2、木・金管 はHr2のみ。OEK室内オーケストラ版である。第1楽章Allegro moderatoのイントロは、OEKとVcソリスト鳥羽咲音(とばさくら)さんが序奏無しで、同時に開始。曲は、ソナタ形式で重音奏法やアルペジオ等の華 やかなVcソロテクニックが駆使される。再現部後のカデンツァは、原典版を校訂したグリュッツマッハーによるものが一般的とのことだが、彼女はグリュッツマッハー版を使用したかは不明。第2楽章 adagio non troppoは、Vcが哀愁を帯びた美しい旋律を歌い続けて終了。第3楽章Rondo(Allegro)は、ロンド形式でタッタタラと軽快で主要主題を軸にして組み立てられる。VcソロとOEKの対話も あり、高音から休止を経てカデンツァ。これはカザルスによるものが多く用いられるようになったそうだが、これも不明。アンコールはカザルス《鳥の歌》。カタルーニャ民謡《鳥の歌》は、1971年カザ ルスが国際連合本部で演奏した平和を求める曲。この曲を鳥羽さんはカザルスに勝るとも劣らない絶品の演奏を披露した。

 休憩を挟んで3曲目はベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》。OEK弦楽5部は8-6-4-4-3、Hr3。第1楽章Allegro con brioはtuttiで叩きつけるような変ホ長調の和音で開始。続いて、Vcがミ(♭)−ソ ミ(♭)−シ(♭)ミ(♭)ソシ(♭)ミ(♭)の主題を演奏。第2主題から第5主題と5つの主題をまんべんな使って、ソナタ形式の枠拡大した第1楽章は終了。OEKの音量は《エグモンド》より落ちてい る。第2楽章はMarcia funebre, Adagio assai(葬送行進曲、大いにゆっくりと)。ソッソソードシ(?)ドッレミ(♭)−ドとsotto voceで開始。Obソロが加わり綺麗。中間部ではffからppへの急降下 を、マエストロ・クオクマンは指示。これまでのOEKではppへの降下をせずそのまま進行する例があったが、今回はきっちりとppへ移行したのは立派。第3楽章Scherzo. Allegro vivace - Trioは、リズミ カルなスケルツオ。Trioでは3本のHrが素晴らしいファンファーレ。Eh(イングリッシュホルン)的ユニゾンは、プログラムにある決然と戦闘の合図を告げた。第4楽章Finale. Allegro molto - poco Andante - Prestoは、バレー音楽《プロメテウスの創造物》終曲からの転用とのこと。この為であろうか、中間部pの箇所で違和感。もし、他ホールで再演する場合は修正しなければ ならない所であろうが、勇壮な集結部でしめくくられ終了。マエストロ・クオクマンによるメリハリの聞いた《エロイカ》であった。

 本日のプログラム《エグモンド》はHr4でフィルハーモニー、チェロ協奏曲はHr2で室内楽、《エロイカ》はHr3でベートーヴェンの交響曲を演奏する交響楽団となった訳だが、音量はHrの本数で決まるこ とを理解できた。前回書いたように、音響が良すぎる県立音楽堂コンサートホールでの演奏会。Hrの本数とホールのバランスを考慮したプログラムが益々期待されるのである。 


Last updated on Jul. 02, 2026.
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