1月30日OEK特別定期公演Vol.3

1月30日オ−ケストラ・アンサンブル金沢特別定期公演Vol.3
指揮:吉ア理乃、ピアノ:アレクサンドル・メルニコフ、
トランペット:イエルー・ベルワルツ、石川県立音楽堂邦楽ホール

酢谷琢磨

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 「ハイドン・ショスタコービィチの協奏曲」と題するオ−ケストラ・アンサンブル 金沢(OEK)特別定期公演。マエストロ吉ア理乃が如何にショスタコービィチの協奏曲を指揮するかに期待して、石川県立音楽堂コンサートホールがパイプオルガンの分解点検修理のための石川県立音楽堂邦楽ホールへ向かった。

   プレトーク、ロビー・コンサートは無かったようだ。

 コンサート1曲目は、プロコフィエフ:交響曲第1番《古典》。OEK弦楽5部は8-6-4-4-2通常配置。従って、Vcは舞台向かって右前。コン・マスはヤングさんが復帰。第1楽章Allegroはプログ ラムにある飛び出すような第1主題の後。Fgによる通奏低音を交え小刻みに進行。マエストロ吉ア理乃はテキパキと軽快に指揮。第2楽章Larghettoは、弦が綺麗な高音を奏でる。ここでもFgは 存在感十分。第3楽章Gavotta(Non troppo allegro)は、ターララタラララと、メヌエットに変わって古典舞曲のガボット。第4楽章Molt Vivaceは切れ味鋭く、明るい未来を望むように早いター ララタラララで突っ走しり、終了。コンサートホールよりは小さな邦楽ホールだけあって、舞台が近くなり、音量も雄大、臨場感が素晴らしい。

 2曲目はショスタコービィチ:ピアノ協奏曲第1番。弦五部、アレクサンドル・メルニコフさんの独奏Pfとイエルー・ベルワルツさんの独奏Tp。第1楽章Allegro moderatoはCD解説によるソナタ形 式の応用。独奏Pfが曲の開始を告げ、タララの第1主題。Fgの通奏低音が第1主題を支える。独奏Tpが加わり華やか。スピードを上げPfとTpのDuo。伸びやかなターンタララララララとTpのソロで終了。 第2楽章Lentは抒情的で緩やかなワルツ。弦が綺麗。第3楽章ModeratoはPfのアルペジオにより開始する短い荘厳な間奏曲。Attaccaで第4楽章Allegro brioはPfのfffにTpがこれもffでタタタタタータ と快活で熱狂的なロンド風。ベートーヴェンの《ロンド・カプリチオ》、ハイドンのニ長調のソナタからの引用もあリ、Tpの8連符で終了。途中ホールが小さすぎ音量過多になる箇所もあったが、 全体的には雄大で熱狂的な協奏曲に仕上がった。

 休憩を挟んで、3曲目はハイドン:トランペット協奏曲。第1楽章Allegroは短い序奏のあとTpによる伸びやかなターンタラララで開始。終了前Tpによるカデンツア。イエルー・ベルワルツさんの テクニックが冴え渡り終了。第2楽章Andanteはプログラムによる歌うようなメロディー。第3楽章Finale: Allegroは再びAllegroに戻り、Tpの快走。ハイドン得意の一旦停止後、上機嫌で終了。

 4曲目はショスタコービィチ:ピアノ協奏曲第2番。今度は独奏Pfとフル編成のOEKにHr2と小太鼓が加わる。なんと発想標語は前曲ハイドン:トランペット協奏曲と同じで、第1楽章Allegroは、Fgによ るおどけたテーマで開始。続いて独奏Pfが行進曲風の主題を演奏。「少年の無邪気さ」だそうだ。第2楽章Andanteはサラバンド風の抒情的楽章。哀愁を帯びて開始。Pfのアルペジオが続き、弦は物悲しい。 トントントンとAttaccaで第3楽章はAllegro。Pfが走り回り、メルニコフさんの独壇場。彼の技術は重量級で、しかも高度な技術も持ち合わせる名ピアニストである。ハノンのピアノ練習曲も引用され、 穏やかな曲想で終了した。アンコールはベルワルツさんが再登場し、メルニコフさんとのDuo。ヒンデミット:トランペットとピアノのためのソナタより第3楽章。興奮を抑えるかの如き選曲で、余韻 を残して終了。

 私は、OEKが室内オーケストラから準フィルハーモニーに転換する機転に成ったのが、井上道義による《画家マチス》だったと思っている。それ以来OEKは更に成長を続けているのだが、ホールのバ ランスを考慮した適切な楽団員数の設定が未解決だ。即ち、今回の邦楽ホールでは大き過ぎ、コンサートホールでは小さ過ぎるのである。結論は、OEKの名称はそのままにして、弦楽部門を増員し、曲 とホールに合わせて適切な団員数で演奏するべき時が来たと思われる。 


Last updated on Jan. 30, 2026.
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