10月04日OEK第497回定期公演ME

10月04日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第497回定期公演ME
指揮:川瀬賢太郎、ソプラノ:種谷典子、フル−ト:マトヴェイ・デミン、ハープ:高野麗音
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 「川瀬&OEK マーラー第4番」と題するオ−ケストラ・アンサンブル 金沢(OEK)第497回定期公演ME。OEKのマーラー初挑戦に期待して石川県立音楽堂に向 かった。

   ロビーコンサ−ト及びプレトークは無かったようだ。

 コンサート1曲目は、パリのド・ギーヌ侯爵はアマチュアながら優れたFl奏者で令嬢は巧みにHpを弾くとのことで、父娘のためにロココ風協奏曲を書き上げたモーツァルト:フルートとハープのための協奏曲。 OEKは8-6-4-4-2の対向配置。第1楽章Allegroは、二つの提示部を持つソナタ形式。ターンタタタタの序奏の後これもターンタタタタのFlとHpのDuoが開始。HpのアルペジオにFlが熱演。Fl奏者のマトヴェイ・デミン さんは体を使ったテクニシャン奏法。終了前のカデンツァはHpが先行、Flが協奏して終了。第2楽章Andantinoはタンタンタンタータタと荘重な序奏。中間部ではHpソロ。モーツァルトはFlとHpのバランスを考慮して作曲 していえることが良く分かる。繊細優美に終了。Attaccaぎみに第3楽章Rondeau. Allegroはタタタタララララで開始。モーツァルトは協奏曲3楽章序奏に分かり易く変化をつけている。モーツァルトが好まれる理由 であろう。第1楽章の主題も回想し、フィナーレは躍動的ロンドでこれも分かり易く終了。アンコールはFlとHpのDuoによるイベール:間奏曲。イベールはフランスの作曲家でフルート協奏曲等を書いているそうだ。
 休憩を挟んで、2曲目はマーラ−:交響曲第4番。OEKは大編成。弦楽5部は10-8-6-6-4。fl4、Hr4、Tp3、打楽器奏者多数の故岩城宏之マエストロに振らせてみたい布陣。第1楽章Bedachtig. Nicht ellen. Recht gemachlichは、「子供の不思議な角笛」のシャンシャンシャンシャンで開始。それなり知識を有する聴衆を想定して書かれているが、革新性が薄れた交響曲とのこと。革新性が薄れたとはいえモーツァルトと比較す ると革新的で分かりにくい。Vnの主題は綺麗だが、中間部では正にfffも挿入されたChaos。これがAttractorとなり長い、そしてやや遠慮気味に指揮したマエストロ川瀬賢太郎による第1楽章は終了。第2楽章In gemachlicher Bewegung. Ohne Hastは、。中間部で絃によるppp。これが凄かった。リハーサル終了後Xでマエストが書いていた「OEKでなければ出ない音」なのである。短くトゥトゥトゥトゥチューレで終了。第3楽章 はRuhevohll(Poco adagio)。「ゆるやかに、安らぎに満ちて」は天上の音楽で開始。Hr及びObが歌う。Timpのfffでの一瞬壮大。さすがこの布陣による大音量。Cym(シンバル)が第4楽章への移行を告げ、pに デクレッシェンド。この間ソプラノ:種谷典子さんが静かに入場。曲はAttaccaで第4楽章Sehr behaglic(非常に快適に)。「子供の不思議な角笛」からの"Wir geniessen die himmlischen Freuden(天上の楽し い生活)"を歌う。最初はやや緊張気味のソプラノ:種谷典子さんも徐々に本領を発揮。"Kein musik ist ja nicht auf Erden(はい、我らの音楽と比べられるものは、地上にはないのだ)"と天上の音楽を称賛し、最後 は、"Die englischen Stimmen ermuntern die Sinnen! Dass allees fur Freuden erwacht".つまり、「天使たちの歌声が 気持ちをほがらかにさせ、すべてが喜びに目ざめる」で締めくくる。マーラーの自賛であろ うか。アンコールは無し。

さて、OEK初挑戦のマーラーだが、大編成になるとどうしても重く、テンポが遅くなってしまう。これ矯正するには、指揮者のオーケストラへの叱咤強制が必要。この点についてはマエストロ川瀬は遠慮がちで終始 してしまったのは残念であった。今後OEKによる大編成版曲目をプログラム組むときの指揮者には、遠慮せずは走るところは突っ走る演奏が聴きたいものである。勿論走り過ぎも困るのだが。尚、マーラ−:交響曲第4 番第4楽章で歌われる歌曲の歌詞字幕が提示されなかったし、プログラムにも歌詞が書かれていなかったのは残念。せめてプログラムには提示すべきであった。


Last updated on Oct. 04, 2025.
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