1月8日OEK第449回定期公演PH

1月7日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第462回定期公演PHニューイャーコンサート2023
指揮:川瀬賢太郎、チェロ:宮田大
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 オ−ケストラ・アンサンブル金沢の2023ニューイャーコンサート。聞いたことの無いリゲティ:ルーマニア協奏曲とペーター・チャイコフスキー:《ロココ風の主 題による変奏曲》が石川県立音楽堂にて演奏される。

   プレ・コンサート。
 コンサート1曲目はリゲティ:ルーマニア協奏曲。第1楽章Andantino。第2楽章Allegro vivace。第3楽章Adagio ma non troppo。第4楽章はMolto vivace - Presto。

 2曲目は、私の持っているCDでは「チェロの多彩な技巧と深い内面感情が変奏曲の形でみごとに表された傑作である」と書かれているペーター・チャイコフスキー:《ロココ風の主題による変奏曲》。かの有名なチャイコフスキーは、ピョー トル・イリイチ・チャイコフスキーであり、PyotrはPeterに等しく、 ペーター・チャイコフスキーは別人ではない。序奏はModerato quasi Andante。主題はModerato semplice。第1変奏Tempo del Tema。第2変奏Tempo del Tema。第3変奏 Andante sostenuto。第4変奏Andante grazioso。第5変奏Allegro moderato。第6変奏Andante。第7変奏Allegro vivo。

 実は、2023ニューイャーコンサートをすっかり忘れていた。スマホ充電が終わり、電源ONで予定が現れ、気が付いた。着替えて、車で金沢駅に向かい、中橋のコイン駐車場に止め、音楽堂についたのは14:30頃。2階席に向かうと2曲目が もう終わる頃と知らされる。少し待つと拍手が聞こえる。係員から入っても良いとのことで、《ロココ風の主題による変奏曲》が終了し、拍手喝采の2階席に入場出来た。アンコールはストラディヴァリウス"Cholmondeley"を使用するVcソリスト 宮崎大さんによるブラジルバッハ風でもあり、フラメンコ風でもある独奏曲。以前はホール出口で、又はTwitterでアンコール曲の紹介があったのだが、最近はなしのつぶて。従って曲名は不明である。ピッチカートで開始し、中間部ではVc の胴をドラム代わりにたたき、フィナーレは弓を使い抒情的に終わる現代風のアンコール曲であった。

 休憩を挟んで、3曲目はご存知緩徐楽章を持たないベートーヴェン:交響曲第8番。OEK弦楽5部は8-6-4-4-3の対向配置。Cbは舞台向かって右、Hr3、Tp2の布陣。第1楽章はAllegro vivace e con brio。イントロをマエストロ川瀬賢太郎は 丸く円を描くように指揮。即ち、ABBADO等指揮によるCDを聞くと最速で開始するのだが、今回は円やかに開始。Fgがリードし、室内オーケストラとは思えない、しっかりしたベートーヴェン。fffも素晴らしく、タ・タラララと静かに終了。第2楽 章はAllegretto scherzando。伊語scherzoは「諧謔」、scherzandoは「諧謔風に」。従って、全てが諧謔ではなく、時計を刻むようなイントロ。ffで終了。第3楽章はTempo di Menuetto。マエストロ川瀬は背を屈めてppに落とすところの指示も板 に付いてきた。しかし、海外ではffからppと極端な指揮もある。そこまで行かなくて、もう少しきっちりとffとpの指示を出しても良かったのではと思われた。Tpの咆哮、Hrのユニゾンも綺麗に決まった。但し、中間部でpのHrに続き、pでのTpの 箇所が不明瞭。修正すべき点だ。一旦停止の後第3楽章主題に戻り終了。第4楽章Allegro vivaceは、序奏の後fffで快走。中間部のpは良くコントロ−ルされて小気味よい。一旦停止停止後Hrのユニゾンは綺麗。フィナーレは迫力の演奏で 終了。快演であった。

 アンコールはヨハン・シュトラウス2世とヨーゼフ・シュトラウス兄弟の合作による:《ピッチカ−トポルカ》。弦楽のみで綺麗なポルカ。2曲目はチャイコフスキー:《ワルツ》。チャイコフスキーには《花のワルツ》等ワルツが沢山あるのだが、この 曲は多分《弦楽セレナーデ》第2楽章《ワルツ》だったと思われる。さて、ニューイャーコンサートに遅刻し、聞いたことの無いリゲティ:ルーマニア協奏曲と私も好きなペーター・チャイコフスキー:《ロココ風の主題による変奏曲》を聞き逃した のは残念至極。今後のコンサートに遅れないように注意したい。尚、今回の2023ニューイャーコンサートの選曲は、マエストロ川瀬流にウィーン風から脱却したコンサートであった。ニューイャーコンサートには《美しく青きドナウ》《ラデ「ッキー 行進曲》を演奏しなければならないという規則はない。OEKに見合ったニューイャーコンサートを演出したマエストロ川瀬を称えたい。帰りに恒例の金沢市増泉(有)茶菓工房たろう製「どら焼き」を頂いた。「NEW YEAR CONCERT 2023」とあり 今年は抹茶餡の逸品であった。ごちそう様でした。


Last updated on Jan. 07, 2023.
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