5月5日いしかわ・金沢風と緑の楽都音楽祭2022A33

5月5日いしかわ・金沢風と緑の楽都音楽祭2022A33
ピアノ:小山実稚恵、ヴァイオリン:アビゲイル・ヤング・江原千絵、
ヴィオラ:古宮山由里、チェロ: ルドヴィート・カンタ
金沢アートホール

酢谷琢磨

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 いしかわ・金沢風と緑の楽都音楽祭2022で、オ−ケストラ・アンサンブル金沢 団員による室内楽。小山実稚恵さんのPfソロ及びPf五重奏曲に期待して金沢アートホールへ出掛けた。

 コンサート1曲目は小山実稚恵さんのPfソロで、シューベルト:即興曲第2番変イ長調。小山実稚恵さんエンジ色の上品なドレスで登場。聞いたことがある様なタンタタンタで始まり、私の持っているCDの解説によれば古典舞曲のメヌエット風。fで弾いてppで繰り返す。同じメロディーな のだが強さによって、違うメロディーに感じるのは、小山さんの腕の見せ所。中間部は望郷歌か。アルペジオを挟み主題に戻って終了。
 コンサート2曲目はシューベルト:即興曲第2番変ホ長調。同じ第2番だが、今度は、変ホ長調。主音が低いA♭からE♭に上昇。流麗に下行と上行を繰り返す3連符による主題。流れるように開始する。小山実稚恵さんのテクニックが十分発揮される場面。やはり高音が主となる所為 かダイナミック。力強い舞曲風のリズムを持ったアルペジオが綺麗。高揚裡決然と終了。調の変化について、余り感じられなかったのは、私の聞く耳の感度不良であろう。
 コンサート3曲目はシューベルト:即興曲第3番変ト長調。今度は更に上昇し主音がG♭。この曲も聴いたことがあるような曲。ロマン的な響きの上に、抒情美に満ちた旋律。追憶しているように感じる。3曲連続演奏だったのだが、以後ロマン派の典型となる即興曲は終了した。

 コンサート4曲目はシューマン:ピアノ五重奏曲変ホ長調。第1楽章Allegro brillanteはOEKメンバーにPf小山実稚恵さんも加わる五重奏曲。ヤングさんは健在、カンタさんのVcは綺麗なソロを展開し、Vaもよく響き、文字通り力強く輝かしい主題と、私の持っているCDの解説にある軟らかく優雅な第 2主題が展開される。第2楽章In mpodo d'una Marcia. Un poco largament-AgitatoはPfで開始。行進曲のモードでの葬送行進曲である。最初はハ短調だが最後はハ長調で終了。第3楽章Scherzo: Molto vivaceは力感溢れるスケルツォ。ヤングさんのVnソロが綺麗。第4楽章Allegro ma non troppoは、解説によれば「全曲の頂点を築くように壮大な力強い終楽章」。第2Vnのソロもあり、最後は壮麗なフーガで終了。私は四重奏曲をよく聴いていたのだが、Pfが加わると華麗に感じられるのに気が付いた。この原因としては、Vn、Va、Vcによる弦楽器のみによる四重奏より 打楽器としてのPfが加わることで一層厚みが増すと考えられるからである。

 時間制限でアンコールは無し。しかし、小山さんとOEK団員によるレベルの高い五重奏を聞けたのは僥倖であった。


Last updated on May 05, 2022.
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