3月17日OEK第453回定期公演PH

3月17日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第453回定期公演PH
指揮:川瀬賢太郎、ピアノ:亀井聖矢
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 マエストロ川瀬賢太郎が振る「金沢から未来へ」と題するオ−ケストラ・アンサンブル金沢 の定期公演。若きマエストロ川瀬賢太郎とピアノ・ソロ亀井聖矢がショパンとメンデルスゾーンを演奏する。杉山洋一:《揺籃歌(自画像U)−オーケストラのための》にも期待して石川県立音楽堂へ出掛けた。

   西金発18:08の電車に乗り遅れ、18:33の電車で金沢駅に向かった。18:45頃頃石川県立音楽堂に到着。従って、明確ではないのだが、ロビー・コンサートは行われなかったようだ。
 コンサート1曲目は杉山洋一:《揺籃歌(自画像U)−オーケストラのための》。OEK弦楽5部は8-6-4-4-3の対向配置、Hrは4人。揺籃とは「ゆりかご」。即ち、英語で "Rock a Bye Baby"、「ねんね、赤ん坊を揺する」、ポルトガル語で "Se Essa Rua-Fosse Minha"、 「この通りが私のものだったら」。要するに子守歌なのであろう。不思議な和音で開始。Hrソロ、Obソロがあり、段々と和音が綺麗になっていく。CodaはTpソロ、更にClソロが挿入され、やや高揚の後Cbの低音で静かに終了。コロナ感染症のこわさと犠牲者への 哀悼を表現した曲とのこと。尚、今頃初めて気づいたのだが"bye - bye" は「ねんね」の意味。従って、大人同士では "bye" は一回で良い訳。
 コンサート2曲目は現在桐朋学園大学3年在学中の亀井聖矢君を迎えてのショパン:ピアノ協奏曲第1番。若々しいコンビの協演だ。OEKはTbが加わり、Cbは二人。第1楽章Allegro maestosoは、綺麗な少々長い序奏の後亀井聖矢君のPf開始。ブーニンと違って穏やかで高 音が綺麗な演奏だ。正にピアノの詩人。Hrのソロあり、FgとのDuoも効果的。Timpの一打にて終了。5年に一度のショパンコンクールを見ているようだ。第2楽章はRomance. Larghetto。プログラムにある「美しい春の月明かりを浴びる瞑想」の音楽。1回目のタリララン、 2回目のタリラランの後pで静かに終了。Attaccaぎみに第3楽章Rondo. Vivaceは、一転して快活。ポーランド民謡であろうか、Tpも加わり、亀井君も熱が入ってきたところで終了。大学生でこれだけ弾けるのは驚異的。ショパンコンクールを目指して欲しい。アンコールは、ショパン:24の 前奏曲第15番《雨だれ》。彼は金沢へ来て雨に合ったようだ。一編の叙情詩「雨だれ」であった。

 休憩を挟んで、3曲目はメンデルスゾーン:交響曲第3番《スコットランド》。第1楽章はAndante con moto - Allegro um poco agitato。やや暗い深い黄昏で開始。プログラムによれば「女王メアリーが人生を送り、愛を営んだ宮殿」のイメージらしい。中間部ではHr4、 Tp2の迫力ある演奏。第1主題に戻り、Cbで終了。Attaccaで第2楽章はVivace non troppo。飛び跳ねるようなスケルツォ。マエストロ川瀬も熱演。僅かの間合い、即ちAttacca気味で第3楽章Adagio。弦楽による綺麗なadagio。中間部で付点のリズムが刻まれるが、プログ ラムによれば葬送行進曲風。ポーランド風であろうか。この曲は休み無く演奏するように指示されているようで、やはりAttacca気味に第4楽章Allegro vivacissimo - Allegro maestoso assaid。一転して力感溢れる曲想。中間部Picソロが綺麗。Hrによるエイトビートの リズムは戦闘を表し、Clソロの後勝利の祝祭か歌。Tpが華を飾り終了。尚、ポーランドもロシアの侵略を受けたことがある。

 そこで、21時20分を回っていたのだが、アンコールはバッハ:管弦楽組曲第3番第2曲Air。マエストロ川瀬が言いたかったウクライナの平安を祈る鎮魂歌である。音楽は政治への強力な対抗手段でもある。終了時の拍手が早かったのは残念。即ち、祈りが欲しかったAir であった。#NOWAR, #NOPUTIN!


Last updated on Mar. 17, 2022.
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