10月21日OEK第447回定期公演PH

10月21日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第447回定期公演PH
指揮:マルク・ミンコフスキ、石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 日本入国が可能になったようで、マエストロ・マルク・ミンコフスキによるミンコフスキ×OEK ベートーヴェン 全交響曲演奏会の一環。マエストロ・ミンコフスキが、OEK(オ−ケストラ・アンサンブル金沢)を指揮する。ベートーヴェン第4番 と第7番に期待し、石川県立音楽堂へ出掛けた。

   コロナ禍の為であろう、ロビー・コンサートは無し。
 コンサート1曲目はベートーヴェン:交響曲第4番。OEK弦楽5部は明確ではないのだが10-8-5-5-3の対向配置。Cbは後方中央。Timpは右。Hrは3人、Tpは二人という豪華布陣。第1楽章Adagio - Allegro vivaceは、後述する第7番とは対照的に「もや もや」とした序奏。一転してアレグロ・ヴィヴァーチェ。マエストロ・ミンコフスキは精力的な指揮。しかし、どんどん走るのではなく抑制を弁えている。ppからffへの以降も上品で綺麗。第2楽章Adagioは、OEKも緊張の連続のようだ。Clソロに第2Vnの ピッチカート。瞬間的にffに以降するのだが、全般的にはpで、綺麗。第3楽章はAllegro molto e vivace - Trio. Un poco meno allegro。マエストロの踊りも入り、プログラムにある「ゴム球が弾む」如きスケルツォ。曲想は交響曲第6番《田園》 に似たフレーズが登場。第6番は第4番を止揚させた作品なのであろう。第4楽章Allegro ma non troppoは、アレグロで開始。Flソロがしばしば登場。中間部ではCbの導入によるVnの協奏が効果的。短いフィナーレで終了。これと言って特徴のない曲な のだが、マエストロはppとffを効果的に用い、無難に仕上げたといえるだろう。

 休憩をはさんで2曲目は、ベートーヴェン:交響曲第7番。第1楽章Poco sostenuto - Vivaceは、第4番と違って堂々たる序奏。伊語sostenutは「威厳のある」意。交響曲第7番を作曲した頃ベートーヴェンは少々威厳が出てきたようだ。テンポは私の手 元にあるAbbado版と比較すると遅めだがダイナミックさには事欠かない。Flソロが効果的。Tpも加わり、華やかさを増し、その咆哮で終了。第2楽章はAllegretto。ウィーンでは熱狂裡にアンコールされた楽章だそうだ。Cl、Obソロが綺麗。FlとObのDuo もあり、VaとCbのピッチカートで終了。尚、金沢でも第2楽章はアンコールされる。第3楽章Prestoは主題の後HrとFlのDuoが続き、これが3回繰り返される。故大村さんは「ベートーヴェンは3回繰り返す」と言ってた通りだ。いよいよ熱狂的第4楽章はAllegro con brio。OEKの鬼気迫る演奏。やはり第1Vn10人の迫力だ。但し、人数が多くなれば、それに反してスピードが少し遅くなるのが常か。しかし、前述のAbbado版は早過ぎるのだから、抑制の効いた「バッカスの怒り」であったと思う。フィナーレも堂々と 終了。マエストロ・ミンコフスキ快心の第7番であった。

 アンコールはベートーヴェン:交響曲第7番第2楽章。第4楽章の興奮状態から第2楽章を聞くと、誰かがTwitterで書いていたように、優雅さを兼ね備えた交響曲だったのだと実感するのであった。マエストロ・ミンコフスキによるベートーヴェンシリーズ の総括である交響曲第9番《合唱付き》を聞き逃せない。


Last updated on Oct. 21, 2021.
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