11月25日歌劇≪リゴレット≫、指揮:鈴木織衛、
ソプラノ:森麻季、テノール:アレクサンドル・バディア、バリトン:青山貴、バス:森雅史他
合唱:金沢オペラ合唱団、管弦楽:オーケストラ・アンサンブル金沢
金沢歌劇座
酢谷琢磨
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ヴェルディ:歌劇≪リゴレット≫は金沢プレミエである。自転車で金沢歌劇座に到着。開演前オーケストラ・ピットを覗くと、スペース
はまだ余裕がある。オ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の弦楽5部は7-6-4-3-2のようだ。
悲劇を暗示する序曲で第1幕第1場が始まる。最初の場面は舞踏会。テノール:アレクサンドル・バディアさん演じるマントヴァ公爵のアリア≪あれか、これか、わしをとりまく女達は≫で始まる。
少々元気がないと感じられたが、幕間に彼は体調をこわし、点滴を打っての出演とのことで納得。ワルツに変わって、公爵がチェプラーノ伯爵夫人を口説いているのを見て、バリトン:青山貴さん
演じるリゴレットは「今は伯爵夫人を御攻略と云うわけさ。そこで、亭主は怒り狂っているしだい」と揶揄する。バリトン:李宗潤さん演じるモンテローネ伯爵は娘をもてあそんだ公爵に抗議す
る。道化師リゴレットが軽口をたたくと"Sii maledetto(呪われよ)"。リゴレットは恐怖におののく。
続いて第2場。リゴレットはバス:森雅史さん演じるスパラフチーレと知り合う。リゴレットはソプラノ:森麻季さん演じる娘ジルダを隠れ家に住まわせていた。家に帰り、隠れ家のジ
ルダが迎える。これを外から窺ってい公爵は、リゴレットが家を後にすると、ジルダと愛の二重唱≪愛してる!愛していますと、もう一度今のように優しく言って下さい≫を歌う。続いて、ジルダ
のアリア≪グァルティエール・マルデ・・・いとおしいあの方の名前≫。これは森麻季さんによる女性最高声部での熱唱、正にコロラトゥーラであった。さて、ジルダはリゴレットの愛人と勘違いした廷臣達がジルダを誘拐
にやってくる。尚、この廷臣たちの登場時に歌うピッチカート風合唱が効果的。リゴレットが気付いた時にはジルダはもぬけの殻。リゴレットは、"la maledizione(あの呪いだ)!"と嘆き第1幕は終
了。
休憩を挟んで、第2幕。公爵はアリア≪あの娘は誘拐された≫を歌う。ジルダの行方を探るリゴレットは、彼女が廷臣によって公爵の宮殿に隠されていることを知る。その時ジルダが飛び出し
てきて、リゴレットとの二重唱。プログラムで紹介しているように、第3幕の四重唱と同様綺麗な二重唱である。
再び休憩を挟んで、第3幕。リゴレットとジルダは酒場兼旅籠の外で、ジルダに公爵を愛しているか尋ねる。そこへ公爵が入ってきてアリア≪La donna e mobile. qual piuma al venro(風にふか
れる羽のように。女は変わりやすいものだ)≫を歌う。続いて、公爵に惚れたコントラルト:藤井麻美さん演じるスパラフチーレの妹マッダレーナが登場。公爵、マッダレーナ、リゴレット、ジル
ダによる四重唱。やはり綺麗である。尚、コントラルトは男性歌手をいうが、今回は女性アルト。リゴレットから公爵暗殺の依頼を受けたスパラフチーレだが、公爵に惚れたマッダレーナに命乞
いされ、今夜ここに訪れる者を身代わりに殺すことにする。この話を聞いたジルダは身代わりを決意する。真夜中の鐘が鳴り、スパラフチーレから死体の入った袋を受け取ったリゴレットは袋を
川に捨てに行く。その時、遠くから公爵の歌声"la donnna e mobile"が聞こえ、愕然とする。死体は公爵ではない。袋を開けてみると瀕死のジルダである。ジルダは息絶え、"la maledizione!"で
Finale。
さて、金沢プレミエのヴェルディ:歌劇≪リゴレット≫。オーケストラのボリューム、および歌手の熱演により最高の出来映えとなった。尚、ヴェルディの歌劇としては以前≪椿姫≫を観劇した。
その時気が付かなかったのだが、ヴェルディ歌劇には3拍子が効果的に挿入されている。勿論"la donnna e mobile"も3拍子である。即ち、楽曲における3拍子の重要性を実感した歌
劇であった。心地よいワルツを歌いながらも、次回はワーグナー:≪タンホイザー≫≪夕星の歌≫を聞きたいものだとも思い、家路を急いだ。
Last updated on Nov. 25, 2018.