1月6日OEK第397回定期公演PH

1月6日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第397回定期公演PH
ニューイヤーコンサート2018
リーダー&ヴァイオリン:フォルクハルト・シュトイデ
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 オ−ケストラ・アンサンブル金沢の2018ニューイヤーコンサート。フォルクハルト・シュトイデさんがリーダー&ヴァイオリンを担当 する。ウィーン・フィル、コンサートマスター・シュトイデさんに期待して石川県立音楽堂へ出掛けた。

   プレ・コンサートはチェロの二重奏だったようだが、2月3日第398回定期公演MEのチケットを購入していて聞き逃した。残念。
 さて、コンサート1曲目は、ウェ−バー:歌劇「オベロン」序曲。OERK弦楽5部は8-6-4-4-2の対象配置。金管はホルン3、トランペット2、トロンボーン3構成。シュトイデさんはコン・マス席に座って弾き振り。ホルン のイントロで開始。最近のホルンは安心感がある。序奏を終ると、切れ味鋭く快走。中間部ではウェーバー的クラリネットのソロが綺麗。その後のストリングス。ウィーンだ。第1ヴァイオリンがウィーンの香りを漂わせ る。ウィーン・フィルのコン・マスたる所以である。ウェ−バーの歌劇では「魔弾の射手」が有名で、歌劇「オベロン」は余り知られていない。從って、CDも入手困難なのだが、第1幕から聞いて見たくなるような怒涛の 進行とオペラの展開を暗示するような盛り上がりの裡に終了。
 2曲目は、メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲。ヤングさんがコン・マス。シュトイデさんはソリスト。ホリン2、トランペット2構成。第1楽章はAllegro molto appassionato。シュトイデさんのヴァイオリンは アントニウス・ストラディヴァリウスだそうだが、落ち着いた音色。甘ったるく無く、スピード感あり、やはりウィーンの香がする。中間部のクラリネットとシュトイデさんとのヴァイオリンのDuoが綺麗。カデンツァは 高音と低音が目まぐるしく入れ替わるテクニカルな難曲。シュトイデさんは難なく演奏。クラリネットの連続音だったと思うがこのコーダで第2楽章にAttacca。第2楽章Andante - Allegretto non troppoは、夢見心地の 緩徐楽章。シュトイデさんのヴァイオリンは甘美だが理智的でもある。今年のウィーン・フィル・ニューイヤーコンサートはリッカルド・ムーティが指揮したが、茶目っ気も有る反面、基本は理智的であった。これがウィーン の香りだ。Attccaで第3楽章序奏。第3楽章Allegro molto vivaceは序奏の後、飛び跳ねる如き付点のリズムで快速進行。しかも鋭い。プログラムにある「鮮明な輪郭美に富む」演奏で華麗に終了した。アンコールは無し。

 休憩を挟んで、ウィンナー・ワルツ。シュトイデさんは再びコン・マス席。OEKはホルン3、トランペット4、トロンボーン3。チューバ、ハープも加わる。第3曲目はヨハン・シュトラウス2世:オペレッタ「こうもり」 序曲。中間部からウィーンナー・ワルツ。OEKもウィーン・フィル並みの間の取り方を含む演奏を披瀝。シュトイデさん効果である。オーボエ・ソロが挿入され、導入部が再現され終了。第4曲目はエドゥアルト・シュトラウ ス:ポルカ「テープは切られた」。列車の発車のテープは切られた曲とのこと。尚、Polkaは、1830年頃興ったチェコの民俗舞曲である。第5曲目はヨ−ゼフ・シュトラウス:ポルカ「鍛冶屋」。OEK渡邉さん(だったと思 う)が音の違う鉄床を器用にソロ。第6曲目はヨハン・シュトラウス2世:「トリッチ・トラッチ・ポルカ」。ポルカのリズムでおしゃべりの楽しさを描いたそうだ。相当な早口である。第7曲目はエドゥアルト、ヨーゼフ、 ヨハン・シュトラウス2世:「射撃のカドリーユ」。 Quadrilleとは、4組の男女のカップルがスクエア(四角)になって踊る歴史的ダンスらしい。鉄砲の音が入るのかと思ったが、入らない。違う曲だ。第8曲目はヨハン・ シュトラウス2世:「ウィーン気質」。「ウィーン気質、独: Wiener Blut」は、ヨハン・シュトラウス2世の同名のワルツ「ウィーン気質」を中心とするシュトラウスの既成曲を多く用いて構成されたオペレッタ。 第2幕の二重唱や第3幕のフィナーレでワルツ「ウィーン気質」が歌われる。この曲は序奏の後の5重奏(ヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ2)が綺麗。第9曲目は同じくヨハン・シュトラウス2世:「ロシアの行進曲風 幻想曲」。ロシア的でもあり、トルコ的でもある。最後はお馴染みヨハン・シュトラウス2世:「美しき青きドナウ」。イントロで拍手は起こらず、OEK団員による新年の挨拶は聞けずじまい。しかし、我々が聞いているのはウィーン・ フィルではなくOEKだ。ハープが序奏し、カンタさんのチェロ・ソロもあり、間の取り方抜群の「美しき青きドナウ」は華麗に終了した。

 アンコールはこれもお馴染みヨハン・シュトラウス1世:「ラデツキー行進曲、独: Radetzky-Marsch」。聴衆の拍手も手馴れたもので、シュトイデさんの顔を聴衆に向ける指揮に合わせての共演。OEKニューイヤーコンサー ト2018は終了した。OEKのスピード感はシュトイデさん効果により格段(ウィーン・フィル並、褒め過ぎか)に向上した。本年は、益々充実した演奏を披露してくれることが期待される。尚、帰りに恒例の金沢市弥生(有)茶菓工房たろ う製「ピーナツバター入りどら焼き」を頂いた。帰宅後妻と半分ずつ食した。ピーナツバター餡も中々の趣向。ごちそう様でした。


Last updated on Jan. 06, 2018.
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