5月5日いしかわ・金沢風と緑の楽都音楽祭2017A33

5月5日いしかわ・金沢風と緑の楽都音楽祭2017A33
チェロ:クリスティーナ・レイコ・クーパー、ピアノ:菊池洋子
金沢市アートホール

酢谷琢磨

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いしかわ・金沢風と緑の楽都音楽祭2017
   今年から名称変更した「いしかわ・金沢風と緑の楽都音楽祭2017」のテーマは「ベートーヴェンが金沢にやってきた!」とのことで、ベートーヴェン特集。余り聞いたことの無い、ベートーヴェン:ヘンデル「ユダス・マ カウベス」の主題による12の変奏曲を選択。金沢市アートホールへ出掛けた。

   コンサート1曲目は、ベートーヴェン:ヘンデル「ユダス・マカウベス」の主題による12の変奏曲。最初は、「見よ勇者は帰る」をチェロが演奏。ピアノも自己主張し乍の伴奏。第2変奏は弦楽四重奏風。続いて、緩いカンタービレ。 チェロが歌う。第4変奏はピアノのアルペジオにチェロが主題の変奏を演奏。シューベルトが「ます」で展開した曲想はベートーヴェン流なのか。その後、何番目の変奏かは不明瞭となったが、2拍子で威風堂々あり、Adagio での展開、チェロが引きずるかのような強調による変奏の妙を経て、フィナーレはVivace con brio、力強く終了した。ブラームスにも「ハイドンの主題による変奏曲」がある。ベートーヴェンもブラームスもハイドンを師 と仰いでいたようだ。
 2曲目は、ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第5番。第1楽章はAllegro con brio。二人の息はピッタリ。ピアノの伴奏にチェロの低音が心地良く響く。第2楽章Adagio con molto sentimento d'affectto - attacca:は、 憂鬱から開始。「苦しいことが多いが負けないぞ」と言っている様だ。中間部は長調に展開するも、フィナーレはやはり憂鬱感。Attaccaで続く第3楽章Allegro - Allegro fugatoは、快走。チェロが歌い、力強いフーガで終了。 短いが内容のあるチェロ・ソナタ。流石、ベートーヴェンだ。真紅のドレスのチェロ:クリスティーナ・レイコ・クーパーさんと薄緑のドレスのピアノ:菊池洋子さんの熱演であった。

 アンコールは「ベサメムーチョ」、「宵待ち草」、「アマポーラ」の3曲。何れもチェロとピアノによる変奏の妙を堪能できた。さて、昨年までの「ラ・フォル・ジュルネ金沢」から「いしかわ・金沢風と緑の楽都音楽祭」 に名称変更した音楽祭。来年も継続して欲しい。私の希望はドヴォルザークだ。


Last updated on May 05, 2017.
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