2月19日OEK第386回定期公演PH

2月19日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第386回定期公演PH
ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」(演奏会形式)
指揮:マルク・ミンコフスキ、メゾ・ソプラノ:セレーナ・マルフィ、テノール:デヴィッド・ポーティロ
バリトン:アンジェイ・フロンチク、バス:カルロ・レポーレ
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

English
スマホ版へ

 オ−ケストラ・アンサンブル金沢のロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」演奏会形式。マエストロ・マルク・ミンコフスキがオペラを指揮す るのも珍しい。6人のソリストにも期待して石川県立音楽堂へ出掛けた。

   プレ・コンサートは無し。
 SINFORNIA、序曲が始まる。OEKのみをマエストロ・ミンコフスキが指揮。OEKの弦楽5部は10-8-6-4-3だったようだが詳細は不明。序曲が開始されると凄く流麗で、OEKが更にレヴェルアップしたように感じる。マエスト ロ・ミンコフスキによる適切なレハーサルの賜物であろう。とにかく凄かった。そして、第1幕INTRODUZIONEが始まる。「静かに、静かに」と金沢ロッシーニ特別合唱団が客席から入場。男性のみで、15、6人程。しか し、後で分かるのだが、ボリュウム感は十分。次は、テノール、デヴィッド・ポーティロさん演じる伯爵のCavatina「空はほほえみ」。Cavatinaは、研究社『新英和大辞典』によれば、「簡単な形式の独唱曲」、つまりやや 短いアリアと思えばよい。但し、続いてバリトン、アンジェイ・フィロンチクさんのフィガロが同じくCavatina「私は町のなんでも屋」を歌う。しかし、これは長いCavatina。小学館『伊和中辞典』での「叙情的なアリア」が正し いようだ。続く、レチタティーボでは通常チェンバロが使われるのだが、今回はフェデリカ・ビアンキさんによるフォルテ・ピアノが用いられた。違和感は無し。
 さて、伯爵はメゾ・ソプラノ、セレーナ・マルフィさん演じるロジーナを見初め、フィガロの取りもちを依頼する。何故ならば、彼女の後見人バス、カルロ・レポーレさん演じるバルトロも彼女との結婚を望んでいたか らである。伯爵は松尾俊介さんのギター伴奏で、「わたしの名前が知りたければ」とセレナーデを歌うが、名前を偽り、リンドーロと名乗る。二重唱の後、ロジーナのCavatina「今の歌声」。叙情的なアリア。将にコロラ トゥーラである。次に、バス、後藤春馬さんによる音楽教師バジーリオのアリア「かげぐちははそよ風のように」。バルトロのアリア「わたしのような医者に向かって」が歌われ、フィナーレT「やあ、ここにおいでのか たがた」でTuttiとなり、どたばたの内に、長い第1幕は終了。

 休憩を挟んで、第2幕。伯爵はバジーリオの弟子アロンゾに変装し、バルトロ邸に潜り込む。ロジーナはリンドーロと気付き、リジーナのアリア「わたしの心に愛が芽生えて」を歌う。バルトロはアリア「おまえがそばに いる時は」でロジーナに「リンドーロはお前を伯爵に売ろうとしている」と吹き込む。怒ったロジーナはバルトロとの結婚を承諾する。
 ここで、ソプラノ小泉詠子さん演じるベルタがアリア「お年寄りは奥様を持ちたがる」を歌う。短いアリアだが、清楚で日本人的魅力満載のアリアであった。遂に伯爵はリンドーロではなく、本当の名前をあかし、伯爵と ロジーナは愛の喜びに包まれ、フィナーレU「私たちは、この幸福な結婚を」で大団円。ユ−モア溢れ、しかも上質の演奏会形式オペラであった。

 演奏会形式とはいえ、イヴァン・アレクサンダーさんの演出であろう、カーテン(幕は無し)コールも有り、充実した3時間であった。ソリスト、合唱団は言うに及ばず、マエストロ・ミンコフスキ指揮によるOEKの演奏も 素晴らしかった。世界に羽ばたけると実感させる内容。OEKの今後が益々楽しみである。


Last updated on Jan. 08, 2017.
コンサート・レビューへ