1月9日OEK第371回定期公演PH

1月9日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第371回定期公演PH
指揮:三ツ橋敬子、歌・ピアノ:イル・デーヴ
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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金沢市広坂石亭玄関横石庭

 オ−ケストラ・アンサンブル金沢の「音楽の国イタリア」と題するニューイヤコンサート2016。指揮のマエストーラ・三ツ橋敬子、及び IL DEVU【イル・デーヴ、イギリスの人気ボーカルグループ「IL DIVO(イル・ディーヴォ, The Actor)」をもじった「IL DEVU」】も金沢プレミエ。如何なる コンサートになるのか興味津々。石川県立音楽堂へ出掛けた。

   ロビー・コンサートは電車で出掛けた為到着が遅れ、不明。お詫びの記しに、1月7日金沢市広坂石亭玄関横における石庭の画像を添付します。
 さて、コンサート1曲目は、OEKによるレスピーギ:組曲「鳥」より前奏曲。コンサート開始に相応しい曲。OEKの弦楽5部は8-6-4-4-2の対象配置。マエストーラ・三ツ橋敬子の指揮は体を大きく使い精力的。中間部の クラリネット・ソロは秀逸。尚、OEKには前回よりスカーフを付けた女性が加わっている。パートはクラリネットのようだ。次いで、OEKはお休みで、ピアノ:河原忠之、イル・デーヴ:望月哲也、大槻孝志、青山貴、 山下浩司による、カッチーニ:「アマリッリ」。続いて、4人のソロとOEKによる4曲。テノールによる、スカルラッティ:「すみれ」。バロック歌劇であり、"Violet"が心地良い。バリトンによるボノンチーニ:「お 前を讃える栄光のために」、テノールによるドゥランテ:「愛に満ちた処女(おとめ)よ」、バスだと思うがスカルラッティ:「陽はすでにガンジス川から」。熱唱が続く。7曲目はイル・デーヴによる、T. ジョルダー ニ:「いとしい女よ」。聞いたことがあるような曲。ハーモニーは評判通り綺麗だ。前半最後の曲はOEKによる演奏、レスピーギ「ボッティチェリの三枚の絵」。第1曲「春」は、いかにも春を告げる風の音のような イントロ。中間部の木管楽器による演奏は秀麗。第2曲「東方3博士の9礼拝」はファゴット・ソロで開始。東方を意識した曲想。中間部でのハープが綺麗。第3曲「ヴィーナスの誕生」は、妖艶な雰囲気。クレシ ェンドし、ピアノが加わる。カンタさんのチェロ・ソロもあり、イントロ同様ppでフィナーレ。「ローマの松」を作曲したレスピーギらしい曲想であった。

 休憩を挟んで最初は、OEKによるロッシーニ:歌劇「アルジェのイタリア女」序曲。ピチカートで緩く開始。中間部はロッシーニ風急テンポ。オーボエ・ソロ、フルート・ソロがあり、ロッシーニらしく軽快にフ ィナーレ。続いて、イル・デーヴによる、コットラウ:「サンタ・ルチア【英:Santa Lucia, 聖ルチア(女性名)】。堂々たる歌唱。続いてバリトン・ソロだと思うが、ビクシオ:「マリウ、愛の言葉を」。しっか りした歌唱。11曲目は、テノール・ソロによる、カルディッロ:「カタリ・カタり」。切々たる歌唱は、三大テノール、ホセ・カレーラスを思い出させる本日珠玉の一曲であった。OEKによるマスカーニ:歌劇 「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲が続く。お馴染みの綺麗な間奏曲。OEKの演奏は綺麗であったが、低音部のボリュー不足が少々気に掛かる。14曲目は、イル・デーヴ、バリトン・ソロによるディ・カ プア「あなたに口づけを」。淡々たる歌唱。15曲目はテノール・ソロ、デ・クルティス:「忘れな草」。最後の2曲はイル・デーヴ4人に戻り、ディ・カプア「オ・ソレ・ミオ(伊:O Sole Mio, オー、私の太陽)」。 バスから開始し、4人の熱唱。最後の曲は、モリコーネ「ネッラ・ファンタジア(伊:Nella Fantasia, 私の空想の中では)」。綺麗なハーモニーだが、フィナーレにおける高揚不足が残念。

 アンコール1曲目は、OEKによるレスピーギ:「リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲第1曲「イタリアーナ」。私の好きな曲であり、全曲を聞かなければならないのだが、OEKによる演奏は部分的にせよ、 これに充分応えていたようである。2曲目は、イル・デーヴによる木下牧子:「ロマンチストの豚」。私には「ロマンチストの歌」との曲目紹介に聞こえたのだが、「豚」らしい。アンコール3曲目はフナラジアーニ・ピロッ ティ:「パセラ」。イル・デーヴ:2ndアルバムNUKUMORI[DVD]の1曲目らしい。聴きごたえのある曲であった。さて、ニューイヤコンサート2 016の趣向は、「プログラム表紙裏にシールが貼ってある人にはOEKグッズが当たる」とのアナウンス。私のプログラムにはシールが無く残念。今年は、私の7回目の申年。これにめげず、私及びOEKにとって良い年 になることを祈念したい。


Last updated on Jan. 09, 2016.
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