12月11日OEK第370回定期公演PH第2夜

12月11日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第370回定期公演PH第2夜
指揮:マルク・ミンコフスキ
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

English
スマホ版へ

 続いて「シューマン全交響曲を聴く」の第2夜。マエストロ・マルク・ミンコフスキとオ−ケス トラ・アンサンブル金沢(OEK)によるシューマン第2夜に期待して石川県立音楽堂へ出掛けた。

 プレコンサートは、ハイドン:弦楽四重奏曲第81番「挨拶」第1楽章。流麗でしかも優雅な演奏であった。
 所で、開演前Twitterでリハーサル風景が流れ、「昨日と違う点がお分かり頂けるでしょうか」とのTweet。薄暗い舞台を見たがティンパニーが少し後ろに下がったかな 程度と思っているうちコンサート1曲目シューマン:交響曲第3番「ライン」が始まる。OEK弦楽5部は昨夜と同じ8-6-4-4-3の対象配置。第1楽章Lebhaft(生き生きし た)は、トランペットとトロンボーンによるintro。音に硬さが無く、深みがある。ここで気が付いた。昨夜天井に張り付いて設置されていた反響板が以前のように下へ降りていた。昨 夜マエストロ・井上道義が語った「バランス」とはこのことだったのだ。従って、「ライン」の主題が心地よく響き、中間部のホルンのユニゾンも堂々として華麗。マエ ストロ・ミンコフスキの指揮は昨夜と同様精力的。第2楽章Scherozo. Sehr massig(スケルツォ。非常に中庸に)は、スムーズなスケルツオ。第3楽章Nicht schnell(速 くなく)は、クラリネットと第1Vn、及びビオラとチェロのDuoが綺麗。第4楽章Feierlich(祝典的)は、如何にもケルン大聖堂を思わせる荘重な楽章。トロンボーンとト ランペットのファンファーレも壮麗。一転第5楽章はLebhaft。イタリア語で言うとvivace。堂々たるフィナーレで終了した。反響板を下げた効果は覿面。休憩中友人と マエストロ井上道義の「バランス・・・」の話をすると、「さすがプロやね」との賛辞。昨夜の第2番フィナーレを反響板を降ろした状態で聞いてみたかったとも話した もので有った。

 休憩を挟んで2曲目は、シューマン:交響曲第4番。第1楽章Ziemlich langsam - Lebhaft(かなり遅く-生き生きと)は、運命を暗示するかの如くティンパニーのpで開始。 中間部は生き生きとに変化。Attaccaで続く第2楽章Romanze(Ziemlich langsam)(ロマンスかなり遅く)はもの悲しく歌うオーボエ・ソロにコンマス・ブレンディスさんの ソロもあり綺麗。第3楽章Scherzo(スケルツォ)は、力強いスケルツォ。中間部は弦による舞曲風。Attaccaで第4楽章Langsam - Lebhaft - Schneller - Presto(ゆっくり と-生き生きと-早く-プレスト)は、トロンボーンと第1VnのDuoで開始。シューマンの心は揺れ動いている。「そうだ、生きるんだ」と言い聞かせている様だ。中間部に は、モーツァルトの「ジュピター」は「ドレファミ」だが、シューマンは「ドレファソ」が繰り返えされる。マエストロ・ミンコフスキは身を屈めてpの指示をする。今夜 のOEKは少し反応したが、まだまだ不十分。第1夜にも書いた通りOEKの今後の課題であろう。コーダでは、マエストロ・ミンコフスキは一旦pに落とし、すぐクレッシェン ドで盛り上げ、高揚の内のフィナーレを演出。OEKもクレッシェンドでは良く応え、反響板を下げた効果も相俟って壮大なフィナーレとなった。Bravo。

 アンコールはTwitterによると急遽らしいが、シューマン:交響曲第4番第4楽章の後半。2度聞いてもマエストロ・ミンコフスキの熱演は変わらない。ここで、No Symphony。さて、第370回定期公演PHは、第1夜、第2夜仕立てになった。これについては、曲目が違うのだから第370回、第371回とカウントしても良かったと思 う。1回損をしたかな。


Last updated on Dec. 11, 2015.
2015年コンサート・レビューへ