9月10日OEK第354回定期公演PH

9月10日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第354回定期公演PH
指揮:パスカル・ロフェ、ピアノ:辻井伸行
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 マルク・ミンコフスキ・マエストロ病気の為パスカル・ロフェ・マエストロと辻井伸行さんの共演である。辻井伸行さんとオ−ケ ストラ・アンサンブル金沢とはアシュケナージ・マエストロ指揮で聞いた。しかし、今回辻井伸行さんはラベルを初めて弾くらしい。これに期待して石 川県立音楽堂へ出掛けた。

   プレ・コンサートは、ドビッシー:「月の光」弦楽四重奏曲版。ピアノ曲を弦楽四重奏曲に編曲した物。弦楽四重奏曲版「月の光」も趣向であった。2曲目は「バラ色の人生」、3曲目は「枯葉」。シャンソン である。尚、「枯葉」のCodaに「落ち葉の舞い散る停車場で」がそっと挿入されて終了。
 コンサート1曲目は、フォーレ:「ペレアスとメリザンド」組曲。第1曲前奏曲は穏やかな出だしだが、すぐ堂々たる演奏を披露。OEKの弦楽は8-6-4-4-3の通常配置。パスカル・ロフェ・マエストロは勿論フラン ス音楽は得意。従って、手を大きく広げての指揮。Codaは非常に綺麗。第2曲「糸をつむぐ女」はフランス音楽の洒脱さ溢れる曲想。第3曲「シシリアンヌ」は優雅なシシリア調で、フルートとハープの Duoが秀逸。第4曲「メリザンドの死」は悲しみの葬列にトランペットがpからfへと上昇後、静かに終了。フォーレらしい綺麗な曲であった。
 2曲目は、辻井伸行さん登場のラヴェル:ピアノ協奏曲。第1楽章Allegramenteは、ムチで開始。序奏の後辻井伸行さんのピアノが始まる。彼はラベルも上手い。第2楽章Adagio assaiは、長いピア ノ独奏で開始。彼はピアノを「コロコロ」と転がすアルペジオ奏法が得意で、非常に綺麗である。フルートとのDuo、オーボエとのDuoを挟み多彩。Attacca気味に第3楽章Presto。走りっぱなしではなく緩の部分 も含み、ジャズっぽい華麗な演奏を披露し、終了。これまで聞いたラヴェル:ピアノ協奏曲の中で、フランス的洒脱さNo. 1の演奏であった。アンコール1曲目はラヴェル:「水の戯れ」。2曲目はラヴェル: ソナチネ第3楽章。「水の戯れ」は少々音量が大き過ぎたが、いずれも熱演であった。

 休憩を挟んで3曲目は、ラヴェル:「亡き王女のためのパヴァーヌ(Pavane pour une Infante defunte)」。少々のミスはあったが、スペイン語pavoクジャクに由来する16, 17世紀に流行した2拍子系のゆっくり した舞曲は、寂寥感の内に終了。
 4曲目はOEK第1回定期公演で演奏されたビゼー:交響曲第1番。当時に比べると隔世の感はある。だが、ボリュームは増えても、切れ味の鋭さは当時と変わらないのがうれしい。第1楽章はAllegro vivo。 第2楽章Adagioは、オーボエ・ソロによる哀愁漂う名演奏が光る。但し、それに続く弦楽部門も秀。第3楽章Allegro vivaceは、角笛を模した管楽器による牧歌が印象的。尚、この楽章にはコントラバスのユニ ゾンがあり、これも綺麗。第4楽章Allegro vivaceは切れ味鋭い曲想。力強く終了した。

 アンコールは、1曲目のフォーレ:「ペレアスとメリザンド」第3曲「シシリエンヌ」の再演。やはり綺麗であった。さて、 フランス一色のプログラムは無事終了した。しかし、聴衆のマナーの悪さが目立つコン サートであった。即ち、楽章中、楽章間の大きな咳等のノイズは極力避けて欲しい。前にも書いたが、中国でのN響演奏会における聴衆は楽章間シーンとして、緊張感溢れる演奏会であった。日本人のマナーの悪 さは中国人にも笑われる。気を付けて貰いたい。


Last updated on Sep. 10, 2014.
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