6月12日OEK第351回定期公演PH

6月12日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第351回定期公演PH
指揮&ヴァイオリン:エンリコ・オノフリ、ソプラノ:森麻季、チェンバロ:桑形亜樹子
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 「イタリアン・バロック モーツァルト&ハイドン」と題するコンサート。エンリコ・オノフリ・マエストロのヴァイオリンと指揮、森麻季さんのアリア、並びにオ−ケストラ・アンサンブル金沢に期待して、雷鳴轟き、文字通りバケツをひっくり返したような夕立の中、石川県立音楽堂 へ出掛けた。

 プレ・コンサートは夕立の為県立音楽堂到着が遅れ、聞けずじまい。
 コンサート1曲目は、ヴィヴァルディ:弦楽のための協奏曲RV127。第1楽章Allegroは快速。エンリコ・オノフリ・マエストロはヴァイオリンにマフラーを付けて登場。演奏時はそのマフラーを首に巻きつけ(ヴァイ オリンの固定用か)、とにかくマフラー靡かせながらの演奏。ヴェネツィア・スタイルだろうか、中々お洒落。肩を揺り動かしながらの演奏と指揮は情熱的でもある。OEKは、8-6-4-4-2の対象配置。第2楽章Largoは、 ほんの短い楽章。オノフリ・マエストロはソロで弾く時は客席を向いて弾く。第3楽章Allegroは快速。10分足らずの協奏曲は終了。
 2曲目はヴィヴァルディ:協奏曲「調和の霊感」第9番。第1楽章Allegroは、1曲目と違いヴィヴァルディらしさ溢れる楽章。第2楽章Larghettoは、オノフリ・マエストロのヴァイオリン・テクニックが 冴え渡る。第3楽章はAllegroは急で終了。
 続いて、ソプラノ:森麻季さんライトブルーのドレスで登場。曲はヴィヴァルディ:モテット「まことの安らぎはこの世にはなく」第1楽章。イタリア語の歌詞対訳を読むと、「平安は慈愛に満ちたイ エス、汝の中にこそ」とあり、イエスの頌歌である。森麻季さんの1曲目はさらりと、しかも慈愛に満ちた歌唱を披露。
 間に挟んだのは、ヴィヴァルディ:協奏曲「ラ・ストラヴァガンツア(戯れ)」第4番。第1楽章Allegroは、オノフリ・マエストロのヴァイオリンとOEKカンタさんのチェロによるDuoが綺麗。第2楽章Grave e semmpre pianoは緩。第3楽章Allegroは急で、オノフリ・マエストロのテクニックが冴え渡る。。
 再び森麻季さんによる、ヴィヴァルディ:歌劇『グリゼルダ』よりアリア「2つの風にかき乱されて」。この曲は4連音符が続き、腹筋力が必要。森麻季さんは難曲を熱演した。ブラバー。

 休憩を挟んで、6曲目は再度森麻季さん登場。モーツァルト:アリア「ああ、恵み深い星々よ、もし天にあって」である。いかにもモーツァルト風。魔笛の「夜の女王」風でもある。森さんはコロラトゥーラ を発揮し、終了。
 プログラム最後は、ハイドン:交響曲第100番「軍隊」。第1楽章Adagio - Allegroは、客席ノイズで始まった。OEKは順調な出だし。第2楽章Allegrettoは、プログラムによれば典雅な主題で始まる。 この部分は遠くの軍隊であって、近づくとトルコの軍隊であることが分かる。オノフリ・マエストロはffを連続させず、一旦pに落とし再びffに戻す。即ち、強弱のメリハリを効果的に演出。後半のトラン ペット・ソロの後のffは圧倒的。第3楽章はMenuet: Moderato - Trio - Menuet。第4楽章Finale: Prestoは、軽快に終始し第2楽章の軍隊に戻ってフィナーレ。OEK堂々の演奏であった。

 アンコール1曲目は、森麻季さんによるヘンデル:歌劇『リナルド』より「私を泣かせてください」。情感たっぷりの歌唱を披露。尚、ここでチェンバロの桑形亜樹子さんが加わっていることに気付く。 ヘンデルのアリアには、ピアノよりチェンバロが似合う。2曲目は、ハイドン:交響曲第100番「軍隊」の第2楽章。最初の演奏よりトランペット・ソロが立派に聞こえたのは私だけであろうか。さて、 ヴィヴァルディ、モーツァルト、ハイドン&ヘンデルと聞いたが、今回のコンサートではソプラノのアリアが組み込まれたため華やかな演奏会となった。私のリクエストとしては、リヒャルト・シュトラウ ス:「4つの最後の歌」を聞きたいと思っている。次回には是非お願いしたい。


Last updated on Jun. 12, 2014.
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