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5月6日ラ・フォル・ジュルネ金沢「熱狂の日」音楽祭2014公演番号311
オーケストラ・アンサンブル金沢、指揮:三ツ橋敬子
ソプラノ:ルイザ・アルブレヒトヴァ、バリトン:セバスチャン・ハウプマン
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 ラ・フォル・ジュルネ金沢「熱狂の日」音楽祭2014公演番号311としてオ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)によるシューベルト:「未完成」と歌曲である。GW最終日に「楽に寄す」を聞くのも一興。これに期待して石川県立音楽堂出掛けた。

 コンサート1曲目は、シューベルト:交響曲第8番「未完成」。第1楽章Allegro moderatoは、チェロとコントラバスの低音部によるイントロが重厚。OEKの弦楽5部は8-6-4-4-2の対象配 置。井上道義マエストロ病気治療の為交代した三ツ橋敬子マエストは小柄だが、振りは大きい。小澤征爾マエストロに交代したことが有ったらしいが、盛り上げるのは上手い。但し、ガン ガン指揮するだけではなく、抑えるところはしっかりと指示して好感。「ドーソドシドレ」もコンマス・ヤングさん率いる弦楽が綺麗で、秀。第2楽章Andante con motoはスケルツォではなく、ワ ルツ。クラリネット・ソロが優雅で、綺麗。誰か第3、第4楽章を作曲して全曲演奏を可能にしてくれたらと思っている内に、フィナーレ。「未完成」は"Unfinished" で終了した。
 2曲目は、シューベルト:歌曲集から「楽に寄す(An die Musik)」。ソプラノのルイザ・アルブレヒトヴァさんが登場。ピアノ伴奏と違ってオーケストラ伴奏も中々のもの。彼女の歌唱はコロ ラトゥーラである。最初はホールの音響を考慮し、控えめに歌っていたが、段々と興に乗り「音楽に寄す」を熱唱。続いて、プログラムとは異なりシューベルト:「白鳥の歌」よりお馴染み の「セレナーデ」。バリトンのセバスチャン・ハウプマンさんが甘美に歌う。次は、間奏曲風にシューベルト:劇音楽「ロザムンデ」よりバレエ音楽第2番。OEKの演奏である。バレエの場面 が目に浮かぶかの如き、弦楽の綺麗さ。クラリネット・ソロも綺麗であった。続いて、シューベルト:歌曲集から「鱒(Die Forelle)」。ピアノ伴奏が転がすように弾く箇所は、クラリットが 担当。クラリネットは大忙し。ソプラノのルイザ・アルブレヒトヴァさんによる丁寧な歌唱であった。終曲は、シューベルト:歌曲集から「魔王(Erlkonig)」。バリトンのセバスチャン・ハウプマンさんが 劇的に、しかも迫力満点で歌う。"in seinen Armen das Kind war tot."でフィナーレ。将に、エルフ(妖精)の王であった。

 アンコールは無し。しかし、多彩で、圧巻のシューベルトであった。


Last updated on May 06, 2014.
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