2月23日OEK第347回定期公演PH

2月23日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第347回定期公演PH
指揮、山田和樹、ピアノ:木村かをり、 オルガン:黒瀬恵、ソプラノT:小林沙羅、ソプラノU:熊田祥子
テノール:西村悟、合唱:OEK金沢合唱団、東京混声合唱団、金沢大学合唱団、OEKエンジェルコーラス
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 故三善晃さんのオ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)委嘱作品「三つのイメージ」とメンデルスゾーンの交響曲第2番「賛歌」というプログラム。「賛歌」は金沢プレミエである。しかも、1週間前の喜歌劇「 こうもり」のアデーレ役で好演した小林沙羅さんがソプラノTを歌う。これ等に期待して石川県立音楽堂へ出掛けた。

 プレ・コンサートはコレッリ:合奏協奏曲第10番。第8番は有名な「クリスマス」であり、第10番もコレッリらしい緩急緩の6楽章。OEKメンバーはヴァイオリン4、ヴィオラ1、チェロ2、コントラバス1の八重奏。綺麗な八重奏で、コンサート 前の高揚感の演出であった。
 コンサート1曲目は、三善晃:「三つのイメージ〜童声・混声合唱とオーケストラのための〜」。OEK弦楽5部は8-6-4-4-2で、ヴィオラとチェロが交替した通常配置。合唱団は、OEKエンジェルコーラスと金沢大学合唱団らしい。谷川俊太郎作詞、三善晃作曲のこの曲は、火、水、人 間の三つのイメージを、曲にしたもので、合唱コンクール課題曲風。山田和樹マエストロの指揮は、てきぱきと適切。「あなたに火と 水と人間の矛盾にみちた未来のイメージを贈る。あなたに答えは贈らない。あなたに ひとつの問いかけを贈る」と歌う。OEK及び合唱団による難しい曲の熱演であった。アンコールは、三善晃:【唱歌の四季】より、「夕焼け小焼け」。オラトリオ風で、唱歌のイメージを超越した演奏であった。

 休憩を挟んで、コンサート2曲目は、メンデルスゾーンの交響曲第2番「賛歌」。合唱団は最初から登壇。OEK合唱団と東京混声合唱団だと思われるが、金沢大学合唱団員も含まれていたのかもしれない。詳細は不明。第1部第1曲Sinfonia第1楽章Allegroは、トロンボーンによる主題"Alles was Odem hat, lobe den Hern【Let everything that hath breath praise the Lord(息づくものはすべて、主をたたえよ)】"が高らかに奏でられる。もう少しffでもと思ったが、音楽堂の音響を配慮した演奏か、少々おとなしい。しばらく主題の変奏が続き、第2主題はメンデルスゾーン「スコットランド」 的で、木管と弦楽が綺麗。時々主題が戻り、静かに第1楽章は終了。Attacca気味に続く第2楽章はScherzo: Allegretto un poco agitato。ベートーヴェンのような快速スケルツォではなく、緩めのスケルツォで、情緒豊かな曲想。第3楽章Adagio religiosoは、荘厳なイントロ。 ホルンのユニゾンも綺麗で、静かに終了。第2部Cantata第2曲はChorとSopransolo。再びトロンボーンによる主題で開始。曲の進行中にソプラノ、テノール・ソリストが入場。短いイントロの後、合唱が主題を歌う。圧倒的な神への賛歌。終了近くで、小林沙羅さんによるソプラ ノTが華を添える。第3曲はテノール西村悟さんによるRecitativeとTenorsolo。西村さんは声量豊かで、しかもドイツ語の発音も明瞭。第4曲はChorで、フィナーレのホルンによるユニゾンが綺麗。第5曲は1. und 2. Sopransolo und Chorで、加賀市出身の熊田祥子さん登場。綺麗な 二重唱で、途中から合唱も加わり、荘厳。第6曲はTenor- und SopransoloとRezitativ。第7曲はCoro。第8曲Choraleは、合唱団によるア・カペラ。中間部よりOEKも加わり、重厚。フィナーレで"von Licht und Morgenrot, ihm danket unser Lied(光と曙か ら、あの方に感謝を、私たち歌で)"と感動的に歌う。第9曲はSopran- und Tenorsolo。綺麗なDuetで、"und er errettet mich nach seiner Gute(そして、あの方は私を救い出すのです。その慈愛によって)"と力強く歌う。終曲第10曲はFinal chorus。中間部よりフーガと なり、圧倒的なフィナーレを構築。コーダは男性合唱団が主題を歌い、TuttiでHallelujahを歌い、感動的に終了。オラトリオともいえる神への賛歌は完了した。尚、パイプオルガンで黒瀬恵さんが登場したのだが、生憎、どこで演奏したのか良く分からない儘終了してしまった。も う少し存在感を示すべきであり、残念であった。

 アンコールは、夕焼け小焼けを演奏したので、無し。さて私は東京サントリーホールでメンデルスゾーンの交響曲第2番「賛歌」を聞いたことがある。その時と比較すると今回の演奏は遜色が無い。即ち、OEKおよびOEK合唱団は日本で冠たる室内オーケストラ及び合唱団に育っているよ うだ。心強い限りだが、油断は禁物。更なる高みを目指して頑張って欲しい。


Last updated on Feb. 23, 2014.
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