2月15日喜歌劇「こうもり」、指揮:ハンス・リヒター、ソプラノ:小川里美、小林沙羅、
メラニー・ホリディ、テノール:ジョン・健・ ヌッツオ、タマラ・グーラ、新海康仁
バリトン:ペーター・ボーディング、セバスティアン・ハウプマン、西村雅彦、西村雅彦、バス:麦屋秀和
合唱:こうもり特別合唱団、武蔵野音楽大学、 管弦楽:オーケストラ・アンサンブル金沢
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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こうもり・プログラム表紙
 喜歌劇(Operetta)は初めてである。ウィーン子の元旦は、ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートか「こうもり」を鑑賞するという。これを聞くことができること、及び、オ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)のニューイヤー・コンサートで聞いた切れ味鋭い「こうもり」序曲を 再び、との思いで石川県立音楽堂へ出掛けた。

 第1幕が開始された。OEKコン・マスはヤングさんである。ホルンの4人。パーカッションの増員の他は通常のメンバー。序曲が始まった。オーケストラは舞台より客席に降りた所為か、 音はややくぐもった感じ。しかし、切れ味は鋭く、軽快。さて、「こうもり」は、アイゼンシュタインの妻ロザリンデの元彼である、ジョン・健・ヌッツオさん扮するアルフレードの舞台裏 でのセレナーデで始まる。次いで好演したアデーレ役の小林沙羅さんが登場し、ロザリンデ役小川里美さんとの二重唱。アルフレードが舞台に登場し、ロザリンデとのデュエット。やがて、 夫アイゼンシュタインが帰ってきて、勾留8日間への不満を爆発。今夜の夕食の話にも及ぶ。ここで、シュニッツェルが夕食の献立に登場する。私もかってウィーンでシュニッツェル を注文して、大きなシュニッツェルに驚いたことを思い出した。そうこうする内セバスチャン・ハウプマンさん扮するファルケが登場し、舞踏会への勧誘となる三重唱。再びアルフレー ドが登場しロザリンデに求愛。その時、麦屋秀和さん扮するフランクが登場し、アイゼンシュタインのつもりでアルフレードを勾留所へ連行する。石川県立音楽堂では幕は降りないが、ここで 幕。

 20分の休憩を挟んで、第2幕は合唱団が登場し、舞踏会シ−ン。先ず、小林沙羅さんのソロ。コロラトゥーラを発揮し、ブラボー。次いで、アイゼンシュタインがそれとは知らず自分 の妻を口説く。アイゼンシュタイン扮するペータ・ポーディングさんは声量も豊かで、好演。ロザリンデとの「時計の二重唱」の後、ロザリンデのチャールダーシュ。クラリネットが奏 でるハンガリ−のメロデーに濃厚なる歌唱。アイゼンシュタインのソロに続いて、合唱がBruderを歌う。ここはベートーヴェン:交響曲第9番第4楽章である。続いて、メラニー・ホリデ ィさん登場。やはり、貫禄のコロラトゥーラである。「シャンパンの歌」、ポルカ「雷鳴と電光」の後、「こうもりのワルツ」で終了。華やかな第2幕であった。

 休憩をはさんで、第3幕は刑務所長フランクの事務室で始まる。フランク(麦屋秀和さん)による日本語での社会風刺を披露。演出:佐藤美晴さん、脚本:アンティ・キャロンさんの趣向 である。西村雅彦さん扮するフロッシュが登場し、酔っ払い同志の二重唱。やがて、アイゼンシュタイン、ロザリンデもやってくる。アデーレのソロの後、アイゼンシュタインが自分の 正体を明かす。ロザリンデはアイゼンシュタインの口説きを暴露し、やり込める。その証拠は例の時計である。全員集まりフィナーレ。すべてはシャンパンの所為なのだということでメデタ シメデタシ。
 さて、金沢プレミエの「こうもり」は、幕が降りないという欠点を除けば、大成功であった。ウィーン子が元旦に「こうもり」を鑑賞する理由が分かった。即ち、清々しい。この清々し さを演出したのが指揮のハンス・リヒター・マエストロであった訳である。金沢オペラもポピュラーな演目は終わった。今後は、ワーグナーのオペラに期待したい。尚、ウィキペディアによれば、「喜歌劇」という枕詞は日本独自であり、しいて言えばイタリア語の"Operetta"らしい。


Last updated on Feb. 15, 2014.
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