1月26日OEK第345回定期公演PH

1月26日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第345回定期公演PH
指揮、ピアノ:ラルフ・ゴトーニ、ヴァイオ リン:マーク・ゴトーニ、チェロ:水谷川優子
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 オ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の「名手たちによるトリプルコンチェルト」と題した定期公演会。ラルフ・ゴトーニ・マエストロの指揮振 りと共に、ベートーヴェンの最高傑作三重協奏曲を聞ける。チェロ・ソリスト、ヴォルフガング・メールホルンさん急病の為昨日急遽水谷川優子さんに変更されたが、三重協奏曲に期待して石川県立音楽堂へ出掛けた。

 プレ・コンサートはベートーヴェン:弦楽三重奏曲セレナードニ長調OP.8とのこと。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロの三重奏で、綺麗な曲。優雅な雰囲気を味わうことができた。
 コンサート1曲目は、ベートーヴェン:コリオラン序曲。OEKの弦楽5部は8-6-4-4-2の通常配置。堂々たるイントロ。切れ味も鋭い。ラルフ・ゴトーニ・マエストロ指揮による強弱のバランスも良く、OEKの成長ぶりを具に感じられる。序曲としては珍しくピチカートによるppで静かに終了。
  コンサート2曲目は、ベートーヴェン:三重協奏曲。第1楽章Allegroは、OEK団員のチェロとコントラバスとの重厚なイントロ。出だしは好調。次いで、チェロ・ソリスト水谷川優子さんがテーマを演奏。急遽交代したとは思われない、堂々たる演奏。これに合わせて、ラルフ・ゴトーニ・ マエストロのピアノ、マーク・ゴトーニさんのヴァイオリンが加わる。ピアノ、ヴァイオリン、チェロ共名手である。この楽章のフィナーレは、第3楽章終了の様な堂々たる曲想。短い第2楽章Largo - attaccaは、チェロによる夢見心地で開始。ピアノによるアルペジオに合わせてヴァイ オリンの高音階が綺麗。Attaccaで第3楽章Rondo. Alla polaccaに続く。緊張感ある楽章から解放感溢れる楽章。中間部でのヴァイオリンとチェロの掛け合いも決まり、第1楽章より簡素なフィナーレで終了。これもベートヴェン風か。ベートーヴェンの最高傑作三重協奏曲はラルフ・ゴ トーニ・マエストロ、ソリスト並びにOEKの熱演により上質の音楽に仕上がった。

 休憩を挟んで、コンサート3曲目は、ベートーヴェンと同世代であり、ベートーヴェンと同様人気があったらしいウェーバー:交響曲第1番。第1楽章はAllegro con fuoco。OEKの演奏も上手くなったもので、イントロからびしりと決まる。中間部のオーボエ・ソロが綺麗。第2楽章 Andanteは、金管楽器によるイントロ。これも立派。続いて、「魔弾の射手」の雰囲気溢れる楽章。ウェーバーはオーボエが好きらしく、オーボエ・ソロが頻発。これにOEK水谷さんの熱演が応える。中間部のホルンのユニゾンも爽快に決まる。フィナーレはコントラバスによる 余韻で終了。第3楽章Scherzo: Presto-Trioは、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン風スケルツォ。オーボエによるイントロが綺麗。第4楽章Finale: Prestoは、ホルンによるイントロ。これも優。中間部ではフルート・ソロ及びオーボエ・ソロが華麗。Prestoの演奏でもOEKには乱れは ない。将に快活で、切れ味鋭く終了。カール・マリア・フォン・ウェーバーは歌劇「魔弾の射手」のみではなく、交響曲にも優れていたことを実感させる演奏であった。

 アンコールは、シベリウス:「悲しきワルツ」。フィンランド出身のラルフ・ゴトーニ・マエストロ指揮による万感込めた北欧を感じさせるアンコールであった。さて、ラルフ・ゴトーニ・マエストロにより、聞いたこ とがないベートーヴェン:三重協奏曲を堪能することができた。今回は何度リハーサルを行ったのか知りたいところだが、それはさて置き、OEK第1回定期演奏会を聞いた私には最近のOEKの演奏は正に隔世の感がある。今後とも、驕ることがなく謙虚な態度で、更なる高みへと挑戦 して欲しいものである。


Last updated on Jan. 26, 2014.
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