11月14日OEK第343回定期公演PH

11月14日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第343回定期公演PH
指揮:ギュンター・ピヒラー、ホルン:ラドヴァン・ヴラトコヴィッチ
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 ギュンター・ピヒラー・マエストロがオ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)を指揮して、ホルン協奏曲を披露する。珍しい曲に期待して、石川県立音楽堂へ出掛けた。

 プレ・コンサートはハイドン:弦楽四重奏曲第68番第2楽章Andante-Menuet. Allegrettoと第17番「セレナード」第2楽章Andante。第68番第2楽章は優雅。有名な第17番「セレナード」はブレンディスさんの第1ヴァイオリン・ソロに対 し第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロは全てピチカートという曲。何れも綺麗な出来であった。
 コンサート1曲目は、シューベルト:交響曲第5番。この曲は、モーツァルトの作風との親近性が指摘される古典的姿勢の交響曲とのこと。第1楽章Allegroは、プログラムにある口笛で吹いたようなイントロ。完璧な出だしのOEKは、8-6-4- 4-2で、ヴィオラとチェロが入れ替わった通常配置。コン・マスはヤングさんで、安定感有り。ギュンター・マエストロはオーバーな振りではなく、丁寧な指揮。ハイドン的な第2楽章Andante con motoの出だしは綺麗。プログラムに ある転調(短調へか)もスムーズ。尚、この楽章の終わり頃NHK大河ドラマ「八重の桜」のフィナーレ曲に似た箇所が出てくる。偶然か。モーツァルトの交響曲第40番の第3楽章Menuettoを想起させるという第3楽章Menuetto: Allegro molto; Trioは、 重厚なメヌエット。中間部のピッコロ・ソロは綺麗。第4楽章Allegro vivaceは軽快。フィナーレも完璧に決まり、出だし好調。
   コンサート2曲目は、R. シュトラウス:ホルン協奏曲第2番。ザグレブ出身のラドヴァン・ヴラトコヴィッチさん登場。第1楽章Allegro -は、ホルン・ソロのfに対してOEKはpで演奏した所為か、ややバランスに欠ける出だし。これはホルン・ソロ が休止した時点でのOEKによるfでの演奏により解消された。ヴラトコヴィッチさんは簡単に音を出しているが、華麗なテクニシャンである。フィナーレ近くのppでのホルン・ソロも高度なテクニック。Attaccaで続く明るい雰囲気の第2楽章は、Andante con moto。中間部におけるOEK団員のオーボエ、クラリネット・ソロが綺麗。フィナーレ近くではヴラトコヴィッチさんのソロは朗朗とし、気持ちが良い。第3楽章Rondo. Allegro moltoは早い音の切り替えの妙。何処で息継ぎをしているのか分からない。 オーケストラとの掛け合いも決まり、圧倒的なホルン協奏曲は終了。圧巻であった。アンコールは、メシアン:APELL INTERSTELLAIRE(星の間のApell)。種々の高度テクニックを駆使した現代曲。どのように音を出しているのか思案、そして感心する曲であった。

 休憩を挟んでハイドン:交響曲第92番「オックスフォード」。ハイドンがオックスフォード大学から名誉博士号を授与された1791年に「オックスフォード」と名付けられた曲である。第1楽章Adagio - Allegro spiritosoの出だしは完璧。 中間部では早くなるが、アカデミックな雰囲気。第2楽章Adagioは名誉博士号授与式を表すのか荘重。一旦停止が何度も出てくるのが面白い。第3楽章はMenuet & Trio: Allegretto。ここでも一旦停止がキリットした曲想を演出。ホルンのユニゾンは 秀麗で、効果的。第4楽章Finale: Prestoのイントロは颯爽。フィナーレは堂々として、重厚に終了。私ならハイドン:交響曲第92番「オックスフォード」を1曲目に選ぶのではと思ったが、3曲目も趣向。

 アンコールはハイドン:交響曲第57番第4楽章Finale: Prestissimo。この曲も重厚な、アカデミックな雰囲気。この曲をアンコールにするために「オックスフォード」を3曲目に設定したのかと思ったが、真相は?さて、このコンサートでは私の所有する CDリストにも無く、Wikipediaにも紹介されていないハイドンの弦楽四重奏曲第68番、並びに交響曲 第57番を聞くことができた。今後も金沢プレミエの曲をどしどし演奏して欲しいものである。


Last updated on Nov. 14, 2013.
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