ハイドン:オラトリオ『天地創造』は金沢プレミエである。カスパル・マンド・マエストロが「北ドイツの荘厳な響き」と題して室内合唱団ヴォーチェス・ムジカーレスと
オ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)を指揮する。定期公演ではないが、『天地創造』に期待して、石川県立音楽堂へ出掛けた。
プレ・コンサートは無し。
指揮:ロルフ・ベック、独唱・合唱:ドイツ・シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽合唱団を予定した『天地創造』であったが、急遽指揮:カスパル・マンド、合唱:室内合唱団ヴォーチェス・ムジカーレスに変更になったコンサート。
ハイドン:オラトリオ『天地創造』の第1部は、厳かにLargoで始まった。最初のレチタティーヴォでバス:パウルス・プトニンシさんの登場。ボリューム感溢れるバス。カスパル・マンド・マエストロの指揮は落ち着いた指揮で、安定感ある。OEKは8-6-4-4-2の対象配置。
続いて、天使の合唱。"und es ward"迄mf。"Licht"でfが決まる。先日のFacebookで「すごい合唱団」と紹介された30人程の室内合唱団ヴォーチェス・ムジカーレスの実力は、やはり凄い。続く、テノール:マティ・トゥリさんが登場。彼も上手い。
第4曲は同じくハイドンの『四季』にある曲想に似ているが、ここはソプラノ:アンナ・デニさんのソロ。彼女はプログラムにある通り、きめ細やかで、しかも音色(顔も)が綺麗。第8曲のソプラノ・ソロは歌劇のアリアに匹敵するほどの出来。第10曲の合唱は迫力あり、
第12曲では金管が立派。第13曲はこれも綺麗な三重唱を挟み、天使の合唱"zeigt an das Firmament" で第1部は終了。
休憩を挟んで第2部が開始。第15曲は、後のブラームスの『大学祝典序曲』に影響を与えたと思われるイントロで始まる。ソプラノのアリアはやはり上手い。フルート・ソロ、及びフルートとソプラノのDuoが素敵。第16曲でのチェロの伴奏は古楽器、ビオラダ・ガンバのように聞こえたの
は気のせいか。第27曲は、最初はソプラノとテノールのDuo。続いてバス・ソロ。その後三重唱が出てきて変幻自在。ハイドンは、交響曲ばかりではない。オラトリオ作曲家としても華麗である。第28曲は、ハイドンの「ハレルヤ・コーラス」。ヘンデルの華やかさは無いが、
落ち着いた上品な「ハレルヤ・コーラス」。歌詞は「アレルヤ」と発音し、第2部は終了。
休憩を挟んで第3部。ソリストの立ち位置が舞台向かって左からバス、ソプラノ、テノールとなる。これは第30曲にはソプラノとバスの二重唱。及び、第32曲にもDuoがある為らしい。ハイドンの『四季』ではソプラノとテノールのDuoが綺麗なのだが、ハイドンは『天地創造』
ではソプラノとバスのDuoに設定したのだろう。趣向である。第31曲ではカンタさんのチェロとバスのDuo。これも綺麗。続いて前述の第32曲二重唱。私の持っている基督教音楽出版:『天地創造』では、「わが幸い わが愛 妻はよろこび」とあり、アダムとイブの物語
である。プログラム記載の訳詞では、「あなたと共に、すべての喜びは高まり、あなたと共に私はそれらを二倍に楽しみ、あなたと共に人生の至福がある、あなたにそのすべてを捧げよう!」とある。旧約聖書の一場面である。第34曲終曲合唱は、フィナーレで
"er bleibt in Ewigkeit! Amen Amen!"を合唱し、終了。珠玉の『天地創造』であった。
アンコールは無し。さて、エストニアからの合唱団を招いてのハイドン:オラトリオ『天地創造』。30人程度の合唱団で、あのボリュームは羨ましい。金沢でも合唱団は30人程度とは言わない。しかし、100人、200人規模の構成は止めて、少数精鋭主義を目指すべ
きであろう。
Last updated on Oct. 06, 2013.