11月21日歌劇「カルメン」
指揮:佐藤正浩、メゾ・ソプラノ:リナ・シャハム、ソプラノ:小川里美
テノール:ロザリオ・ラ・スピナ、バリトン:ジョシュア・ブルーム
合唱:OEKカルメン特別合唱団、OEKエン
ジェルコーラス、管弦楽:オーケストラ・アンサンブル金沢
石川県立音楽堂コンサートホール
酢谷琢磨
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オ−ケスト
ラ・アンサンブル金沢(OEK)の第330定期公演MAの一環によるG. ビゼー:歌劇「カルメン」である。ソリストに期待し、オペラには金沢歌劇座があるのにと思いながら石川県立音楽堂へ出掛けた。
定刻通り18時30分に第1幕が開始された。前奏曲は、この前の第329回定期公演におけるスピード感あるPreludeとなり、期待が膨らむ。OEKの弦楽5部は8-6-4-4-2。金管を増員
したようで、一階席前方の椅子を取り外したオーケストラ・ピットでの演奏であった。ボリュームは十分で、佐藤正浩マエストロの指揮も正確で安定感がある。尚、合唱には日
本語も用いられ、字幕と相俟って分かり易い。又、レチタティーヴォ部にはダンスが挿入され、これも趣向。圧巻は、メゾ・ソプラノ:リナ・シャハムさんのHavanaise。メゾ・ソ
プラノというよりアルト的発声で悩殺的。但し、フィナーレでは幕が下りてこない。照明の暗転で終了。やはり、幕は必要か。
第2幕は、なんといってもエスカミーリョがかっこいい。バリトン:ジョシュア・ブルームさんのCouplets。即ち、"Toreador, en garde!"が心地良い。しかも、その後、テノール:
ロザリオ・ラ・スピナさん演じるドン・ホセの切々たるアリア "Carmen, je t'aime!"。これまた素晴らしい。フィナーレでは"La liberte!(自由だ)"を歌い、終了。
休憩をはさんで、第3幕は有名な間奏曲で始まる。フルート・ソロが綺麗。第1場ではソプラノ:小川里美さん演じるミカエラのアリアが珠玉。ソプラノのコロラトールである。
第2場はカルメンとドン・ホセの二重唱が圧巻。又、パイプオルガン席での5人のトロンボーン奏者による闘牛開始のファンファーレも効果的。フィナーレは、カルメンの死とドン・
ホセの絶唱「おれを逮捕してくれ・・・おれが殺したんだ! おお! カルメン! おれの大事なカルメン!」で終了。華やかで、歌劇の醍醐味を堪能できたといえる内容であった。
帰営ラッパで兵舎へ帰るドン・ホセに失望し、エスカミーリョに執心替えするカルメンの女心の機微に感心しながら帰途についた。さて、金沢市で2度目の歌劇「カ
ルメン」だが、舞台装置で場面転換が無いのは(美大がある金沢市におけるオペラとしては)少々問題。又、幕は必要であり、フィナーレでソリストが舞台上部を見つめていたのは印象
的。結論としては、コンサート・ホールでのオペラは演奏会形式と割り切ったほうが良さそうだ。金沢市には金沢歌劇座が有るのだから、本格的オペラは多少音響が悪くとも金沢歌劇
座での上演を目指すべきである。今後に期待したい。
Last updated on Nov. 21, 2012.