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5月5日ラ・フォル・ジュルネ金沢「熱狂の日」音楽祭2012公演番号322
ツェムリンスキー弦楽四重奏団、ピアノ:イーゴリ・チェチュエフ
石川県立音楽堂邦楽ホール

酢谷琢磨

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 ラ・フォル・ジュルネ金沢「熱狂の日」音楽祭2012公演番号322。ツェムリンスキー弦楽四重奏団は珍しく、しかもグラズノフ の弦楽四重奏曲である。これに期待して石川県立音楽堂邦楽ホールへ出掛けた。

 コンサート1曲目は、グラズノフの弦楽四重奏曲第3番「スラヴ」。初めて聞く曲。第1楽章は、ビオラによるイントロで、柔らかな出だし。ツェムリンスキー弦楽四重奏団は丁々発 止の弦楽四重奏団と異なり、端正で、整った弦楽四重奏団との印象。中間部にかけては奏者のうまさが光る。第2楽章はチェロによる出だし。短い、哀愁を帯びた曲想を丁寧に演奏。第 3楽章は、第2ヴァイオリン、第1ヴァイオリンと続くイントロ。中間部は激しいリズムの「マズルカ」。第4楽章はAllegro vivaceか。付点のリズムがスラブの祭りを表すようだ。東 洋的メロディーもあり、コーダも力強く、熱演の内に終了。

 2曲目は、ショスタコーヴィチのピアノ五重奏曲。第1楽章Prelude: Lentoは、ピアノによるショスタコーヴィチ風イントロ。ピアノとビオラのDuo。その後、第1ヴァイオリン、 第2ヴァイオリンと続く。綺麗である。第2楽章Fugue: Adagioは、静かに始まり、静かに終了。第3楽章はScherzo: Allegretto。弦楽のピチカートに合わせピアノが高音を演奏する。 正に、スケルツォ。第4楽章Intermezzo: Lentoは、間奏曲であり、チェロのピチカートと第1ヴァイオリンのDuoが素敵。第5楽章Finale: Allegrettoのイントロはやや遅め。中間部 以降はショスタコーヴィチらしい木琴を表すピアノの高音が印象的。フィナーレはシューベルト的とメモをしていたら終了した。初めて聞くショスタコーヴィチのピアノ五重奏曲 は、まさしくLa Sacre Russeであった。

 アンコールは無し。しかし、オーケストラの基本は弦楽四重奏と思わせる端正な演奏は、聴衆を満足させるに充分であった。


Last updated on May 05, 2012.
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