120413

4月13日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第319回定期公演PH
指揮:広上淳一、ピアノ: 河村尚子
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 「広上ワールド再び」と題したオ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の定期公演。今回はアッテリベリ、ヒンデミットと珍しい作 品を広上淳一マエストロが指揮する。これ等に期待して石川県立音楽堂に出掛けた。

 プレ・コンサートはヴァイオリンとチェロによるヘンデルのヴァイオリン・ソナタ イ長調。通奏低音がチェロという珍しいソナタ。緩急緩急の4楽章で、ヘンデルらしい綺麗な曲。
 コンサート1曲目は、アッテルベリ:ヴェルムランド狂詩曲。Varmlandはスウェーデン語らしいが、多分ドイツ語のWarm Land(温暖地方)に該当すると思われる。ビオラ、チェロで始まり、続く第1ヴァイオリン による温暖地方的綺麗な旋律が印象的。OEKの弦楽5部は8-6-4-4-2の対象配置。広上淳一マエストロは体を大きく使い、OEKを指揮。中間部ではフルート・ソロ、コンマスのサイモン・ブレンディさんによるソロが 綺麗。後半の舞曲は華麗。第1主題に戻り、静かに終了。シベリウスのフィンランディア程の盛り上がりではない。しかし、綺麗な狂詩曲であった。
 2曲目はヒンデミット:4つの気質〜主題と4つの変奏曲。河村尚子さんのピアノとOEKの弦楽5部のみ。第1変奏はプログラムによれば「黒胆汁質」。弦楽のみのイントロに続いて、黒いドレスの河村尚子さんによ るピアノが加わる。第2変奏「多血質」はワルツで開始、プレンディスさんと河村尚子さんのDuoは綺麗。第3変奏「粘液質」ではコントラバスを含む弦楽5重奏が綺麗。第4変奏は「胆汁質」。荒々しく開始。中 間部では、弦のピチカートとピアノが競演し、熱演で終了した。

 休憩を挟んで、シュ−ベルト:交響曲第2番。第1楽章Largo; Allegro vivaceのイントロはハイドン風。しかも、切れ味鋭く怒涛の演奏。第2楽章Andanteは、「キプロス島の女王ロザムンデ」に良く似た綺麗な楽 章。第2変奏、第3変奏編と編曲の妙。第3楽章Menuetto: Allegro vivaceは、2分余りの短いスケルツォ。クラリネット・ソロが秀逸。第4楽章Presto vivaceは、力感溢れるイントロ。フルート・ソロが綺麗で あった。繰り返し部でも飽きさせず、屹然と、しかも堂々と終了。

 アンコールは、シュ−ベルト:交響曲第2番第2楽章。2度聞いたが、やはり綺麗な曲である。さて、広上淳一マエストロによる斬新なプログラムを聞いた。私個人としてはヒンデミット:4つの気質〜主題と4つ の変奏曲が印象的。広上淳一マエストロによる更なる、新しいプログラムに期待したい。   


Last updated on Mar. 03, 2012.
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