120205

2月26日第9回石川県学生オーケストラ&オ−ケストラ・アンサンブル金沢合同公演
指揮:井上道義
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 金沢にブルックナーの交響曲第5番が響き渡る。石川県学生オーケストラにオ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)がJointし、井上 道義マエストロの指揮である。ブルックナーでは交響曲第4番「ロマンティック」を聞いたことがある。しかし、第5番は初めて。これに期待して石川県立音楽堂に出掛けた。

 プレ・コンサートは無し。
 コンサートはブルックナーの交響曲第5番のみ。第1楽章Introduction: Adagio; Allegroは、コントラバスとチェロの低音での丁寧な出だし。弦楽5部は良く分からなかったが、16-14-13-8-7構成のようで、チ ェロとビオラの位置を交替した通常配置。後で判明するのだが、低音部は少々人数不足気味。尚、コントラバスは舞台中央奥配置。丁寧な出だしの後はブルックナーらしい金管の咆哮。五管編成のトロンボーンと8管 編成のホルンが良く響き快調。中間部の弦楽器のみの箇所は練習の成果が現れ、非常に綺麗。その後、ホルンはフルートとの掛け合いとなる。ここは、少々不安。しかし、始め硬かった井上道義マエストロもその後調子を取り戻し、圧巻のフィナーレで終了。第2楽章Adagio: Sehr langsamのイントロは、チェロとコントラバスのピチカートにクラリネットのソロが加わり、綺麗。 全般的には金管の咆哮と弦楽の交互配置的ブルックナーの音楽では、金管の咆哮に意識が向きがちである。しかし、咆哮に続くストリングスも綺麗な曲なのであり、本日の第1、第2ヴァイオリン、即ち高音弦楽部門は 人数も多いため良く響き、しかも綺麗であった。第3楽章Scherzo: Molto vivace(schnell); Trio: im gleichen Tempoは、スピード感も加わり、華麗なスケルツォ。井上道義マエストロの踊りも健在であった。第4楽章 Finale: Adagio; Allegro moderatoは、コントラバスのピチカートでのイントロ。その後チェロとコントラバスのユニゾンがある。ここで、低音部の人数不足が露呈。低音部門の熱演でなんとか凌ぐが、低音部の 充実が望まれる。その後少々音の乱れもあったが、圧巻はフィナーレ。壮大で、感動的なフィナーレに仕上がり、屹然と終了した。

 16時20分頃の終了だったが、井上道義マエストロのお話のみで、アンコールは無し。大曲だけにアンコール無しも仕方が無いだろう。さて、金沢に鳴り響いたブルックナーの交響曲第5番。コンサート前の スライドでは厳しい練習風景が紹介されていた。即ち、OEK団員の指導、及び井上道義マエストロの妥協しないリハーサルの成果が現れ、何とか、一流オーケストラに近い演奏を聞かせて貰うことが出来た。以前、 聞いた金大フィルではチェロとホルンの弱体が目立っていた。チェロ部門の強化は大澤さんの指導で随分良くなった。残るは8管のホルン部門。金星さんの指導が行き届き、更なる質の向上を図って欲しいもので ある。しかし、是だけの演奏を披露できるのであれば、来年のカレッジ・コンサートも、選曲次第では、聞きたくなること請け合い。更なる飛躍を願いたい。


Last updated on Feb. 26, 2012.
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