120108

1月8日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第313回定期公演PH
指揮:山田和樹、ピアノ:モナ=飛鳥・オット
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

English
スマホ版へ

 オ−ケストラ・アンサンブル金沢 (OEK)のニューイヤーコンサート2012。「北欧のショパン」といわれるグリーグのピアノ協奏曲と久し振りのベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」に期待して石川県立音楽堂に出掛けた。

 プレ・コンサートはヴィヴァルディ:協奏曲集「和声と創意への試み」から協奏曲第1番「春」。ヤングさんを含む9重奏(3-2-2-1-1)で、新春を飾るに相応しい華麗な演奏。
 コンサート1曲目は、モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲。昨年が凶年であっただけに、本年が輝かしい年になる事を暗示させるイントロ。OEK弦楽5部は、8-6-4-4-2のチェロとヴィオラ の位置を入れ替えた通常配置。山田和樹マエストロは最初緊張したのかイントロはややゆっくり目であったが、中間部辺りで緊張も取れ、颯爽たる指揮を披露。これから始まる歌劇、否本年に期待を抱かせて、 終了した。
 コンサート2曲目は、グリーグ:ピアノ協奏曲。ピアニスト、モナ=飛鳥・オットさんは真っ赤なドレスで登場。第1楽章Allegro molto moderatoは、テンポの変化 に機敏に対応した、しかも付点が効果的な演奏を披露。ホルンとのDuoも綺麗。カデンツァは私の持っているCDと同じであり、アルペジオ奏法の華やかな演奏。うっかり、終了と思い拍手する人が出 る程の力強いフィナーレで終了。第2楽章Adagioは、まさに夢見心地。Attaccaで続く第3楽章Allegro moderato molto e marcatoは、リズミックな導入から華麗に展開。中間部ではフルート・ソロが綺麗。 コーダは金管楽器が咆哮し、圧倒的フィナーレ。グリーグの名曲をモナ=飛鳥・オットさんが華麗に弾き終えた瞬間であった。アンコールはシューベルト:「セレナーデ」。声楽曲をピアノで聞くの は、メンデルスゾーンの「無言歌」のようで、趣向。変奏の部分もあり、中々の出来栄えであった。

 休憩を挟んで、ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」。OEK弦楽5部は8-6-4-4-3、ホルンは3本。第1楽章Allegro con brioは、力強い演奏。尚、プログラムにおける「ヘミオラ(hemiola)」 は、大修館書店:ジーニアス英和大辞典によれば「2拍子の中に3つの音符、3拍子の中に2つの音符を持つ変則拍子」とのこと。第2楽章Marcia funebre, Adagio assaiは、ご存知葬送行進曲。ニューイヤー コンサートに相応しいか意見の分かれる所だが、4,5度目の葬送行進曲のテーマで静かに終了。第3楽章Scherzo. Allegro vivace - Trioは、3本のホルンを使用するファンファーレが華麗に2度演 奏される。ホルン奏者も腕を上げたと思わせる演奏。第4楽章Finale. Allegro molto - poco Andante - Prestは、力強い演奏。一旦停止後のオーボエ・ソロが綺麗。変奏の部分も華麗。コーダも圧 倒的で、決然と終了した。OEKの熱演であった。

 アンコールはベートーヴェン:交響曲第7番「第4楽章」。山田和樹マエストロの言う「ベートーヴェンらしくない曲」。これも力強く演奏され、「葬送行進曲」の是々非々を忘れさせるアンコールで あった。帰りには、例年の如くドラ焼きを頂戴した。今年は、妻と半分ずつ頂いた。ご馳走様。   


Last updated on Jan. 08, 2012.
2012年コンサート・レビューへ