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12月12日オ−ケストラ・アンサン ブル金沢第272回定期公演PH
指揮:金聖響、ソプラノ:森麻季、アルト:押見朋子
テノール:吉田浩之、バリトン:黒田博
合唱:大阪フィルハーモニー合唱団
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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Frohe Weihnachten! オーストリアのクリスマス
2009.12.23 Wed Stage 13:30〜16:00
出演:トロイ・グーキング(Vn.)、直江学美(Vo.)、黒瀬恵(Org.)、OEKエンジェルコーラス(Chor.)
会場:金沢21世紀美術館交流ゾーン、香林坊アトリオ、美術館周辺・柿木畠通り(雨天中止)

 金聖響マエストロはベートーヴェン・チクルス完結編として、オ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)を率いてベートーヴェンの交響曲第9番を演奏する。今回は、合唱団として大阪フィルハーモニー合唱団を迎えてとの事。久しぶりの「第9」に期待して石川県立音楽堂へ出掛けた。

 プレ・コンサートは無し。コンサート1曲目はベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番、お馴染みの曲である。イントロの遅いテンポの部分はしっかりした演奏で、 OEKの安定感が感じられる。弦楽5部は8-6-4-4-4らしく、チェロとコントラバスは舞台向かって左という配置。金聖響マエストロも落ち着いた、しかも的確な指揮を 披露。金聖響マエストロの成長が感じられる演奏であった。テンポが上がっても安定感充分で、OEKの成長も感じられて、頼もしい。中間部で舞台裏からトランペットの 演奏。上手いソロであった。フィナーレ近くでは、金聖響マエストロのスピード感が出てくる。乱暴さは無く、落ち着いたスピード感で安心。綺麗な序曲に仕上がった。

 休憩を挟んでベートーヴェンの交響曲第9番。大阪フィルハーモニー合唱団は初めから舞台に登場。楽譜を持っていない。暗譜である。第1楽章Allegro ma non troppo e um poco maestosoは、多少硬い感じ。ピリオド奏法だったかもしれない。その所為かpになるとOEKは少々不安気味。第2楽章Molto vivace-Prestoの行進曲風出だ しは好調。但し、ホルン・ソロで違和感。2度目のホルン・ソロは改善されてホッ。第2楽章終了時にソリストが登場と思いきや、登場は無し。これは、第3楽章と第4楽 章はattaccaで繋がないということを意味する。その第3楽章Adagio molto e cantabile-Andante moderatoは、cantabileだけに綺麗な演奏で開始された。中間部の第2ヴ ァイオリンとヴィオラのユニゾンが綺麗。だが、続くホルン・ソロでは、3人のホルン奏者の内エキストラ奏者だと思われるセカンド・ホルンで少々違和感。第3楽章終了 後ソリストが登場し、一旦休止。attaccaで続くのを聞いてきただけに大丈夫かと思った。しかし、聞いてみると、これも趣向。問題無し。第4楽章Presto-Allegro assaiは、 一転して安定感ある演奏で始まった。コントラバス・ユニゾンの部分は4人のため少々音が大き過ぎた。これを除いては、しっかりした演奏。ソプラノの森麻季さん初め、ソ リストも好演であった。尚、大阪フィルハーモニー合唱団は少ない人数の割には声が出ていた。しかし、ソプラノ部門は少々弱いように感じられた。但し、合唱団、ソリス ト全員が暗譜で歌ったのには感心。故岩城浩之マエストロだったら何と言うかと思った次第。声楽のミスも無く、圧倒的な演奏で「第9」は終了した。
 
 さて、定期公演で「第9」を聞くことが出来た訳である。金聖響マエストロの依然少々感じられた暴走気味は影を薄め、しっとりした演奏には感心。しかし、1曲目のベー トーヴェン:序曲「レオノーレ」とベートーヴェン:交響曲第9番第4楽章が絶品で、交響曲第9番の第1楽章から第3楽章は不安げな演奏と感じられたのは何故だろうか? この原因は、どうも本日のリハーサルは最初と最後だけ行い、交響曲第9番の第1楽章から第3楽章までを省略した所為と考えられるのである。もし、これが真相ならば、今 後リハーサルは全楽章行い、完璧を期すべきである。


Last updated on Dec. 12, 2009.
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