080726

7月26日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第245回定期公演PH
指揮:井上道義、ヴァ イオリン:アビゲイル・ヤング
チェロ:ルドヴィート・カンタ、ピアノ:松井晃子、石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 07-08シリーズの最終コンサート。オ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)ヨーロッパ公演記念演奏会ということなので石川県立音楽堂に出掛けた。

 プレ・コンサートはあったようだが、会場到着が遅くて聞けずじまい。コンサート1曲目はハイドンの交響曲第96番「奇跡、The Miracle」。第1楽章Adagio-Allegroは、出だし好調。OEKの弦楽は8-6-4-4-2で、井上道義マエストロの踊る指揮も健在。 ヤングさんのソロも安定感あり。尚、ティンパニーは従来のものより小さめのサイズを使用。その所為で、例の「硬い音」は解消。第2楽章Andanteは音が柔らかく、シチリア風は綺麗。第3楽章Menuetto:Allegretto-Trio-Menuettoは、一旦停止がスムーズで、 フィナーレのオーボエ・ソロのトリルが絶品。第4楽章Finale:Vivace(assai)は、常動曲であり、軽快。前楽章に続きオーボエ・ソロが綺麗であった。
 2曲目は金沢出身の作曲家堀内貴晃:「小管弦楽のためのCapriccio〜あばれ祭りによせて」という曲。大型のティンパニーを使用、金管も迫力の演奏であったが、これからという時に終了してしまい、残念。静かな第2楽章と迫力の第3楽章を作曲すれば、 立派な交響詩が出きるのにと思った次第。今後に期待したい。
 3曲目はL. アウエルバッハ:「憂鬱な海のためのセレナ−デ〜武満徹へのオマージュ」という弦楽曲。イントロのカンタさんによるチェロが素敵。第1ヴァイオリン:ヤングさん、ピアノの松井晃子さんが途中から加わり、ピアソラ的かと思うと、 ゲレツキの「悲歌のシンフォニー」的となり、フィナーレは武満徹を偲ぶ葬送歌で終了。L. アウエルバッハはロシア出身の三十五歳女性作曲家だそうで、今後の活躍が期待される。

 休憩を挟んで、4曲目は、ベートーヴェンの交響曲第4番。この曲のベートーヴェンによる弦楽の指示は10-8-6-4-4だそうだ。OEKの弦楽は8-6-4-4-3とコントラバスを一人増やしただけであったが、ティンパニーを小型のものを使用。 その所為か第1楽章Adagio-Allegro vivaceは、音は硬く無く、好印象。本日の1曲目と4曲目の第1楽章が共にAdagioなのは井上道義マエストロの教示的選択か。第2楽章もAdagioであり、この交響曲は前半が第1部で、後半が第2部といったほうが良さそうだ。 第2楽章は、10-8-6-4-4のオーケストラを聞くような感じで、立派なスケルツォ。フィナーレ近くのホルンの出も無難。第3楽章Allegro molto e vivaceは、壮大。第4楽章Allegro ma non troppoは、第1曲目のハイドンの常道曲をベートーヴェン風にした感じで、 華麗。小さめのティンパニーは大成功。音は硬く無いし、バランスの取れた交響曲に仕上がった。

 アンコール曲は、武満徹:「ワルツ」。弦楽がすごく綺麗であった。OEKは明日からヨーロッパ・ツアーに出発するらしい。ヨーロッパ公演で更なる飛躍を期待したい。Have a Nice Trip!


Last updated on Jul. 27, 2008.
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