3月17日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第218回定期公演PH
指揮:ペーター・シュライヤー、 ソプラノ:ユーリア・コルバチョヴァ
アルト:池田香織、テノール:アレクサンダー・ユデンコフ、バス:多田羅迪夫、
ソン・ドン・クォン、 合唱指揮:佐々木正利、合唱:オ−ケストラ・アンサンブル金沢合唱団
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 バッハによるヨハネ受難曲はミシェル・コルボ指揮ローザンヌ声楽アンサンブルで一度聞いたことがある。しかし、その時はパイプオルガンが演奏されなかった。 オ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)では、昨年ペーター・シュライヤーによる マタイ受難曲が演奏されたものの、やはりパイプオルガンは演奏されなかった。今回のヨハネ受難曲では本格的にパイプオルガンが入るのかにも興味があり、 石川県立音楽堂に出掛けた。

 プレコンサートでシューベルトの弦楽4重奏「ロザムンデ」が演奏されていたようだが、2Fへ上がると終わってしまい、確認は出来なかった。会場に入ると パイプオルガンを使わず、舞台上のオルガンを使用する事が分かったのは、これも残念。しかし、期待の内にペーター・シュライヤー指揮のヨハネ受難曲は始まった。第1曲合唱では、 私のもっている基督教音楽出版の楽譜ではミレミファの通奏低音がある筈だが、聞こえない。ミシェル・コルボのときも聞こえなかった。これはヴァイオリンがppで 演奏しているからなのか、楽譜が違うのか確認できなかった。しかし、合唱が始まるとこれでも問題ないかなと思えてきた。その理由は、男性合唱が元気で、女声合唱はもう少し元気を出せばと思ったが、 全体的には好演だったからである。第2曲のレシタティーヴォは、テノールのアレキサンダー・ユデンコフさんが暗譜で歌う。ロシア人は珍しいが、テノールのアリアも含めて熱演であり、最後まで聞かせてくれた。 プログラムにおける第7曲は、アルトの池田香織さんのアリアで、好演。第9曲はソプラノのユーリア・コルパチョヴァさんによるアリア。これも熱演。ユーリア・コルパチョヴァさんによるオペラのアリアも 聴いてみたい気持ちがした。第1部における終曲前の第13曲は、コンサートマスター・ヤングさんの前奏が素敵。無事第1部を終了した。

 第2部はヴィオラ・ダ・ガンバとリュートが加わり、プログラム上の第15曲が始まった。第2部最初の曲はコラール。この曲では、ドイツ語のSchriftのSchの発音が立派。第19曲アリオーソでは、 ヴィオラ・ダ・ガンバとリュート、即ち古楽器での伴奏が効果的。第20曲では、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバとリュートの四重奏がテノールのアリアに花を添えた。 第24曲はプログラムではアリア(ソプラノ)とあるが、該当は無し。楽譜でも該当箇所は無いので、プログラムの誤記であろう。第32曲はカンタさんのチェロの伴奏が素敵。あっという間に、 第39曲合唱となる。この合唱ではドイツ語のRuhtwohlのRの発音が巻き舌で、練習の成果が顕著。但し、時々Lに聞こえるのは日本人だから仕方がない。最後のコラールではJesu Christのところの ffが効果的で、感動のうちに全曲を締め括った。

 アンコール曲は無かったが、全曲を振り返ると熱演であったと思う。但し、折角設置してあるパイプオルガンを用いたヨハネ受難曲を聞いてみたいのは、私だけであろうか。


Last updated on Mar. 17, 2007.
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