1月9日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第213回定期公演PH
指揮:ルドヴィーク・モルロー、 チェロ:遠藤真理、ソプラノ:ジョアナ・ゲトミンタィテ
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 オ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)恒例のニューイヤー・コンサートである。今年は、マイケル・ダウスがリーダーではなく、マエストロ・ ルドヴィーク・モルローが指揮するということで石川県立音楽堂に出掛けた。

 プレコンサートは3Fからホルン四重奏により開始された。1曲目はウェーバーの魔弾の射手のようであったが、公式発表はドイツ民謡。1曲目は良かったが、後の曲は少々元気が無いように感じられた。 ホルン四重奏の後は、弦楽四重奏でショスタコーヴィチのポルカが演奏された。これはショス・タコらしい面白い曲であり、弦楽四重奏も聴きたい気持ちにさせる曲であった。

   コンサート1曲目はオッフェンバック:喜歌劇「天国と地獄」序曲で、フィナーレは例の「フレンチカン・カン」で盛り上がる。2曲目はサン=サーンスのチェロ協奏曲第1番。ソリストの遠藤真理さんの熱演で 、第1部から第3部まで切れ目無く、綺麗に、しかもフランス的洒脱さも兼ね備えて演奏された。なお、第2部にはサン=サーンスの「白鳥」に似たフレーズもあり、アンコールで聞いてみたい感がした。3曲目は オッフェンバックの「ジャクリーヌの涙」という曲であり、弦楽のみの奇麗な曲であった。アンコールで「白鳥」を聞きたかったが、拍手が途切れてしまい、聞けなかったのは残念であった。

 休憩を挟んで3曲目は、恒例のウィンナーワルツ。ヨハン・シュトラウス2世のワルツ「朝の新聞」から始まった。この曲はウィーン・フィル の第1回ニューイヤー・コンサートの1曲目との解説であったが、どこが「朝の新聞」なのかさっぱり分からない曲であった。3曲目からジョアナ・ゲトミンタィテをソリストに迎えての喜歌劇「こうもり」 からのアリア「公爵様あなたのような方は」とチャールダーシュ「ふるさとの調べよ」が披露され、コロラトゥーラ・ソプラノを堪能できた。出来れば歌劇のアリアを聞きたいと思ったが、この点については レビュー最後に考えてみたい。締め括りのワルツではヨハン・シュトラウス2世の「芸術家カドリーユ」が演奏された。この曲はメンデルスゾーン、モーツァルト、パガニーニ等の曲がちりばめられた 面白い曲であった。

 アンコール曲はジョアナ・ゲトミンタィテさんによるレハール「ヴィリアの歌」、その後演奏のみによる「美しき青きドナウ」、「ラデッキー行進曲」であった。これはOEKとしても恒例であり、演奏しなければいけない曲 なのかもしれない。しかし、OEKはいつまでもウィーン・フィルの2番煎じをやっている時ではないと思う。折角フランスのマエストロ・ルドヴィーク・モルローを招き第1部ではオッフェンバックとサン=サーンス を取り上げたのだから、第2部ではオッフェンバックの歌劇「ホフマン物語」、サン=サーンスの歌劇「サムソンとデリラ」からのアリア、または二重唱を盛り込むべきだった。来年のニューイヤー・コンサートでは 独自色を出せるよう新音楽監督井上道義マエストロに期待したい。


Last updated on Jan. 07, 2007.
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