9月2日オ−ケストラ・アンサンブル金沢国際舞台で活躍するアーティストたちVol.3
指揮:高関健、ヴァイオリン:上敷領藍子、メゾ・ソプラノ:鳥木弥生、ピアノ:高田匡隆
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 オ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の上記コンサートへの招待券が送付された。 OEKは久しぶりなので、石川県立音楽堂に出掛けた。

 1曲目は、ソリストに上敷領藍子さんを迎えてのメンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲であった。第1楽章の最初に多少違和感が あったものの、第1楽章最後のカンデンツアは見事。第2楽章の夢見心地は綺麗。第3楽章は最初に少々難点があったようだが、後は無難。 彼女は上手いのだが、押せ押せのみの演奏に聞こえる。押して退けばより綺麗に聞こえるのではと感じた次第。要するにもっと経験を積めば良いのであって、 逸材には変わりはない。

 2曲目はメゾ・ソプラノ:鳥木弥生さんによるオペラ・アリア集であったが、鳥木弥生さんがのどを痛め、ドクター・ ストップで2曲しか歌えないとのこと。このため、トマ:歌劇「ミニョン」より”君知るや南の国”とサン=サーンス:歌劇「サムソンとデリラ」より” あなたの声にわが心は開く”を歌った。ミニヨンのアリアは綺麗であったが、サン=サーンスは歌詞も記載されていないため歌の意味がうまく伝わらず、 残念な演奏であった。オペラ・アリアを2曲に縮小したため急遽モーツァルトによる交響曲第35番ハフナーが追加された。この曲は、ザルツブルグで ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団での演奏を聴いたばかりなので、 ウイーン・フィルとどこが違うか興味津々であった。ザルツブルグで聞いたハフナーは重量感があった。即ち、低音が深みを出していた。 これに対して、OEKの今日の演奏は低音が余り聞こえず、透明感溢れる演奏に仕上がった。モーツァルト時代ではOEKの演奏が正しいのかと思う反面、 現代ではウィーン・フィルの解釈が正しいとも考えられ、甲乙付け難い演奏であった。

 休憩を挟んで4曲目は、ソリストに高田匡隆さんを迎えてのベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」であった。選曲が良かった所為もあり、 好演であり、切れ味鋭いベートーヴェンに仕上がった。高田匡隆さんは指が長そうで、リスト等が上手いのではと思いプログラムを見ると、リスト国際ピアノ コンクール第3位とのこと。今度は是非リスト等を聞きたいと思ったのは私だけではなさそうである。

 アンコール曲は無かった。しかし、本日のコンサートでソリストの横で熱演したコンサート・マスターのヤングさんが印象的であり、また、全体を上手く統括した高関健マエストロの 指揮ぶりも見事であった。


Last updated on Sep. 02, 2006.
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