5月17日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第202回定期公演PH
指揮:ドミトリ・キタエンコ、 ピアノ:小川典子、トランペット:ジェフリー・ペイン
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 マエストロ・ドミトリ・キタエンコといえば、以前石川県立音楽堂コンサートホールでショスタコーヴィチの交響曲第9番を振り、オ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK)団員の若さにマッチしたこともあり、まさにOEKNo.1の演奏を行ったことを想い出す。 今回は、ショスタコーヴィチ生誕100年でもあり、マエストロ・キタエンコのOEKプリンシパル・ゲストコンダクター就任をも記念し、ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲 第1番を指揮するとのことで、コンサートに出掛けた。

 最初の曲は、予告パンフレット通りベートーヴェンの交響曲第8番である(私は、パンフレットと逆に演奏するのではと思っていた)。ショスタコーヴィチの協奏曲の前にベートーヴェンの交響曲第8番を持ってくるとは、 さすがショスタコーヴィチを生んだロシアのマエストロ・キタエンコである。この曲は第1楽章のフィナーレのように洒落気がある曲で、ショスタコーヴィチと聴き 比べてもそんなに違和感無く聴ける。ベートーヴェンの意外な面を垣間見たようで、思わぬ収穫であった。但し、第4楽章のフィナーレには仰々しさを感じたが、これは仕方が無いのであろう。

 休憩を挟んで、少々ジャズっぽいショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第1番である。この曲はプログラムにも書いてあったが、別称「ピアノ、トランペットと弦楽のための協奏曲」 というだけに、ピアノとトランペットの両方が活躍する曲で、ピアノの小川典子さんとトランペットのジェフリー・ペインさんのソロが非常に綺麗で、弦楽とも マッチした素晴らしい協奏曲に仕上がった。尚、マエストロ・キタエンコの指揮はソリストのジェフリー・ペインさんにキューを送るなど完璧であり、フィナーレも力感 に溢れ、素晴らしい演奏であった。2曲目はショスタコーヴィチのバレー組曲第3番である。この曲はフル編成で、しかもOEK得意なジャズっぽい曲であるだけに、マエストロ・ キタエンコとOEKの息がぴったりで、第1曲Waltz、第2曲Gavotteは熱演、第4曲Elegyはオーボエのソロが綺麗で、ショスタコーヴィチの交響曲第9番以来の好演であった。

 アンコール曲は、同じくショスタコーヴィチの「バレー組曲より」との掲示であったが、バレー組曲第1番から第4番までの曲かと思って家で聞いてみたが該当曲は無かった。すなわち、 これ以外のバレー組曲らしく、洒落た感じのアンコール曲であった。以上のようなコンサートであった訳だが、聴衆のノイズについて問題提起したい。楽章間のノイズは少なくなったが、 その反面、楽章中であればOKとの誤った認識が出来つつあるのかもしれない。楽章中、しかもpp時におけるノイズは折角の演奏を台無しにする。 本日のようなライブ録音のあるときは勿論、通常時でも楽章間は言うに及ばず楽章中も含めてノイズについては極力慎んで欲しいものである。


Last updated on May 17, 2006.
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