2月23日オ−ケストラ・アンサンブル金沢第195回定期公演PH
指揮:ロルフ・ベック、ソプラノ:シーモナ・ホーダ・シャトゥローヴァ
アルト:バーバラ・ロールフス, テノール:ハルトムート・シュレーダー
バス:マティアス・クライン、合唱指揮:佐々木正利
合唱:オ−ケストラ・アンサンブル金沢合唱団
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

English
スマホ版へ

 モーツァルト・イヤーの第2弾は、珍しいベートーヴェンの交響曲第4番を最初に、最後にはモーツァルトの戴冠ミサ曲 というプログラム。オ−ケストラ・アンサンブル金沢(OEK) 合唱団での戴冠ミサ曲は前に聞いた記憶があるが、モーツァルト・イヤーでのロルフ・ベック・マエストロの指揮にも興味 があり、コンサートに出掛けた。

 一曲目のベートーヴェンの交響曲第4番は、第3番と第5番の陰に隠れてはいるが、ベートーヴェンの円熟を示す傑作といわれる。 この曲をコンサートの冒頭でいかに演奏するかであるが、コントラバス3台であったためか威風堂々のベートーベンに仕上がった。次の モーツァルトのアリアではコントラバス2台であり、音量も適量に変わった点を考慮すると、コンサートの最後の曲では 今回の演奏が相応しかっただろうが、最初の曲としては少々重量感が有りすぎるように思えた。但し、OEKの演奏をハイレベルに押し上げる ロルフ・ベック・マエストロの技量には感心。しかし、楽章間のノイズにより最後は集中力が切れたのは残念。これは聴衆の マナーが悪い所為であり、楽章間のノイズは厳に謹んで欲しいものだ。次のプログラムであるシーモナ・ホーダ・シャトゥローヴァによるソプラノ・ソロで 演奏されたモーツアルトのアリアは、2曲目の「はげしい息切れとときめきのうちに」が好演であった。

 休憩を挟んで戴冠ミサ曲が演奏された。OEK合唱団のビロードの音色も健在であったが、最初のKyrieで楽譜では Kyがフォルテ、riがピアノのところ私にはフォルテからピアニッシモ、すなわち強弱の変化が大きすぎるように聞こえた。しかし、Gloria以下は問題なく、 特にBenedictusは綺麗であった。尚、GloriaとCredoの間の簡易ソナタ(Epistle Sonata)を演奏するか否かにも興味があったが、今回もソナタの演奏は無かった。 短い(brevi-)ミサ曲なので、次回は是非とも入れて欲しいものである。

 アンコール曲は予想が当たってアヴェ・ヴェルム・コルプスであり、綺麗で感動的な演奏であった。以上のようなコンサートであった訳だが、 トリノの冬季オリンピックで小野洋子が訴えたのは平和。日本では平和だが、海外ではテロおよび宗教の衝突という戦争が続いている。我々も、 平和を祈らなければならない。Dona nobis pacem.


Last updated on Feb. 23, 2006.
2006年コンサート・レビューへ