8月20日NHK交響楽団演奏会金沢公演
指揮:クリストファ・ワーレン・グリーン、トランペット:アリソン・バルソム
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

English
スマホ版へ

 最初の曲であるグリーグのペール・ギュント第1組曲第1曲の朝の気分は、イントロがもう少しppの方が良いと思ったが、後は無難。 但し、第4曲の山の魔王の宮殿にては最後に合唱と台詞が入るはずだが、これを省略したため主旋律が消えてしまって興ざめ。 この曲は、オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)でもできそうであるから、 今度は是非合唱とソリストを加えて、しかも第2組曲の最終曲ソルヴェイグの歌迄演奏して欲しいものだ。

 2曲目のフンメルのトランペット協奏曲については、ソロのアリソン・バルソムが無難に演奏したと思う。しかし、音は有ったが、大人し過ぎた。 この曲は2003年OEKの定期公演Mで演奏されたらしいのだが、残念ながら私は聞いていないので比較は出来なかった。

 休憩後のチャイコフスキー交響曲第6番悲愴は、LP時代はムラヴィンスキー、最近では現代のカリスマ、ゲルギエフのCDが有名であり、 N響がどう演奏するか興味津々であったが、綺麗過ぎた。ロシアの大地の土臭さを私は具体的に嗅いだ ことは無いが、どうも違う。土臭さが無い。この原因は、金管と低音部構成員数が少なかったせいではないか。ムラヴィンスキーのLPではヴィオラが沈痛 なメロデーを奏で、ゲルギエフのCDではトロンボーンが咆哮する。即ち、ヴィオラの数が少なかったし、トロンボーンは3管で四重奏が出来なかった。 これがその原因と思われる。従って、綺麗過ぎた訳である。アンコールのチャイコフスキー弦楽セレナーデ第2楽章ワルツは、この欠点がキャンセルされ、 非常に綺麗であった。

 OEKはN響を超えたと言う人がいるようだ。確かに今日の演奏で分かる通り、N響は欠点も多い、しかしOEKが追いつくのはまだまだ先との感を深くした。N響には 交響楽団として、OEKには室内管弦楽団としても頑張って欲しいものである。尚、N響は開演前舞台で練習していたが、この姿勢はOEKには無い。OEKには 開演までの僅かな時間を惜しんででも練習する姿勢をN響から学び取って欲しいものだ。


Last updated on Aug. 20, 2005.
2005年コンサート・レビューへ