7月6日オーケストラ・アンサンブル金沢第185回定期公演PH
リーダー:安永徹、ピアノ:市野あゆみ
石川県立音楽堂コンサートホール

酢谷琢磨

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 ロビー・コンサートで演奏されたモーツアルトの弦楽五重奏は、チェロが遠慮気味に弾いていたのを除けば、非常に綺麗であった。  しかし、コンサートが始まった最初の曲であるメンデルスゾーンのヴァイオリン、ピアノと弦楽のための協奏曲は、ピアノ協奏曲か ヴァイオリンソナタか紛らわしい曲のせいもあり、バランスに欠けていた。2曲目のウォーロックによるキャプリオル組曲はレスピーギ のリュートのための古代舞曲とアリアを連想すると解説にあったが、私の持っているCDと比較するとオーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)の演奏は華やかさに欠けていた。最後のモーツァルトによる 交響曲第38番プラハでは指揮者無しのせいか調子が出てきたのが最終楽章というお粗末。尚、アンコールで演奏されたドヴォルザーク の弦楽のセレナーデでは終わりの拍手が早過ぎた。第1楽章だけの演奏とはいえ、ppで終わる曲は余韻を楽しみたい。

 以上のようなコンサートであった訳だが、OEK側の問題点を考えると、以前からコンサートの最初の曲がどうも不安定であったことが想起される。 OEKは前日のゲネプロは実施しているが、演奏会当日のリハーサルを実施していないのではないかと思われる節がある。その理由は、 演奏会当日18時頃楽器を片手に私服でホールにやってくる楽団員を見たことがある。かの ウィーン・フィルでさえトスカニーニは5回のリハーサルを要求したそうである。OEKも当日のリハーサルを入念に行って演奏会に 臨んで欲しいものだ。

 聴衆側の問題としては、一般的にコンサートに於けるノイズが多すぎる。樂章間の咳は以前より増えているし、楽章中でのノイズも多い。 ウィーン樂友協会大ホールでのライブ録音CDを聞くと全くノイズが無いのが心地良い。石川県立音楽堂のライブ録音CDが不快にならないよう聴衆も襟を正さなければならない。


Last updated on Jul. 15, 2005.
2005年コンサート・レビュー