時の終わりを歌う歌


                                                           by 穂村 満&涼 和也

 
 
     HASHY BY BABY

HASHY BY BABY


 昔、昔、小さな私の子供がもっと小さかったときに歌ってもらった子守歌。
 

ハシャバイ ベイビィ


”きれいな歌だね。何の歌?”
 今の私の子供がたずねる。

”子守歌よ。ずーっと昔の…たぶん。
よく覚えていないんだけど…”
まだ、なにも知らない私が答える。

”なんて歌っているの?”
”子供がゆりかごで寝ているん
だけれどもね母親が目を離した隙に、
子供はゆりかごから落ちて死んでしまうの。”

”悲しい歌だね…”
”そうね…。でも目を離した母親が悪いわ。
どこかへ行ってほしくなければ
ゆりかごに縛り付けておく位しなきゃね”

”くす、それじゃ子供だって苦しいよ。”
たわいないやりとり。
冗談だと思ったのかあなたは笑う。
そうね、と私も笑う。
そしてまた優しく歌う。

誰にも気づかれないように。
私にも気づかれないように…。

だって私は本気。

私は決して私の子供を離しはしない。
決して抜け出せないように、縛ってあげる。
外の風が耐えられないように大きな傷もあげるわ。

ほら、外の風は痛いでしょう。
それだけ大きな傷があるんだもの。
私が側にいてあげないと不安でしょう?
だから、抜け出そうなんてしないでね。
そうすれば守ってあげるわ。
外の風から…。
すべての痛みから…。

私のすべてをかけて…、
私の命をもって…。
 

あなた        わたし わたし
子どもがいなければ母は母でいられない。
出ていくなんて許さない。
 
 

もしも、

それでも揺りかごから出ていこうとするならば…
 
 
 

ダ−−−−−−ン
 
 
 

銃声が響く…
 
 
 

「フェイ!」
「僕の…銃…!」
「なんで…、エリィ!!」
 
 
 
 
 

「ふふ…、ふふふっ………」
 
 
 

   エレハイム
─────私は、…  … ─────
 
 
 
 
 
 
 
 

ハシャ バイ ベイビィ…
 

おやすみなさい 私の愛する子ども
 

それでも揺りかごから出ようとするならば…
落ちて死んでしまいなさい。
 
 
 

その亡骸を抱きしめて死んでも離しはしないから…。
 

          −了−
 



 
 

《懺悔?》

いきなり真っ暗けなエレハイムネタ。
二人で電話していて出来たネタです。
だってエリィの遺伝子にウロボロス環(子の自立を阻む母の象徴)
があって、デウス内最後のボスがウロボロスでしょう?
だから最後の声の人って実はカレルレンではなくて
エレハイム(ミアンでもいいですが)でラスボスもエレハイム。
かえっていらしたエリィは実は別物(爆)であったりとか
母から自立したフェイが思い描いた人生の伴侶として
ゾハルに作り替えられたエリィじゃないかとか…。
…すごいことを言っていたのですね…私たち…(笑)
ファンの方々に殺されても文句は言えませんね。
いや殺さないで欲しいですが…。

(1999.12.15 リオりー)