紅葉狩り
「わーい、先生とデートデート」
クルクルッと小犬のようにはしゃぎ回るフェイ。
その横にはその様子をクールな表情で見守っているイド、いつもと変わらぬ優しいまなざしのシタンがいた。
「おやおや、そんなにはしゃいで」
「だってだって、みんなで一緒に旅行に行くなんて初めてだもん！」
満面の笑みを浮かべるフェイをみながら。
「そうですね。思えばこのメンバーで行くのは」
両手に花といわんばかりにシタンの両腕にはフェイとイドがいた。
片方はものすごいはしゃぎようなのに対して、あいかわらずといっていいのかイドはクールな面持ち。
「面白くなさそうですが」
イドの様子を伺うシタン。
「……貴様がついてこいって言うからついてきてやったまでだ」
「おやおや」
本当にそうですか？という顔をしている。
「貴方の隣がフェイではなく私だから不満なんじゃないですか？」
シタンの言葉にイドは図星さされたような面持ちで顔を真っ赤にした。
「……うるせぇ」
そう一言言うとソッポ向いてしまうイド。
「くすくす、そうして欲しいなら言ってくれればいいじゃないですか？」
「……」
言えっかそんなこと！って顔をしている。
「素直じゃないですねー」
「……」
「ねーねー、イドと何の話してるの？二人で内緒話なんてずるーい！」
シタンの腕を引っ張るフェイ。
「内緒話なんてしてませんよ」
「え？話するなら俺も一緒に混ぜてくんなきゃやだよー」
……と駄々をこねるフェイ。
「もー、仕方ないですね」
そういいながらシタンはフェイの頭を撫で撫でした。
「えへへ」
嬉しそうな顔をするフェイ。
ふと視線がイドと合う。
「先生、イドにも撫で撫でしてあげてー！」
「え…？俺様はぁ……」
タジタジと後退するイド。
「おや、撫で撫でしてほしいんですか？」
振り返るシタン。
笑顔がちょっと怖い気がするがでも凄く嬉しそう！
「してほしいなら、ちゃんと言わないとダメですよ」
「さ、触るなっ！」
シタンの手が今にも届きそうになって、手が触れそうになると巧みに身をかわすイド。
なかなかイドの頭にシタンの手が届かない。
そんな様子にフェイは無防備なイドの後ろ姿からはがい締めする。「つっ、かまえたァーーーー！」
「こ、こら！フェイ、何しあがんだ！！」
ジタバタ暴れてもフェイ相手じゃイドも手加減する。
「先生っ！今のうちだよ！！」
「くすくす。観念してくださいね」
そういうとシタンの手が伸びてイドの脇腹にシュート！「イイ子にしないとくすぐっちゃいますからね〜」
くしゅくしゅくしゅくしゅ〜
くしゅくしゅくしゅくしゅ〜「アァーハハハハハ……。や、やめろって！！」
大笑いながらバタバタしているイド。
それをキョトンとしてみているフェイ。
「その隙に」
……と、シタンはイドの頭を撫で撫でに成功した。
「あ…」
撫でられて我に返る。
やられた！と思うイド。
「…っくしょー！」
地団駄を踏みながらシタンに突っかかっていこうとするイドを制したのはフェイ。
「先生ずるーーーーーーーーーいっ！」
「え？」
「イドにもするなら、俺にもして、してよーーー」
イドよりもはるかに地団駄を踏みならしながら、シタンに甘えるフェイ。
「いや、これはですね。フェイ……」
イドにおしおきしたつもりが、フェイにもねだられる。
当惑しているシタンを横目にイドは、思わずクスッと笑いをこぼした。
それを見逃さずにみつけるシタン。
「今、笑いましたね。貴方にはあとでもう少しお仕置きをしないと、ね」
茶目っ気たっぷりに笑うシタンを今度はフェイが見逃さない。
「くすぐりって、おしおきなの？」
「……ですからあれは……」
フェイの前ではすっかりタジタジな様子。
「俺もくしゅくしゅ〜のお仕置きしてくれなきゃイヤだーーー！」
「あ、あのですね」
「イドにして俺にしてくれないなんて、先生ひぉどい」
フェイに泣かれるとさすがのシタン先生もどうしたらいいのか。
思わずイドに助けを求めたり……。
「イド、なんとかなりませんか？」
苦笑いを浮かべながら懇願してくる。
「してやりゃーいいだろ」とクールな一言。
「ツレないですねー」
そんなシタンの嬉しい悲鳴を聞きながら……イドは上を見上げる。はらはらと風に舞い降りてくる紅葉。
イドの手のひらを一時の休憩所にした紅葉は、また風に舞い上がって、どこまでも澄み渡る空の彼方へと飛んでいってしまった。それをいつまでも見上げてるイド。
わいわいと大いに盛り上がっているシタンとフェイの二人の騒ぎを、BGMにしながら。
了
まきむら様より頂きました。というか強奪。
春頃にゼノ更新月間なるものをしたときに
何かかけたら下さるとのこと。
それを盾に奪い取りましたです。
お子様なフェイが意地っ張りなイドが可愛いです。
保護者シタンは幸せですよね〜。とっても可愛いお子様なフェイは
まきむら様のサイト魔窟でも会えますよー
是非行ってくださいね。今回は本当に本当にありがとうございました〜。
（2004.1.4 ほむら）