○● ゲーム日記帳 ●○
2007年【1】

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11月17日
 
 『恋する乙女と守護の楯』 CLEAR!
 ひさぶりにゲームをクリアしたわけですけれども、おかげで楽しんだ楽しんだ。
 お嬢様学園モノ・オブザイヤーでしょう、この『恋楯』は!
 政財界の要人の子女が通っているという点でまさしく「お嬢様学園」ですし、そうした女の子だから悪意を持って狙われるのも必然で。
 そこへ主人公が依頼を受けてボディガードとして立ち回るというのも無理無い設定かと。
 作品に触れる最初のスタート時におけるムリクリ感がきわめて少なかったことが非常に好感ですわ〜。

 加えて冒頭からの引き込み方が如才ないっちうか。
 こう、背景説明より先に状況説明から入るって言うんですか?
 主人公が置かれた状況において、必要最低限なところだけを使ってドラマを作っていると感じたり。
 それがまたテンポ良く進むものですから、ぐいぐい引き込まれましたデスヨ。

 おまけにこの冒頭あたりのイベント絵の構図がまた見事で。
 どういう構図にすれば印象深いシーンとなるのか、とても考えられていると感じました。
 生徒会メンバーそろい踏みのシーンとか、妙子に顔を近づける雪乃のシーンとか!
 前者は斜めのあおり構図にしているところがシリアス感を強調していると思いますしー。
 後者はキャラの立ち位置をセンターからオフセットして配置することで不安定感を与え、それが妙子のドギマギする心情と重なってくるように思うのですよー。

 とにかく「掴みが大事!」というセオリーを、丁寧に心得ているなぁ……という印象が。

 もちろん本編での見せ方も秀逸のひとこと。
 チビキャラを用いてシーンを描くのは最近の定番になりつつありますが、やはり要所要所で差し挟むことでテキストだけでは物足りない展開にメリハリを生みますしー。
 それとキャラの顔アップのカットインは、アクション物に必要な疾走感や躍動感を与えていると思うのですよー。
 とにかくアクションシーンでのカットインの多様さは見事でした。

 自分たちの作品の売りとする部分を、きちんと心得ているなぁ……とここでも。


 で、肝心の本編の展開ですけれど、こちらも十分に及第でした。
 ストーカーを撃退したり、襲撃者と交戦したり、さらに新たな刺客が……と、とにかく常に物語が動いている感覚があって飽きることが無いっちうか。
 そうした事件の合間合間に「学園モノ」としてのストーリーも走らせてくるのですから堪りません!
 ユーザーを楽しませようという意識に包まれた、ものすんごいエンターテインメント作品ですよ!(≧▽≦)


 Hシーンが各キャラ2シーンしかないのは、昨今のエロゲとしては少ないほうかと思いますけれど、わたし的には◎。
 むしろ主題の邪魔をしない程度に収められているので、これはこれで良いのではないのかなぁ……。
 昨今の……と比較しての違いは、もう一つ。
 そのHシーンでの差分が無いことでしょうか。
 ほら、あの……中に出すとかなんとかで、汁絵を差分として用意してある選択肢。
 このあたりの手法も、テンポ良く進んでくる流れを阻害しないようにとの意図があったりなかったり?
 だとすれば、わたしは賛成かなー。
 その手の人には不満かもしれませんけれど、CG回収がめんどくさいのでー(笑)。

 そういえばこのHシーンへ突入する流れがスゴイなぁ……とか思ったり。
 たいていのシナリオでは襲撃者を撃退したあとでシーン突入したりするのですけれど、それって戦闘で昂揚した気分のまま勢いで――ってことなのかしらかしら?
 おいおいおいっ!と何度苦笑したことか。
 本能まかせで、すっごい獣だわー(笑)。


 あえて本編に問題を見つけるとしたら、5人いるヒロインのうち、ふたりのストーリー展開が似てしまっているというところでしょうか。
 似ているというだけでなく、問題の解決方法もちとカタルシスに欠けるような気が。
 暗殺者を説得して、納得してもらって無事解決……って、どうも、ねぇ?(^_^;)
 んでも、それは主人公の不器用さと優しさを表現しているモノだとも思えますし、となればやはり近似の展開という点のみが問題なのかなー。


 そんな次第で恒例のヒロイン好感度!

雪乃 ≧ 有里 = 設子 > 蓮 ≧ 鞠奈

 雪乃は5人のなかでもメイン格であるわけで、そのためボリュームとか半端無かったような気がします。
 優遇されてるなー、と(笑)。
 ボディガードとしてのプロットも、女の子を救うというプロットも見事に昇華されているカンジ。
 全体のまとまりが良いっちうかー。
 加えて、クライマックスでの「お互いを想うからこそ生じる気持ちのすれ違い」の部分がわたし的にはヒット!
 貴方が傷つくくらいなら、自分が犠牲になったほうが良い……といった。
 それは感情にまかせた浅はかな判断なのかもですけれど、やっぱりドラマですよ〜(T▽T)。


 有里は親しみやすさが好感でした。
 おまけにエージェントとして主人公へ抱くコンプレックスも、当然ドラマのトリガーですし。
 ほかの4人に比べて敵がショボい点と、エピローグが弱いという点が残念ですけれど。
 ……ネタ、息切れしちゃったのかなー?(苦笑)
 んでもやぱし、パートナーとしての友情から始まる恋物語って良いな〜……と思うのですよーん。


 設子は主人公の立場との対比がドラマになっていますしー。
 そしてその立場を追われて帰る場所が無くなったところで発展する恋っちうのもね、また良いものなのですわ!(笑)
 主人公の包容力の見せ所っしょ!
 ツンデレではないですけれど、強さばかりを見せていたところで急に弱さを発するというこの落差が萌えなのか、萌えなのか!!?
 そして設子さんは、ほかのシナリオでの活躍がカッコイイところも見逃せません。
 雪乃シナリオでの礼拝堂でのやりとりとか、有里シナリオでの退場の仕草とか。
 この凛々しさがあるからこそ、本人のシナリオのなかでの愛らしさが引き立つっちうかー(笑)。


 蓮と鞠奈は先述の「物語が近似している」ふたりなので、ほぼ同格。
 差が生じているのは、鞠奈の子供っぽさがちょっと鼻についたので、その点がー。
 あるいは蓮ともども、子供っぽさというものではなくて「世間知らずのお嬢様」に類するものなのかもしれませんけれど。

 にしても、あれですか。
 鞠奈の裏表かつ毒のある性格による言動に北都南さんが声をあてると、当初はどうしてもみやびに聞こえてきてしまいましたことよ(^_^;)。



 そんな次第で、ヒサブリに遊んだ作品がこの作品で良かった!と思えるくらいに楽しかったです。