○● 読書感想記 ●○ 2007年 【3】 ※ 表紙画像のリンク先は【bk1】です ※
「最後って、どういうこと? これからどうするつもりなの?」 僕は答える。 「大学に戻る。医学にどっぷり浸かって、とことん勝負してみようと思う」 それから、一つ深呼吸。引き返す道を塞ぐように、宣言する。 「もう、逃げるのはやめた」
いや、まさか、海堂センセの作品で、こうも熱い気持ちを聞かされるとは思いもしませんでしたヨ! がんばれ、ラッキー・ペガサス!(≧▽≦) 次の『ジェネラル・ルージュの凱旋』は『ナイチンゲール』とかなりリンクした冒頭だったので楽しみです! 読むのに時間掛かるのは困ったものですけれど、それだけ充実した内容であると! だったら読むしか!
「普通の友達だったらそこまでしないよ」 苦々しげに呟く茜に、日名子は笑って 「茜や小夜がツムギみたいな状況になったら、同じことをするつもりだよ」 と言った。
なんのてらいも無く言ってのけちゃうんだもんなぁ……。 茜じゃなくても、かいぐりかいぐりと撫で回したいわっ!(笑) 足塚センセは『蛇と水と梔子の花』シリーズ以来の人妖交流譚ですけれど、やぱしこの雰囲気は好きかなー。 それほど奥まったお話しが展開されるわけでなく、日常の隣にある世界を想像させてくれるっちうか。 童話や御伽話のような郷愁感をくすぐられるのデスヨ。 長く続くシリーズになってくれると嬉しいなっと。 ところで。 ひだかなみセンセの挿絵も、ひっじょぉーにわたし好みだったのですけれども。 あとがきを見ると、足塚センセのもとへは千遊さんのラフ画が送られているそうな。 んがしかし、本編には千遊さんの挿絵は無くてー。 どーゆーことよ、これぇ!? 再登場、求めます!(笑)
「ワタシのためになごちゃんを殺せるか、それともなごちゃんのためにワタシを殺せるか。どっちもできなきゃ、死ぬのはあなた」
つまりー、オンナノコ同士の命を賭けた三角関係だと思うー(違ッ)。 やぱしスゴイわ、扇センセ。 これからも付いていきます!(≧▽≦)
「女の子は、外で泣かないのよ。いいこと。涙を見られて誰かに恋をされたら大変ですもの」
──とかねーっ!(≧▽≦) とにかく「お馬鹿なオトコノコを優しく包み込むオンナノコ」って構図が楽しくって。 それも静的に見守るってだけでなく、動的にオトコノコに叱咤することもあるたりが激しく好感。 跳び蹴りで恋心を気付かせるヒロインって、そうそう見ないと思う〜(笑)。 流浪の大賢者スマートじゃなくても「しばらく語り継ぐぜ」(^_^)。 そんなヒロイン・カリカの他にも、王妃であるユウレルダヤとか、その侍女のタニニミヤとかも魅力的で〜。 タニニミヤなんて仕える身でありながら盲目的に従うことをせず、しっかりと自分を持っているところが良かった〜。
「たとえしくじったとしても、やると決めて行動に移して。それで何も変わらないわけはないのです。事態がたとえ悪い方に動いたとしても、それを受け入れる覚悟が出来ているのなら、きっとなんとかなると私は信じています」
ああん、もうっ! 良いことばかりだけでなく、悪いこともきちんと目に映して。 その強い姿勢に憧れますよー。 今年は主従関係が来るかなぁ……とか思ったりして(^_^;)。 ユウレルダヤは一見すると強い人であったけれど、やぱし折れてしまったところが可愛かったワケで。 ギャップがー(笑)。
無敵の魔法? なんだろうそれ。 「女の涙っていう魔法だよ」 スマートが言い、カリカは笑った。 確かに魔法だ。 平伏せ、陛下。
ここで「涙」をもってくるあたり、うまいなぁ……と。 定番ですけれど、その伏線は張ってあったと思いますしー。 それでも語るだけで物語をまとめようとせず、クライマックスでは主人公たちが身体を張って事に当たろうとするあたりで熱くなるワケで。 渦中に飛びこまずに、なにが主人公か。 やっぱり自分の力で事件を解決してこそ主人公だよなぁ……と思った次第。 スマートと魔王は、またまた別の世界へと旅立ってしまいましたけれど、次はどんな世界で暴れてくれるのか楽しみです。 サリタ以外の魔王の存在も見えましたし、多元世界へ物語が飛躍していくことに期待して。 ラストはオールスターキャストだったりすると、ちょー嬉しいんですけれどもっ! カリカ、魔法使いの修行を始めましたし、どうかなー??
『リリアとトレイズX 私の王子様<上>』 時雨沢恵一 著 進展がありそうで無い……ような。 もう、いつまでこの状態が続くのかなーって、冷めた気分になって。 「リリアとトレイズ」なのに、そのふたりを応援したいという気持ちになれないというのは、読む姿勢として致命的だなぁ……。 ふたりはふたりなりに頑張っていて、それこそ窮地という観点から言えばアリソンたちが同じ年頃で体験したことよりもっと危ない橋を渡ってきているとは思えるのですけれどもー。 んー……でもなぁ。 ああ、応援したいという気持ちになれないというのは、ふたりの仲についてもですか。 とーにーかーく、トレイズがダメ過ぎて(TДT)。 覚悟が決まっていないから優先順位が酷く曖昧で。 いざ判断の場に面したときに、選んだ行動について場当たり的に感じるのです。 王子様という立場を隠しているにしてもさー、もちっと、こう、周囲に流されない部分っていうのを持っていてほしかったり。 そうした不甲斐なさが、最終巻での大どんでん返しクライマックスで活かされたりする……んでしょけれど。 それにしたって……。 「まるのままのジャガイモ」とか、嗚呼とか思って反応した部分もあるのですけれどー。 それってシリーズだから、とくに『アリソン』で描かれたところだから反応しただけですし。 『リリアとトレイズ』という作品の魅力って……じゃあなに?って考えてしまうわ。