○● 読書感想記 ●○
2007年 【2】

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20
 
『ラビオリ・ウェスタン』 森橋ビンゴ 著

 そうそうそう!
 一人称の物語っていうのは設定を開陳しやすいがためにあるのではなくて、主人公の感情を素直に伝えるためにあるのだと!
 改行少ない文体は可読性については支障をきたしているのかもしれないですけれど(そしてそれはラノベとしては致命的なのかもデスが(T▽T))、その「理解しにくさ」は一人称で語る主人公・ハセガワ ハナヲことニョッキの思考であり感情であり。
 他人の考えることが簡単に読めるものかーっ!……ってことで(^_^)。

 ただし一見しての難解さとは裏腹に、読み進めていく際のリズムは悪くなかったのですよねぇ。
 脳内がダダ漏れして表れているというのではなくて、やはり読み手を意識した筆致であったというか。

 生きている文章……っていうカンジなのかな?
 著者の言葉ではなく、ハセガワ ハナヲの言葉として受け入れられるっちう。
 平たく言うと、好きだ!なんでしょうねー(笑)。
 読んでいく中で顔がニヤけてしまったら、もう、はい降参ってカンジでしょー。


 本編の題材もね、わたしの好きなピカレスク・ロマンですしー。
 正義とか悪とか、そんな基準ではなくて、自分の気持ちがYESかNOか。
 他人がどう思うかではなくて。

 まぁ、どれだけ孤高に生きようが、その生き方すら「世間」の中に存在するわけで。
 となれば孤高の末路は「世間」が定義するところの「倖せ」に辿り着くことは無いのかもしれないけれど、自分が「倖せ」だと思わないそれに価値は意味は無くて。
 行き着く先に「倖せ」が無いと分かっていても、その生き方を肯定する覚悟に惚れるのかもデス。

 ニョッキの師匠たるラビオリの生き方もさー、悲惨で凄惨であったと思うんデスヨ。
 でもそれが不幸であったかというと……んー、なんか違うって思ったり。
 少なくともラビオリ自身は自分の生き方を肯定していたし、そして弟子であるニョッキもまた彼女を肯定して、そしてさらにそのスタイルを受け継いでくれたワケで。
 世間一般、子であろうと孫であろうと部下であろうと弟子であろうと、自分の意志を継いでくれる存在がいるっていうのは、なかなか無いと思うのデス。
 それを思うと、ラビオリは倖せだったと言えるのではないかなー……。


 物語の入りが破天荒すぎ、そして当初の主人公の言動は無関心寄り……という取っつきにくさはあると思うのですが。
 んでも、そうした負の局面から入っていったことが、中盤のターニング・ポイントを超えての作品の引き締めに功を奏していると。
 物語の振幅の問題。
 導入部の勢い、導く存在、主人公の感情が変遷していく様、大きな転換点、クライマックスでの駆け引き……etc、etc。
 物語としてあるべき要素が十二分に詰め込まれていると思うのですよー。


 善意とか悪意とか、そんな簡単には世界は割り切れていなくて。
 だからこそ自分の(そしてできれば身近な人の)気持ちを大切に。
 手の届く範囲の平和が、世界の平和につながっている……とイイナ!って。
 ラブ&ピースって、やぱし宝物だよーん。
 

19
 
『てのひらの中の宇宙』 川端裕人 著

 癌に冒され入退院を繰り返すお母さん。
 病身の妻を支えつつ、幼い二人の子どもを育てるお父さん。
 両親と妹のために、寂しい気持ちを抑えている男の子。
 みんなみんな、なにかと闘っているなぁ……と。
 確かに特殊なケースかもしれませんけれど、生きてる、生きていくって、そういうことなのかなー。

 で、闘って闘って、闘い続けているウチに、いつしかそれが、それだけが目的になってしまったりして。
 「生きる」ことではなくて、「闘う」ことが。
 んー……。
 「闘う」ために「生きる」のではなく、「生きる」ために「闘う」ハズなんですよねぇ……。
 忘れてしまいがちなのかもしれませんけれど。

 一年後、今日子が元気になったとしても、今この瞬間は戻らない。今だからこそできることというのは必ずあるはずなのだ。
 ぼくはそれらを逃してはならないと感じる。伝えたいし、一緒に発見したいと願う。

 素直に気持ちを伝えても現実は変わることなく、そのことに直面しないためにも気持ちを抑えている。
 そんなやるせなさがツライ……(TДT)。


 完了進行形で結ばれるラストは、やぱし文芸テイストだなーと。
 答えとしての形を示さないっちうかー。
 未来の有り様が見えないというのももちろんですけれど、読み手の感情を置いてけぼりではないかなぁ……。
 希望でも絶望でもどちらにしても、読み終わったあと、その次の瞬間に起こりうる世界のヒントを与えてほしかったなー。
 



18
 
『エンキョリレンアイ』 小手鞠るい 著

 出会った瞬間に恋に落ちたふたりを、しかし運命は遠くに引き離して。
 それでもふたりはメールや電話で互いの気持ちを伝え合い続けたのだけれど、小さな偶然がそれすらも引き裂いて。
 そして時は流れ、ふたりは別々の道を歩んで──。

 スタンダードは強いなぁ……と感じたり。
 逢いたくても逢えないっていう葛藤を語るのに、遠距離恋愛ってまさにうってつけなんですもんねぇ……。
 そんな、ただでさえ揺らぐ恋心は物語りたる要素になるというのに、加えて状況がドラマ過ぎるっちう。
 もうね、眩しいくらいにドラマチック(^_^;)。
 それをアリエネーって言ってしまうのは……野暮ってもんでしょっ、てことでー。

 構成としても、それぐらいに押せ押せでシチュエーションを盛り込んだ方が、展開に無駄が無くてスッキリしたと思いますし。
 1冊にまとめるとなると、やぱし相応のパワーが無いとダメだよなぁ……と思った次第。
 それくらいに勢いと力強さがあったような。


 基本は女性側の一人称なんですけれど、途中、男性から送られたメールをそのままに載せて進行させていくやり方はは面白かったかなー。
 男性側の口調で語られていても、読み手のわたしは「メールを受け取った女性」の心情に取り込まれていたっちうか。
 地の文でつらづらと心情を語られるより、彼女の気持ちが伝わってきたかも。

「愛は他愛ない会話と、つないだ手のぬくもりの中にあるの。愛は一緒に歩いていくこと。愛は一緒に坂道を登っていくこと。だから愛は、狂おしくはないの。だから愛は、せつなくはないの」

 この恋心がどうなってしまうの!?と、先へ先へと読み進ませる牽引力はすごかったなぁ……。
 余計なことに踏み込まず、ただ(遠距離)恋愛の要素のみに絞ったことが功を奏しているカンジ。
 物語の全体像は薄くても、ギュッとしてるカンジ。

 この作品は恋愛三部作の第一作なんだそうで。
 シリーズはもちろん、他の作品も気になってきましたよ。
 小手鞠センセの作品、読んでみよっと。
 


17
 
『銀星みつあみ航海記 LOG.00 俺らが出帆した動機』 鷹見一幸 著

 LOG.00とあったので、シリーズ1巻目かと勘違いしてしまいました(苦笑)。
 先月刊行されたLOG.01よりも前のお話という意味なんですね。

 あー、でも、こちらがシリーズ1巻目で良かったんじゃないかなーとか思ったりして。
 前史として用意されるべきは(LOG.00というナンバーを振られるべきは)、ハヤトとハインツが一〇九戦闘部隊にいた頃のお話なんじゃないかとー。
 ……まぁ、銀星号とは関係ないお話なので、その時間で語られる事象は、この物語の枠組みの外に置かれるものということなのかもしれませんが。


 で、あれですわ、本編。
 気付いたんですけれど、自分にはもう鷹見センセのテイストがトリガーとしてDNAに刻み込まれてしまったんですね。
 恐らくは意図して配置された泣きポイントにくると、もう問答無用に涙腺がお馬鹿さんになってしまって(T▽T)。
 しかも実際にその場面を文章として目にする前に、そうなるであろう展開を先読みして勝手に鼻の奥をツーンとさせてしまうという(笑)。

 ええ、ええ。
 お安い奴だと笑わば笑ってくれて結構。
 んでも、正直者が正しく生きる姿に感銘を受けない方が、わたしはどうかしていると思うのデスヨ。
 そして自分はそこまで真っ直ぐには生きられないけれども、少しだけでも、自分に出来る範囲で、その生き方を支えてあげようとする心にも。
 そういう優しさの連鎖をね、鼻で笑うとか、バカにするほうが私はイヤだなぁと。

 現実には起こりえない、人と人のつながりなのかもしれません。
 んでも、現実に起こりうるであろうことを物語にしてなにが楽しいのかと。
 そうであれば良いな……って思える物語のほうが素晴らしいことだと思うのです。

 という次第で、今後の展開にも期待しています。
 


16
 
『ミミズクと夜の王』 紅玉いづき 著

 大賞とそれ以外の賞の違いって、物語の入りの部分で色々と設定を必要としているか否かなのではないかと思ってしまったり。
 設定を必要とするというのは、どうしても読み手にそれを強いているトコロがあるワケで。
 ──なんてことを考えてしまうくらいに、当作品はスムーズに物語が始まってしまうのですよー。
 物語の世界へ、わたしという読み手はすんなりと感情移入できたというか。
 今回の応募作を全部知っているワケではないにしても、金賞や銀賞と比べることで、この作品が大賞に選ばれたのには納得できた次第。


 もちろん、内容のほうも大賞に相応しいと思える完成度デシタ。
 ひとりひとりの優しさが、ほかの誰かの倖せにつながっていればいいのに、世の中ってなかなかそうはいかないモノなのですよね……ってお話、弱いよわたし(TДT)。
 大切な人のことを想うがゆえの行為なのに、それが相手には通じない……って。
 賢者の贈り物?

 んでも、そうした優しさが最後には相手にも届いて、「あなたの倖せ」ではなく「わたしたちの倖せ」へと昇華されることで物語の構造が成り立っているっちう。
 ハッピーエンドをバカにするなかれ。
 それまでに苦難があるからこそ、そうして勝ち得た倖せに価値がある次第。
 倖せでなにが悪い!
 ミミズクはさぁ、ほんっと、倖せになってほしいよ……(T▽T)。

 彼女以外の登場人物も、悪人という存在がいないあたりが、また素晴らしい。
 でもって、悪人じゃないから、その想いが切なかった……と。
 優しさが空回りしてしまう様が、ね。


 それでも。
 世界のみんなに、幸あれ。
 そう願わずにはいられなくなった作品デシタ。


 しかし、こうまで形が成っていると、次回作が不安かも……。
 あ、イラスト無しという戦略は正解だったと思います。
 この物語のパワー、イラストが負けてしまいそうで(あるいは阻害してしまいそう)。
 どちらにしてもラノベの範疇には収まらないような気がしていたり。
 どのような作品を見せてくれるのか、不安を抱きつつも楽しみな作家さんデス。
 

15
 
『世界平和は一家団欒のあとに』 橋本和也 著

 一人称のお話って説明調になりがちですがー。
 にしても……という気持ちに。
 とりあえず主人公が睡眠しているあいだに事情説明をしておこうという手口は姑息だと思うのですよ、わたしは。

 主人公というのは物語を進める存在で、かつ、その言動をもってして読み手の共感を得る対象だと思う次第。
 その主人公が眠っているということは、物語は進まない、共感の対象が不在……ということにほかならないのでは?
 それが一度ならず二度までも用いられていると、もう、げんなりしてしまうっちうか。


 物語の冒頭を目覚めのシーンから始めるってだけで、わたしには大きなマイナスであったことは間違いなかった、と。
 読み手を引き込もうとする工夫が見えないので。


 本編のほうは、タイトルに表されているように「世界平和」という「公」と「家族の絆」である「私」のあいだで生まれる葛藤を描いたモノで、その構造自体は手堅く真っ当なモノなのですよね。
 幾分「私」寄りすぎやしないかなー……というウェイトではありましたけれど。
 終盤に向かうにつれて緊迫感を増していく展開も見事だとは思ったのですけれどもー。
 そこへ至る面白さって、「(主人公を眠らせて)物語の進行を止めたうえで読み手に状況を勉強させたからこその面白さ」ではないかと。
 もっと、こう、入りの部分での読み手への配慮がほしかったなー、と思ったり。
 わたしの場合、結局そこが大きな障害になってしまったので。
 


14
 
『扉の外』 土橋真二郎 著

 楽園を飛び出した(追われた?)道化が、遍歴の果てに自分の存在を認める話。
 僕はここにいるよ。
 帰属意識と自己容認?

 ライトノベルや昨今のオタメディアで語られる物語のガワを借りながら、クラシカルなSFであったなぁと。
 そりゃ全てにおいて賛同できたわけではないけれど、そういう荒削りな部分すらも認めてしまうわ。

 日常を断たれた閉鎖空間内での精神極限を語っていてー。
 それは手あかのついた題材なのかもしれないけれど、今作では向き合う対象が個人ではなく集団であるところがポイントかなー。
 この集団、ただ類型的に色分けているのではないような。
 有史以来、人間が手に入れた社会体制を表しているのではないかなと思ったり。
 独裁であったり、共和制であったり。
 主人公の遍歴は、そうした社会を第三者として客観的に外から眺める意味があったと。

 ゲームのシステムとか、複数居るヒロインとかは、今作においては重きを置く部分ではないのですよね。
 そこは体裁のために「見せ」た部分であって、本質は比較社会論ではないかと。


 どの社会も本質ではベストと言えるものではなく、それぞれどこかに歪みを生じていることが分かって。
 そんな社会へ馴染むことが出来なかったとき、それは罪であるのか否か。
 そもそも人間は社会へ帰属していかなければいけない存在なのか。
 人間とは、社会が規定するものなのか。
 人間が集まって社会となるのではなく?

「やっと本物を見つけたような気がする。たったひとつの真実は、私たちがここにいる。それだけなのかもしれない」

 過去繰り返された帰結のような印象を受けますけれど、各社会の有り様と比較を論じてきた今作においては、自分という「個」がどのように「集団」と向き合うのかを考え抜いた結果の確かな答えであるように思うのです。

 ラストシーンは確かに唐突感がぬぐえないかもですが、答えが見つかった、答えを述べた以上、エンターテインメントを追求するためだけに物語を続ける必要は無いと感じたり。
 そこはもう、ライトノベルとSFの違いなのかもですが。

 ただ、最後まで甘々なエンターテインメントではなかったかもしれませんけれど、物語の構造はしっかりしていたかと。
 この構成が偶然なのか意図的なものなのか、次回作に注目です。


 社会の比較と同じく、ヒロイン像の対峙も興味深かったです。
 個性という設定以上に、物語上で各ヒロインは象徴的──シンボリックな存在として扱われていて。
 依存、自立、虚栄、母性……。
 タロットカードのように、彼女たちは意味を背負っていて。

 実際に戦うワケではないですけれど、社会を動かす、変化させていくのはオンナノコたちということで、「セカイ系」の延長にあるのかも。
 もっともそれを狙っていたというより、ライトノベルとして上梓するために「敢えて」用意したガワのような気がしますけれど。
 この辺りも次の作品で判断したいトコロ。


 もうね、キャラクター小説というライトノベルには飽きてきているのかも。
 個々での賑やかしや派手さではなく、もっと主題なり主張なりを、その派手さの裏に潜ませておいてほしいなーと思うのデス。
 


13
 
『なつき☆フルスイング! ケツバット女、笑う夏希。』 樹戸英斗 著

 インパクト勝ち……かなぁ。
 「人間に取り憑いて害為す存在を退治する」というのは別段目を惹く話ではないワケで。
 要は「誰が退治するのか」「どのように退治するのか」の部分にオリジナリティがあったという。
 そこが、今作の力点であり魅力かと。

 で、まぁ、WHOとHOWにはそのように魅力があったとして、では「何故、退治するのか」──WHYはというと、ちょっと無理がなかったかなぁ、と。
 無理がなかったとしても、説明のやりかた、情報の提示手法が強引だった印象。
 もちっと事前に伏線として情報を出していればなーと。
 転換点において、ダーッと地の文で説明されるのって好きくないデス。

 ……まぁ、それも今作においては全体の構成とも関わってきていそうなので、いたしかゆしなのかなぁ。
 1章ごとに事件を解決する章立てをしているので、全体を俯瞰しての情報出しは難しいような気がするので。


 あと思ったのは、ヒロイン・夏希の変化は叶ったとして、感情移入対象である主人公・智紀はどうだったのかなぁ……とか思ったりして。
 「夢魔の力なんて借りずに、またマウンドへ戻ってやる」と決意したのは良いとして、その気持ちが終幕で結ばれてないと思うのですがー。
 智紀にとって夢魔のことは越えるべき障害であって、それを退治することが目的ではない、と。

 爽やかに幕を下ろされているので読後感は悪くないのですけれど、振り返ってどのような物語であったかと考えるとアレ?って思ってしまった次第なりー。
 んでも作中に表れる気持ちの有り様とかは嫌いじゃないので、次の作品を楽しみに。
 わたしとしては今作をシリーズ化するよりは、新作にチャレンジしてほしいところですけれども……。
 やぱし設定を説明されたことが、ちょっと、ね(^_^;)。
 

12
 
『狼と香辛料W』 支倉凍砂 著

 あ……。
 危険な兆候かも……。
 ホロとロレンスがバイプレイヤーになってしまって、物語の本筋は用意された新キャラに与えられるのは構造としておかしくなってきてやしまいかと。
 簡単に言えば、当事者でない、と。

 もちろん当事者ではなくとも物語には関わることはできるのですけれど、そこには「押し」や「引き」の条件が必要かと。
 今回の場合ホロとロレンス、どちらにも事件に関わる理由が無いのですよね。
 積極的消極的の別無く。

 いざとなれば逃げ出せる……という解決策がある限り、物語のカタルシスなどあるはずもなくー。
 今後の展開のための情報提示の意味合いがあったとしても、もっとふたりを基準に物語を構築するべきではないかなぁ。


 軽妙な言葉のやり取りなど、ふたりの距離が縮まっているのは感じられるのですけれど、その変化が物語のトリガーに加わっていないんですよねぇ……。


 もっとも「近代社会の成立」という観点からとらえるなら、今作の宗教論議と貨幣経済の滲透という描写はシリーズ当初からのものであると見ることもできるわけで。
 1巻以来、ひさしぶりに時代の変遷という視野を持った作品であったと。

 ……つまり、シリーズとしては一貫性を保ってはいるんですよえねぇ。
 キャラ物としては岐路に立たされているのかもですけれど。
 ホロというキャラクターによって支持を受けているだけに、この乖離は困ったことになっていかないか心配デス。
 


11
 
『僕僕先生』 仁木英之 著

 恋すればニートも外の世界に興味を持つ……じゃなくて、オトコノコを奮い立たせるのはやっぱりオンナノコの存在なのですねーってお話。
 最後までプラトニックを貫き通したあたり、近年稀に見る純愛ファンタジーなんじゃないかって気がするー。
 仙人のオンナノコとその弟子っていう難しい間柄ですけれど、ふたりの間にあったのは間違いなく愛情という形であったと思う次第。

 主人公の王弁って、物語当初は好きになれなかったんですよー。
 先述のように端的に言ってしまえば「ニート」であって、発展的な何かを見せる可能性があるような生き方をしていないわけで。
 そういう性格設定が主人公に許されるのかなぁ……と、物語自体にも懐疑的な視線を向けてしまったりして。

 んが、しかし。
 スタート地点がそういった負的なポジションであるからこそ、わかりやすく真っ当な物語構造を見せているのかなーと。
 王弁の成長物語という意味合いで。
 オンナノコに振り向いてもらう、認めてもらうために切磋琢磨する様は、幾分とうがたっているとはいえ、まさにオトコノコ!
 無為に過ごすことを是としていた王弁の意識が変わっていく点に、読み手であるわたしは感情移入させられたワケで。


 王弁だけでなくヒロインたる僕僕先生もカッコカワイイ!(≧▽≦)
 彼女の場合、師たる仙人として泰然自若と振る舞っていながら、やがては王弁をきっかけにして人との関わりを求めるようになってー。
 それは仙人としての立場を失いかねないワケで、見事にトレードオフの葛藤があるのですよね。


 別れがあるから愛さないのではなくて、別れが確実だとしても愛することを諦めない。
 夜空に浮かぶ星々に与えられるような神話を彷彿させるようなラストシーン。
 大団円とか爽快感とか、見事な幕引きデシタ。


 王弁と僕僕先生、ふたりの物語としてキチッとした物語構造があってー。
 けっして技巧的に「見栄えの良い」ことを追い求めるのではなくて、物語とはどういったものかを意識されている気が。
 計算ではなく本能的にそれができているのだとしたら、更に期待が強まるのですがー。
 とにかく次回作を楽しみにしてます!
 

10
 
『空の欠片 魂葬屋奇談』 九条菜月 著

 デビュー作ではあまり感じなかったのですけれど、今作で現れてきた九条センセの筆致、わたしには合わないかも……。
 例えば──

 それが、クラスメイトである須藤楓のことだと気付くのに、少しかかる。深波は目を見開いて、なにか言おうとするものの、上手く言葉にならなかった。

 ──読点で区切りすぎじゃないかなーとか思ったり。
 特に最初の文節で短く区切ることを多用していて、読み進めるのにリズムに乗りにくいっちう。


 えーと、で、本編。
 主人公がどのようにして特異な事件と関わるのかは説明されても、どうして事件と関わるのかは説明されないような。
 押しが弱い……ってことなのかな?
 魂の欠片を見ることができるというスキルの持ち主であるとしても、それを用いて事件解決する理由が見当たらないのではないかとー。
 被害者のことを好きだった──という理由が後々説明されるのですけれど、それってどうにも後付け感、唐突感が漂うんですよー。
 被害者との交流について、それまであまり描写してきていないワケでー。

 デビュー作でも感じたのですけれど、やぱし「事件」であって「物語」では無かったかなぁ……。
 


9
 
『ヴェアヴォルフ オルデンベルク探偵事務所録』 九条菜月 著

 なんだか、ワザと気付かないことにさせて物語を進めているカンジがするー。
 キャラが鈍感っていうか。
 推理を必要とする場面で推理しなかったり、あるいは推理してもその方向がわたしのそれとは異なっていたり。
 素直に推理しているようには思えない違和感が行動につきまとうのですよー。

 そうした相容れない気持ちを抱きながら終盤まで読み進めていくと、そこで事象として明示しての種明かしではなく、語りで済ませる手法もわたしの苦手な開陳の仕方。
 もっと、こう、クライマックスで盛り上がりがほしかったなーと。
 意外な犯人が!……ってだけではなぁ。
 真相が明らかにされても、読み手のわたしには感慨が起きなかったっちうか。
 事件ではあったけれど、物語ではない……と。


 推理ミステリと考えれば登場人物紹介の項があるのは素敵なことなのですけれど、なにも無理して全員にイラストを添える必要な無かったような。
 誰が主人公で、誰が助演で、脇役は誰なのか……と、紹介にもメリハリをつけたほうが良いのではないかなーと思ったりして。
 キャラクターを売り出すなら、です。

 まぁ、推理ミステリのキャラ紹介なのだから「皆に犯人の可能性がある(可能性を除外するわけにはいかない)」ことを考えれば紹介の仕方は平等に徹することが重要だとは理解できますけれどー。
 んでも、ほんっとーに脇役だと思われるキャラにまでイラストが用意されるのって、無駄ではないかと思ってしまうのですよー。
 

8
 
『銀星みつあみ航海記 LOG.01 彼女が家出した動機』 鷹見一幸 著

 鷹見センセを知らない人は、『でたまか』読んで、出直してこい!……ってくらいに後継シリーズだなぁ、と(笑)。
 設定がつながっているという部分より、根底に流れる精神に強く感じたり。
 鷹見一幸イズムっていうかー。
 それだけに今作で新たな読者層を得るのは難しいんだろうなぁ……とも思ったりして(苦笑)。

 ただ、鷹見センセの物語らしいなぁとの印象は受けたのですけれども、新しく始まったシリーズとしての新鮮味をさほど感じなかったのも事実。
 むしろ『でたまか』で描かれた要素の幾つかを小振りにして数をそろえてまとめてみました──ってカンジがして。
 泣き所であろうシーンを詰め込んだっちうか。

 シーンが存在すること自体は悪くないのですけれど、いささか供給過多なカンジ。
 おかげで全体の起伏が浅くなってないかなー、と。
 先述したように、そうしたシーンの少なくないものについては、『でたまか』で同様なシチュエーションを見たという印象も受けてしまったので、さらに。


 キャラクターが変わっても鷹見センセは鷹見センセの物語を生み出してくれたことが、嬉しくもあり心配でもある新シリーズ開幕でした(^_^;)。
 


7
 
『悪魔のミカタ666 スコルピオン・オープニング』 うえお久光 著

 二年半ぶりのシリーズ最新作!
 待ちに待ったっちうか、いや、もう、それだけ待った甲斐があったと思ってしまいましたことよ。
 今作まるまる使っての新章導入部であったとしても構わないとかー。
 むしろ前巻までの展開をおさらいする意味でも良かったかも。
 13巻も続いていれば人間関係も複雑になって、当初のスタンスとは異なってきてもいますからねー。

 ああ、そうね。
 人間関係ね……。
 It編に入るまでの流れを思えば今作の終盤、そして今後の展開における大きな対立軸の表明について、納得するほかないですかー。
 意外性に「そう来たか!」と膝を打つ反面、それを素直に受け入れてしまえるほどに心の準備ができていたっちうか。
 いや、まさか、しかし……うーん(苦笑)。

 んでも、結局はコウが人間を越える存在になるための当て馬のような気が。
 今回、菜々那について「以前、コウに勝ったことがある」と何度も重ねて説明されていたのは、もちろん次は負けるであろう示唆でありましょうし。
 ……いや、ま、わたし、あまり菜々那ちゃん、好きじゃないってこともありますけれど(^_^;)。

 「自分のエゴを、相手の意志を尊重するかのごとくの詭弁で覆い隠す」……というのは、グレイテストオリオンのときに高虎くんが失敗していませんでしたか?
 それとも、日奈のためを思っての「彼」の行為は、あのときの高虎くんとは異なるということなのでしょうか……?
 だもので、自分の意志のみで行動を決定しているコウのほうが、やっぱりストレートに響いてくるんですよー。
 おためごかしが無いワケで。
 どうなんでしょ?


 たくさん登場しているヒロインたちでは、やぱしイハナちゃんが!
 今回はもう、イハナちゃんのサポーター続けてきて良かった!とか思ってしまったさ!!
 あらためて覚悟を決めた、その心意気に惚れ直したーっ!(≧▽≦)
 絶望を認め、しかし諦めない。
 結果が出るまで、勝負の行方は誰にもわからない。
 だから迷うことはひとつ──戦うか、逃げるか。
 もちろんイハナちゃんは逃げることを良しとはしないワケで。

 戦うオンナノコは、可愛らしくて美しいのです。


 ところでイラストを描かれている藤田センセのキャラ絵、なんだか丸顔になったような……?
 線もスッキリしたうえに、主張が強くなったっちうか。
 児童書の挿絵を描かれてきた影響かなー?
 110ページの暴れる恕宇の挿絵なんて、児童書の挿絵を思い浮かべる構図でした。

 あと、コマ割りをしている挿絵。
 以前からこういう構図で描かれてましたっけ?
 もっとも、ラストの対決の図はこうでなくっちゃ!という見事なモノでした。
 挿絵と本文が非常に連携しているなーと。

 ラノベって挿絵も魅力のひとつですれど、だからといって本文を無視して独自色を出して良いモノではなくー。
 本文と、そしてそこに歩調を合わせたイラストが添えられている作品がラノベなのだなぁ……と、あらためて考えさせられてしまったことよ(苦笑)。


 ともあれ、待望のシリーズ再開。
 ゆっくりゆっくり、これからの展開を楽しみに待っています。
 

6
 
『鈴が音の沙耶』 渡辺真澄 著

 著者ひさびさのオリジナル小説……だからでしょうか。
 なんだか気負いすぎな気が。
 要素、てんこ盛りっちうか。
 それでいて作品の立ち位置は官能小説なもので、せっかくの要素を消化しきれずに終わってしまったカンジ。
 もったいないー。

 そうでなくても今作は「みのり町」(音楽流れますので注意)という共通の世界をもとにして描かれた「世界観共有小説」のひとつなのですから、そこも押していかないといけなかったのではないかなぁ……と。
 現状では名前だけを共有しているだけで、作品ごとの横のつながりを意識させるような仕掛けに乏しいような。

 この辺り、他の作品ではどうなのかなー。
 ちょっと興味あるデスヨ。


 んで、本編。
 現金持ち逃げされて破産寸前の神社で、巫女さんが奮闘して由緒ある夏祭りを成功させるお話……かな?
 細腕繁盛記みたいなお話、好きなので、流れは受け入れやすかったデス。
 むしろ、そうしたガジェットは好みであっただけに、エッチシーンへの展開に無理っぽさを覚えてしまったりして。

 巫女さんの個人的な能力として他人の考えを読み取ってしまう「サトリ」のちからがあるのですけれど、この能力と性交渉の関連付け方は最終的になるほどーと納得してしまったので、やぱし途中の展開かなぁ……。
 この手の作品で、そこに注文をつけても詮無きことなのですけども(^_^;)。
 

5
 
『猛れ、吹き荒ぶ沖つ風 幻獣降臨譚』 本宮ことは 著

 折り返しの部分での作者コメント。
 オビを使ってのネタバレ回避って斬新な手法な気が(笑)。

 で、本編。
 アリアがつまづきながらも成長しているなーって感じられるあたりが好感。
 育ちの良さっていうのかな。
 素直な感受性っちうか。
 些細なことなのかもしれないけれど、アリアらしい反応が微笑ましいワケで。
 マルチェとの取っ組み合いの喧嘩とか、良き哉良き哉って思いますもん。

 あの喧嘩って、アリアよりマルチェの印象を良くしたカンジがー。
 彼女の素の部分が垣間見えたワケですし。


 終盤の動揺も、まぁ仕方がないことなのかなーとか思ってます。
 人の生き死にを前にして冷静になれだなんて、そりゃあの年頃の娘さんには酷って話。
 むしろ、あの結果がどうこの先の展開へとつながっていくのかのほうが楽しみ。
 やぱし騎士団の中から巫女姫不要論、あるいはもっと過激に排除論が持ち上がってきて、それをきっかけに王都へ旅立つことに……って展開だったりするのでしょうか?

 ここしばらくアリアの護衛の任のために主要キャラが一カ所に固まっていただけに賑やかであったのですけれど、騎士団を離れるとなると違ってきますよねぇ。
 もっとも、あちらへ行けば行ったで、また新しい美形さんが現れるのでしょうけれど(笑)。
 今回もまた新キャラの美形さんが登場したりしてますしー。
 タレ目のフェミニスト?
 つい『なんて素敵にジャパネスク』の涼中将を思い浮かべてしまったわたしがいます(^_^;)。
 飄々とした然で艶っぽい言葉を口にするキャラは、みんなそう(笑)。
 だもので、この人──ノルドラッドに裏があっても、あまり驚かなかったっちう。
 タレ目キャラは、みんな何か事情を背負っているものなんです(言い切ったー!)。


 ああ、村を出ることになったクルサードたちと合流するのがいつになるのかも楽しみです。
 むぅ……。
 動いていないようで、実は多方面で物語が動いてきているんですねぇ。
 

4
 
『竜の館の秘密』 谷原秋桜子 著

 おおっ。
 こーゆー大がかり?なトリックを出されると「本格ぅ〜」とか思ってしまう、安いわたしなのであります。
 華があるっちうかー(笑)。

 しかし仕掛けが大がかりであれば、それだけ奇抜さも富んでくるものではありますけれど、今作はそれも巧く抑えられていたかなーと思います。
 その仕掛けが存在することの必然性を感じられた……と。


 そんなカンジで推理ミステリとしては堪能したのですけれども。
 この作品がもともとは富士見ミステリーで刊行されたものであるということを踏まえての感想なんですがー。
 谷原センセって、ラノベ作家としては無理があったんではないかなーとか思ったりして。

 このシリーズは高校1年の女子高生の一人称で描かれていく物語なのですけれど、その女子高生の言動に時折「ありえない」と感じることが少なくなくて。
 例えば、さしてスピードを出しているわけでもない車が右折するときに「ギギーッ」とイヤな音を立てたからといって「どこかベアリングがいかれているのだろう」とか思わないのではないかなーと。

 車関係ではほかにも、走り出すときに衝撃を感じたからといって「クラッチ板がすり切れているのだろう」なんて女子高生が思うんでしょうか?
 この辺り、単に谷原センセに知識があるから描けているというだけで、決して女子高生の目線であるというわけではないように思うのですよー。

 よしんば、車関係に興味があるとか、そちらのパーソナリティが付随していれば理解もできるのですけれど……。
 それともこの件、わたしのほうが無知なのであって、女子高生は車の駆動や制御関係について立派な知識をもっているというほうが常識的なんでしょうか??


 ともあれ、ミステリとしてはわたし好みの素敵なものを描いて下さっているのは間違いないので、今後のシリーズ展開を楽しみにしております。
 

2
 
『風の王国 花陰の鳥』 毛利志生子 著

 リジムの親世代のお話なのですけれども、なんとも血筋は争えないっちうか。
 まるでリジムと翠蘭のやりとりを見ているようでしたよ。
 それもシリーズ初期の、まだラブラブなバカップルになっていない頃のふたり(笑)。

 身分に固執することせず、出自よりも道徳論を立派に持っているティモニェンの姿には清々しいものを。
 ドルテ様の若かりし頃のお姿も拝見できましたし、なかなかに充実度が高かったような。
 シリーズも長期化してきてますし、ここらで外伝を挟んでインターバルを置くのも良かったなぁと思うのですよ。
 これからのコトを思えば、リジムとソンツェン・ガムポ大王との対決?は避けられないものでしょうし、相手方の気質を読み手に知らせておくのも必要ですし。


 王であろうとなんであろうと物怖じしない性格っていうのは、見ていてハラハラしますけれど、だからこそ惹かれるのかなー。
 揺らぐことの無い心根に。


 にしても大王、逆毛ですか?(笑)
 それだけでいろいろと勘ぐってしまう自分が愛しい(^_^;)。


 大王の気質や、王妃であるティモニェンやドルテなどの情報展開は見事に計算されているなぁ……と思ったのですけれど、ラスト、結び方については唐突感を覚えてしまったりして。
 え? そこで終わりなの?みたいなー。
 このあとのことについては読み手も知っているだろうから良いのかな……?

 でも、この巻だけでも十分に読み物として通用する構造になっていることが、ちーとばかり違和感を覚えさせるのかも。
 

『PARTNER7』 柏枝真郷 著

 ついに!
 つーいーにっ、大きな進展がっ!
 もちろん、セシルとドロシーのこと。
 んでも、「ふたりのこと」ではなくて「お互いのこと」ってあたりが、進展はあったとはいえまだまだ序盤ってカンジを。

 ドロシーに関しては、いや、まさか?って驚きが。
 ちうか、彼女じゃなくてオーガストの対応に驚いたのかも。
 ぬーん……。
 そりゃあ「俺にも限界がある」ってことには同情も理解もできますけれど。
 うーん、うーん、うーん……。
 彼に関してはそういう限界を思い浮かべられなかったっちうか。
 ちょっと聖人君子に思いすぎていたのかなぁ。
 彼だって結婚を考えておかしくない青年なわけですし。

 でもドロシーの気持ちもわかるんですよねぇ。
 小さくても自分の領地を持った「自由」っちうか。
 でも、その「自由」を守ることができるのは「個人」なんですよね。
 これから結婚をして「家族」となるというのに、そうした考えは相容れないのかもとおもったりする次第。


 一方のセシルはといえばー。
 この人は本当に天然だなぁ……と(笑)。
 フェイへの対応は、うっかり過ぎるっちうか、脊髄反射過ぎるっちうか。
 問題発言でしょう、あれは!
 それともドロシーへの気持ちって、その程度だった──あるいは、友情と愛情の天秤にかけられるものだったとか、そーゆーこと?

 いや、ま、フェイのことは、わたし好きなんですけれどもー。
 すごく気持ちの良い性根をもったオンナノコだと思うので。
 倖せにならなければウソだ……と思えるくらいに。
 だからこそ、いまのセシルには任せられないという気持ちがあるのですよー。


 そんな人間模様とは別に、物語構成については巧い!の一言かなーと。
 晩秋のイーストリバーでの人命救助って、今巻冒頭から緊張感ありまくりで引き込まれましたわ。
 うんうん。
 物語にはこうした勢いが欲しいトコロ。

 この救助劇に関しても、セシルのキャラ設定がしっかりしているなと思わされるのですよー。
 設定だけでもダメ。
 成り行き任せでもダメ。
 キャラクターを活かすことが物語を生むのだなーと。

 本編のほうでも、さすがシリーズ7巻目。
 これまで登場してきたキャラをいろいろと活かしてきております。
 こういう登場のさせかたは、シリーズを読んできた者には嬉しかったりしますねー。


 そろそろまたソフィアさんの活躍?が見たいところ。
 彼女によるフェイ評を聞いてみたいなーと思った次第。
 セシルの相手にはどちらが良いと思ったりするのかなー。

 そんな次第で、続刊が楽しみになってまいりました(^_^)。
 

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