○● ゲーム日記帳 ●○
2006年【2】

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12月7日
 
 『遥かに仰ぎ、麗しの』 クリアしました〜!

 うんうん。
 なかなかに良作でした……と言えるのですけれど、本校系と分校系で大きく評価が異なってしまうかなぁ。
 わたしとしては 「 本校系 > 分校系 」 なカンジ。
 本校系のお話が良かったというのはもちろんあるのですけれど、それ以前に分校系のお話が合わなかったというか。

 ヒロインが3人いても、栖香ちゃんと美綺ちゃん、そして邑那さんの3人でひとつのお話だったような……。
 一本の筋が策定されていて、当該ヒロイン(クリア対象)に関係してどこまで事件の真相を語る必要があったかによって、終着点が変わっただけというカンジ。
 分校系のお話の全体を10としたら、栖香ちゃんは1から5まで語れば良かった(済んだ)ことに対して、美綺ちゃんは7まで、そして邑那さんで9まで語る必要があったという。

 そういった次第なので、美綺ちゃんのお話では栖香ちゃんのお話の流れが見えてしまいますし、邑那さんにいたってはふたりの話がどちらも……という具合。
 これ、作業量をオミットするにも大概にしてほしいって気が。
 そういった意図が無いのでしたら、もうヒロイン攻略順を強制固定にしてしまう配慮が必要だったのでは?
 結局のトコロ──ひとつの物語しかなかったのですから。


 邑那さんシナリオでは、ほかのふたりのときとは違って、身体を張って彼女の願いをかなえようとしていただけ良かったと思います。
 状況改善のための打開策をヒロイン任せにしてしまっている、あるいは打開策を打ち出せていない栖香ちゃんと美綺ちゃんのお話に比べれば──ですけれども。

 ただ事件解決のための手順について、作中の主人公は理解しているからこそそうして身体を張った行動ができるのでしょうけれど、読み手のわたしにはちとその考えが伝わってこなかったというか……。
 理屈が先走ってしまっているカンジ。
 説明が足りない気がしたのですよー。
 ……まぁ、その辺りの多少については、個々人で受け取る印象も異なるでしょうけれど。


 その辺り、本校系の3人のお話はどれも方向性を異にしていて、それぞれのヒロインに起因する話として十分に楽しめました。
 しいて挙げるとするならば、殿子ちゃんシナリオが良かったかなー。
 本編ラストでの着地点の変化が良い味出しているといいますかー。
 伏線だ伏線だと十分に思わされていたというのに、ラストの目玉イベントのほうに目を奪われてしまって、その伏線を忘れてしまっていましたコトヨ!
 やーらーれーたー(笑)。

 殿子ちゃんのお話に限らず本校系シナリオでは、主人公・司が自ら熟慮し行動に移すところが素敵だと思うのです。
 ヒロインが抱える問題を解決しようと、必死になっている姿に共感できるのです。
 ひとつの解決策がダメだとわかっても諦めず、次の手、次の手を諦めずに見つけようとする姿に──です。
 ここが分校系の主人公像と大きく違うところかとー。

 共通するイベント、ソフトボール大会にしても、本校系では司が自らヒロインへ働きかけていくのに対して、分校系ではどこか傍観者的な立場に終始しているというカンジ。
 困っているところに「フォースをつかえ」って言うくらい、誰にでもできるでしょ!
 どうやったら使えるようになるのか分からないから悩んでいるんでしょう……というお話。

 解決したという結果が大切なのではないのです。
 どのような解決にしても、それが物語──ことにエンターテインメントであるならば、なにがsかの解決がなされるのは必定なので。
 むしろ、そこへ至るまでの過程こそが、物語の最深部というかキモというか。

 解決しようとする行為こそがとても大切で、けっして諦めない気持ちという心こそが崇高なのです。
 そう思うから、わたしは殿子ちゃんのお話を、すごく好きになれたのです。


 着地点の変化……といえば、梓乃ちゃんのお話も巧みに構造変化させているなぁ、と思ったりして。
 男性(主人公)主導のお話かと思いきや、終盤には女性(ヒロイン)主導のお話へ。
 感情を変遷させる対象について、それと気付かぬうちに入れ替えてしまうマジック!
 うぬぬ……。
 みやびちゃんのお話などもヒロイン主導の面がありましたけれど、彼女のお話はもっと包括的なものでありましたし、梓乃ちゃんシナリオのほうが彼女の個性と合わさって際だっていたように思うのです。


 みやびちゃんは……彼女自身の魅力が最上位にきてるかなーと(笑)。
 それでも頑なに縛られていた心が解き放たれていく様には、見ていて温かい気持ちになれました。
 許すことを知ってからのみやびちゃんの優しさが、ね(^-^)。
 汎用立ち絵なのに、どことなく以前と違うように見えてしまったのデスヨ!

 いつものヒロイン好感度は──

殿子 > みやび ≧ 梓乃 >美綺 ≧ 栖香 = 邑那

 ──でしょうか。
 とにかく殿子ちゃんはヒロイン像といいお話といい、かなり高得点でした。
 みやびちゃんは惜しいかな、ラストが……。
 もう少し、ハッキリとした物証を見せて欲しかったのですよー(^_^;)。


 ああ、立ち絵といえば。
 先日はサブキャラの立ち絵が無いことを嘆きましたけれど、ちょっと考えを改めました。
 立ち絵が無いなら無いで、テキスト本文の自由度も高まるなー……と、利点にも気付いたので。
 表示のためのスクリプトにも問題軽減ですし。
 テキスト本文でキャラクター性を表現できれば、立ち絵そのものはプラスα の魅力かなー……とか思ったりして。


 イベント絵もけして多いとは言えないと思うのですけれど、トリミングして拡大表示したりして、遠近で見せ方を考えられているなーと思いました。
 顔アップで表情を強調したりとか、大小の立ち絵で距離を表したり。
 それ用にカットイン画像を用意するといろいろとコストがかかりますし、こういう手法は悪くないと思います。


 音楽も好きなカンジかなー。
 なかでも「やんややんややんや!」が、全曲中のアクセントとしてだけでなく、好み。
 サビ前のパーカッション?の部分ではリズムをとってしまうわ(笑)。

 こういうアッパー系の良し悪しって、わたしの中では存在が大きいです。
 もちろんメロウ系の「ともしびのうた」とか「夜明けを運ぶ風」とかの印象も大きいのですけれど。
 こちらは、その曲がかかるイベントの影響っちうか。
 「ともしびのうた」なんて、かなり涙腺を刺激されまくりでしたよ(T▽T)。


 声優さんたちについては、みなさん、サブキャラを担当されたかたも含めて、みなさん良いお仕事されているなぁ……と。
 ことに佐本二厘さん as 梓乃ちゃんは、司を叱責するシーンなんて迫真の演技。
 梓乃ちゃんの感情の発露……というか、普段は見せないであろうが故の本気さをカンジさせるといいますか。


 総じてみると、やぱし良作という印象に。
 それも苦さが残るような観念的なところはなくて、柔らかな幸福に包まれるような。
 そんな嬉しさを感じられる作品でした。
 

11月30日
 
 『遥かに仰ぎ、麗しの』を絶賛プレイCHU!
 まず仁礼栖香ちゃんと相沢美綺ちゃんの順でクリアー。
 トップへ置いた応援バナーでもわかるように、わたしのファースト・インプレッションは栖香ちゃんなのです。
 今作は分校系生徒と本校系生徒で分かれているらしいので、栖香ちゃんをクリアしてそのまま同じ分校系生徒の美綺ちゃん……という流れできております。

 で、ここまでの感想なのですけれど──。
 んー……。
 物語のカタルシスに関して、わたしが間違っているのかシナリオの丸谷さんが間違っているのかわかりませんけれど、とにかく相容れないなー……というのは感じています。
 一発大逆転!とまで用意しろとは言いませんけれど、それまで抑圧されたものからの解放というか、願い以上の場所へたどり着いた爽快感や達成感というものが──乏しいような。

 繰り返し述べてますように、わたしは、物語の主人公は「走る」べきだと思うのです。
 叫ぶだけで願いが叶うなら、そんなものは物語としてくだらないと思います。
 さすがに今作がそこまで堕したものとは思っていませんけれど、それでも主人公がなにを成したのかと問われると返答に窮するのですよ……。

 指摘するだけで解決する誤解や、第三者の介入で清算される問題など、クライマックスの導き方にこそ、そもそもの問題があるのかもしれませんがー。
 指摘するだけで解決するというのに、それをしないという選択が主人公にされているワケで。
 これは問題の先送り──イベントの水増しに近いような感覚を受けるのです。
 第三者の介入で解決するようなものは、もう論外でしたけれど。

 栖香ちゃんにしても美綺ちゃんにしても、問題の本質、すなわち物語の構造を見誤ってはいないかと。
 テキストとしては成立していても、ゲームとして成立していない……ちうか。

 美綺ちゃんのお話なんて、恋愛モノなのか青春モノなのか、どうにもブレてしまっているカンジ。
 いちおうのカタルシスは青春モノに準拠していると見るのですが……。
 でも本来の立場は18禁ゲームなだけに恋愛モノをベースとした造りをされているのですよね。
 基礎とその上の構造物がうまくかみあってないというか。

 こうしたアンバランスさがこのふたりだけの、あるいは分校系シナリオだけの話なのか、それとも本校系シナリオを含んだ全体のものなのかはまだわかりませんけれど。
 それでも、現時点ですでに「惜しい」という気がしてなりません。


 んが、しかし。
 このPULLTOPというメーカーを応援していこう……と不意に思ったりして。
 というのも、1ワード内で適当な箇所で改行がされていることに感動したことがその理由。
 テキストをダダ流し込みしているのではなく可読性を考えられているという点に、昨今なかった感動を。

 べつにそれはユーザーへの配慮でなく、ライターとしての美学だけで成されていることなのかもしれないけれど、現実にそうなっているのだから理由はどちらでも構わないしー。
 むしろ、そういう美学──適当でない場所で行をまたいでしまうことや、文頭に句読点がきてしまうことを良しとしない感覚を持っているというだけでも賞賛に値するわ。

 ワードの中の適当な位置で改行を施すのって、難しいことではないけれど、だからといって簡単なことでもないワケで。
 作業のひと手間には確実になっていて。
 それより1ワードに収まる文言を考えるというほうが、より手間かなぁ……。

 そういう手間をかけながらも、発売日を守って販売にこぎ着けるという姿勢が素敵。
 この点だけを取り上げてどうこう言うのは暴言なのでしょうけれど、テキストダダ打ちして可読性なんて全く配慮されていないながら発売日を守らないメーカーより、よっぽどこの業界に生き残っていってほしいと思うのですよー。

 可読性なんかより「面白いテキスト」であることのほうが重要──って考えも世間にはあるかも。
 ん、なるほど、なるほど。
 それも道理。
 でもね──と、わたしは思うのです。
 どんなに美味しい料理をつくる店でも、油やゴミにまみれた内装では、結局のトコロは味まで疑わざるを得ないと思うのです。
 味はそこそこかもしれないけれど、店の雰囲気は最高。
 そういうお店だってあるということで。

 読んでみなければ分からない「面白さ」より、目で見てわかる可読性への配慮のほうが、商品として価値を上げているのではないかと、わたしは考えるのです。


 あー。
 立ち絵の無いサブキャラ陣っていうのも、惜しいポイントですよねー。
 キャラ像はテキストで十分に成り立っているだけに、肝心要のパーツが無いのは。
 このあたり、もしかしてファンディスクで補完されたりするのかな……?


 とりあえず、次も分校系の邑那さんをめざしまーす。
 ……栖香「ちゃん」、美綺「ちゃん」ときたのに、邑那「さん」ですか(笑)。
 いや、でも、そう敬称つけたくなる人ですよね(^_^;)。


 そんな次第でプレイ中だった『ななついろ☆ドロップス』は休止中なのですが、それでもひと言だけ言わせてください。
 すももとか撫子とかノナとか、そんなヒロインとのいじましい初恋物語なんかどうでもいいから、UNiSONSHIFTは正晴と夏樹のホモホモ・ファンディスクを出すべきだと思います(えー)。
 ちうか、男性向け18禁作品の原画をやられているかたの中で、いまイチバン、誰のホモ漫画を見たいかっていうと、のいぢさんとぺろさんかとー。
 ユニゾンがもうひとつブランドを立ち上げても良いくらいだって思います!(>▽<)