○● 読書感想記 ●○ 2006年 【10】 ※ 表紙画像のリンク先は【bk1】です ※
「きれいだよ、メドゥーサ。君の目は世界で一番きれいだ」
世界中の神話や伝説が詰め込まれている物語なので、メドゥーサというのは石化の瞳を持つリビアの怪物。 ゆえにその瞳をのぞきこむことは死を意味するのですけれど、罠にはめられたのだと知っても、好きになった女の子の顔を真っ直ぐに見つめようとする男の子。 ぬぅ……。 男の子のピュアさ加減に気圧されるカンジ。 読み手のわたしが歳とったーってことなんでしょうけれども(^_^;)。 このあと、主人公のアモスが、メドゥーサを失って悲しみにくれる友人を慰めるために、ちょっと気を回した発言をするのですけれどー。 その言葉、ちょっと気に入らなかったデス。 そういう気の回し方こそ、大人の小賢しさみたいで。 このメドゥーサ絡みのお話は、今作の中でも白眉かなぁ。 メイン……はカルマカスとの対決とか、ヨーヌ公の罪を暴くことだと思いますし。 ともあれ、読みやすい正統派ファンタジーという印象は受けましたので、読み続けていってみようかと思います。
吐谷渾で川に落ちたときも、こうしてリジムが果実を食べさせてくれた。あのときは指を噛まないように注意したが、今回は意図的にリジムの指を噛んだ。 そうしてもいいような気がしたし、そうしたと思った。けれど、歯の先からリジムの指の感触が伝わると、ひどく恥ずかしいことをしたような気分になった。 翠蘭は、身を縮めて口を開いた。 だが、リジムは手を引かず、翠蘭の唇をつまむ。 思いがけない反撃に、翠蘭は口の中に残っていた果実を丸呑みし、喉に強い刺激を感じて咳き込んだ。
あーあーあー。 なにやってんですか、このふたりはー。 スウィートすぎるっ!(><) いいぞ、もっとやれ!(笑) ところで──。 「当て馬」って、今年のトレンドかしらん。 今作で朱瓔に求婚したイーガンしかり、『上等。』シリーズの芥川小春、『狼と香辛料』のアマーティ……。 物語の流れからすれば主人公カップルの破局はほとんどアリエナイわけで、そこへ割って入る「当て馬」は、適度に波風立ててくれる都合の良い存在だなーと思ったりして(笑)。
『ROOM NO.1301 #8 妹さんはオプティミスティック!』 新井輝 著 千夜子ではなく日奈となら「乗り越えてゆける」と感じたことで、自分には「恋愛は似合わない」と断ずるのは、強引──ちうか、その理屈がわかりませんでした。 それがこのシリーズの定型だとしても、その形式以上のことを感じ取れなかったというかー。 この巻……というより、シーナ編は「恋愛」より「生き方」と向き合うお話のように感じているから余計にそう思ってしまったのかもしれませんけれど。 日奈とは恋愛関係になり得ないと線を引かれているから、これまでの展開とは異なる趣きを見せているのは仕方がないとしてー。 このシリーズって「健一の恋愛を探求する物語」なんですよね?(折り返しによると) ことシーナに関わる限りでは、この視線からは外れているのではないかなぁ……と思ったり。 物語の良し悪しとはまた違ったハナシで。 そろそろ人物関係が多重化してきたので、相関図が欲しいトコロ。 健一と関係を持ったヒロインにマークを付けて紹介する一覧とか、以前はカラー口絵にアイディアがあったように思うのですけれど、ここ最近はフツーになっちゃったカンジ。 もっとデザイン的にも凝って欲しいなーと思ったりする次第。