○● 読書感想記 ●○ 2006年 【6】 ※ 表紙画像のリンク先は【bk1】です ※
『だいじょうぶ、操緒がついてるよ』
彼女のこの言葉がねー。重いというか強いというか。 そうやってこれまで幾度と無く声をかけてきて、そしてそのたびに心を落ち着かせてきたのかと思うと。 朱浬センパイは、いよいよ対象外ってカンジでー(笑)。 まぁ、楽しそうにしている様がステキなので、べつに構わないですか? 口絵カラーの楽しそうなこと楽しそうなこと(^_^;)。 タイムリミットが待っている物語ですけれど、さほど性急に進めようとはしないんでしょうか。 今回のお話なんて、人物相関をふくらませるためのものでしたし。 あとがきによれば5巻とか6巻とかのイメージもこの時点ですでにあるようですから、『ランブルフィッシュ』なみの長編を意識されているのかなー。 楽しみです。 サブタイがかなりネタバレギリなカンジだったことに、読み終わった後で気付きました。 やられた〜!(><)
誰かが、誰かを思って力を尽くす。 それはよかったり悪かったりするだろうけれど、毎日どこかで行われている冒険だ。
もぉ、この言葉がステキ。 世界は物語で溢れているってカンジ。 それは、わたしの、あなたの、物語でもあるワケで。 こういう、小さなトコロを見つめる視線が、野梨原センセのステキなトコロなのかなー、って。 にしても、マダーは可愛くなりましたねぇ。 言動と併せて、P183の挿絵なんて破壊力抜群です。 これでアザーが倖せにならなきゃ、ウソですよ〜(^-^)。 ……倖せな物語だったのだから、良し、なのかな(苦笑)。
「階段レースでなら、階段部は無敵です。たとえ陸上部といえども勝てませんよ」
きゃぁぁぁぁっっっ!!! 小夏おねぇさ〜ん!!!(≧▽≦) こういう信頼感を示されるの、弱いなぁ……。 あ、美冬おねえさんも、限られた中で美味しい役回りを……(´Д`)。 あのひと言?も、信頼を示してましたよねー。 カラー口絵……わかってらっしゃる!! 天然、天然と言われる主人公・幸宏くんには、どうしても「御堂巴」の姿を重ねてしまふ……。 言動からすれば、ゆうこ部長のほうがらしいですけどねー(笑)。 今後へ向けての下地固めのような趣きがあった今作。 目をつぶっていたイレギュラーな部分をあえて自ら顕在化させても示したかったのは、誇りを持ってルールに背を向けるという強い意志。 その心意気や、お見事です! 次作も楽しみにしてまーす。
「ああ、そうとも! おれはいやらしいとも! いやらしくて何が悪い! いやらしいことと悪とは何か関わり合いがあるっていうのか!? おまえはその関係性を証明できたというのか!? いやらしいが善であるという正義のかたちも可能じゃないのか!?」
「かたち」にこだわるイデア論……(笑)。 中高生がこの本で初めて哲学に触れたとしたら、哲学に対しておっそろしい勘違いを持ちそう。 あるいは希望を(^_^;)。 驚異的なペースでキャラを消費していってますけど、元がアレだけに復活することだってアリなのではないかと思ってます(笑)。 「友情・努力・勝利」をハッキリ掲げている作品でもありますし、このあとの展開が楽しみです。 ……次巻、ありますよーに!(><)
『不思議使い2』 葛西伸哉 著 あ、あああああ……。 なんだか奥歯に物が挟まったようなというか、不完全燃焼というか。 アクション──ではあったような気がするクライマックスではありますけれど、ガツン!といくような爽快感を得られなかったのですよー。 解決策にしても、ふーんってカンジ。 理屈では正しいのでしょうけれど、主人公・未嗣くんが身を削って、知恵を総動員して、逆転の勝機をその一瞬に賭けた……というあたりが感じられなかった、と。 モヤッと感は、今回登場したライバルなポジションの「不思議殺し」のふたり組の存在も関係あるんでしょう。 シリーズ化へむけて?の顔見せの意味合いが強いということはわかります。 でもー、顔見せ以上に存在感を発揮しちゃって、1冊の文章量の中では閉じることが出来てないように感じたのですよー。 敵か味方か分からない、正体不明の危険なヤツ……ってコトなら、物語途中の活躍は要らなかったとまで思ったりして。 ああ、不完全燃焼なのは、解決策について前巻との比較をしてしまっているからかもしれません。 不思議な現象を科学的な見地から説明してみせるってパターンを好きな身としては、噂の自然消滅って肩すかし……。 物理現象ではなく人の感情に働きかける噂の類は、科学的な説明を論拠することは難しいとは思うのですけれど、そこをなんとか捻ってきてくれるのかなぁ……と期待しながら読み進めていったもので。 そういう題材を持ってきたことからして、このシリーズはそういう解決策を良しとする作品とは違うのでしょうねぇ……。 どちらかというと、大人しくは見えても殴ってナンボ、みたいな熱血パターンというか(アクション作なんですから、それは当然正しいのですけれども)。 ところで。 集団に埋没してしまうような没個性の少年が、人並み外れた能力を持つオンナノコの集団に取り込まれて自らの価値を見出しつつ事件を解決するお話。 ……ってまとめると、この『不思議使い』も同じMF文庫から刊行されている麻生俊平センセ『つばさ』も同じになってしまうよーな。 同じ担当さんですし……。 おふたりの作品であとがきをみると、アドバイスを送り合う親密関係みたいですけれど、それが何らかの影響を及ぼしているってことは……ないのか心配。 『つばさ』の次作で、新顔のオンナノコに告られて戸惑う主人公と、その主人公にヤキモチやくオンナノコの図があったりしたら……。 あわわ……。 どちらの作品も、最初から飛ばしてキャラ多すぎなのではないかな〜……と思ってしまうのは同じトコロですか(苦笑)。