○● 読書感想記 ●○ 2006年 【5】 ※ 表紙画像のリンク先は【bk1】です ※
修験者を目指す高校生・袴田が転校先で出会ったのは、幽霊に育てられた少年「伊佐」と雪女の息子「雪」だった!?
──と書かれていた場合、表紙に描かれている三人に当てはめてこのコピーを読むのではないでしょうか。 ちうか、わたしはそうじゃないのかと思っていました。 オンナノコを「袴田」なんて呼び表すことなんて無いですか。そうですか。 共感をおぼえなかったのは、つまるところ表紙にすら登場しない主人公に魅力を感じなかったところが大きいのでしょうねぇ……。
「お、応援を呼べ!」 「なんとかしろ! 相手の武器はたかがバット一本なんだぞ!?」 「早く誰か──」 黒服のひとりが混乱気味に叫んだ。 「誰かこいつを止めろ!!」
止められるワケがないです。 だって、彼我の覚悟が絶対的に違うのですから。 にしてもバット一本で突貫していくなんて、ほんっっと無茶苦茶でカッコイイ(笑)。 等身大の存在から、もう一歩踏み込んだところにいる主人公、鉄平くん。 それが憧れとなって、応援したくなる心境を呼ぶのかなぁ〜。 文七くんも良かったですね。 やぱし、彼も侠気ある快男児であると思うのですよ。 ……だからナンパは失敗するのか?(苦笑) 曜子ちゃんとは雰囲気良くなっているよーな気がするのですけれど、こちらはまだまだですかねぇ……。 あと、やっぱり槍ヶ岳さんにシビレルゥ!(≧▽≦) 人を食ったような性格は最後まで変わらずでしたけれど、彼女のエンタメ論には同意できるというか、拍手を送りたいというか。
「救うといってもピンからキリまであります。誰かの人生観を大きく変えてしまうもの、道に迷って大切な一歩を踏み出せない誰かの背中を押すようなもの、ほんの少しでいい、ちょっとした勇気を与えられるもの──そんなテレビを作っていくことが、私の夢なのです」
これ……三浦センセの本音かしらん? ともあれ、こうして言い切る彼女にも覚悟が見えたワケで。 やぱし、覚悟がある人は綺麗ですね。 どんなにみっともなくても、どんなに情けなくても、自ら掲げる覚悟の前には外聞なんてなんの意味も無く。 あとがきによると、ふたりの恋に区切りがついただけでシリーズは続いていく……かも?とのこと。 あー、でしたら大目玉さん主役のお話、希望〜♪ ココロを揺さぶることがエンターテインメントなら、この作品はまさしくそれでした。 楽しく、ステキな作品をありがとうございました。 次が「上等。」シリーズなのかそうでないのかわかりませんけど、楽しみに待ってマース。
「ガリオン、やけにこむずかしいことをいうんだな。わたしから見れば、うら若い女性が巧みに男を操っているだけだよ」
珍しくたくさんしゃべったかと思ったら、ヘターったら!(笑) 全てが終わって国へと帰る場面。 ドラクエ4のラストを思い出したんですけど……。 たくさんの別れの中で印象深かったのは、サディとアダーラ。 サディってこんなにも大きな存在になっていたんだなぁ……って実感。 この先、再会することがあっても、同じ道を歩む仲間では無いという現実を、確かに知らしめてくれたからかもしれませんが。 アダーラは……んー。 はっきりとお別れを示してくれたから、かな。 お別れっていうか、旅の終わりをでしょうか。 この巻とベルガリアード物語1巻を並べて平積みしていた書店がありましてー。 HACCANセンセが描くガリオンの成長ぶりに驚きましたですよ。 長い旅を経た、時間の流れがそこにあるわけで。 そして「生」あふれるラストシーン! とても美しく、神々しくある、素晴らしいシーンであったと思います。 ビバ! 読み返すたびに新しい魅力をそこに見つける、とてもとても壮麗で愛すべき物語です。 これからも、何度でもわたしはこの物語と向き合うことでしょう。
『レヴァイアサン戦記T』 夏見正隆 著 社会をディフォルメして描いたときの夏目センセの作品は、ほんっとーに気持ち悪くて……。 ありえないってくらいに粘着質。 もっとも、それだけにフィクションとしての体を成しているワケなので、限りなく物語の構成要素となっているのかも。 めまぐるしく視点が変化していくところは夏見センセらしい作品だなぁ、と。 ソノラマのメルマガによると大幅加筆されているとのことなんですけれど、このザッピングな構成は変わってないんだろうなぁ。 個々のキャラ描写にあまり力を入れているようには感じられないので、ちょっと煩雑なカンジもしてしまうのですけれど……。 言動ではなくて乗機によって変化させているような向きもありますし。 このあたりのバタバタ感も夏見センセらしいっちゃ、らしいですけどね〜(^_^;)。 このシリーズの続編が「わたしはファルコン」なんでしたっけ? 見覚えがあるキャラがちらほらと登場してきているような……。 あちらのシリーズも復活してほしいなーっと。