○● 読書感想記 ●○
2005年 【8】

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20
 
『涼宮ハルヒの陰謀』 谷川流 著

 あーあーあー。
 表紙イラストは、そーゆーシリーズでいくわけですか!
 次巻は長門有希ちゃんでしょうし、どんな表情・仕草をするのか楽しみ〜♪
 ……メガネのリムに指をあてるとか!?

 本編内容は、キャラの心情<物語の設定、なカンジ。
 わたし解釈で述べるなら、SF仕様っていうかー。
 凝った作りにはなっていても、そこにキャラの心情は関与してないので、わたしとしては苦手な物語だったかなー。

 キョン自身、自分がどうして行動を起こさなければならないのか、なにを求めて行動するのか分からない心情を漏らしているように、そこにはわたしも激しく同意。
 理由も伝えられずに、ただ状況を生む、形勢を作るためだけに動かされるのは、不安でもありますし……。

 「ふりまわされる」というキョンが置かれた状況はさして変わりないのかもしれませんけれど、これまで彼が振り回された状況というのは、すべからくハルヒに関わっていることが判明しているわけで、行動に対する不満も憤りも、当然ハルヒに向かうことができたんですよね。
 そうしたキョンのハルヒへ向けられる心情がわたしは面白いと思っていたのですが、今作ではそうした矛先がありませんから……。

 キョンがどれほど朝比奈さんを礼賛しようとも、それって本気とは受け取れませんし、有希ちゃんは戦友ってカンジですしー。
 キャラのやりとりを面白く思うわたしにとっては、ちょっと物足りなかったのデス。


 あ、でも鶴屋さんのレギュラーキャラ昇格?はプラスポイント!
 今作は彼女のために存在するといっても過言ではないでしょう!
 なんか、こう……基本アクティブなのに、一線を越えない奥ゆかしさがあるというか。
 もぉ、すっげ好印象ですよ、鶴屋さん!(≧▽≦)
 ハルヒを表に立たせて、御自身はもっと暗躍してください(笑)。
 


19
 
アウトニア王国人類戦記録4 でたまか 群青黎明篇』 鷹見一幸 著
 

 主人公を映すカメラの中には、映っていないだけで、ちゃんとその世界の住民が存在しています。
 (中略)
 この本の物語世界には、そういったカメラが映さなかったいくつもの「でたまか」が存在しているのです。【あとがきより】
 

 そういうお話こそ、外伝で書くべきなんじゃないかなぁ……とか思ったり。
 別段、主人公の周囲だけを書け!とか、もっと展開を早くしろ!とか、そんなことを述べるつもりは無いデス。
 クライマックス直前……よりは、もう少し前で、ワンクッション置いて整理するのは正道でもあると思いますし。
 ただ、鷹見センセが仰っているような意図で主人公たちへ関わってこない事象を文章にするのは、なにか違うような気がするのです。

 まぁ、ケルプとかワタルに関わってきますので、全般無関係ってワケでもないんですしー。
 それに表舞台に上らない気楽さ?からか、飄然とした雰囲気さえこれまで感じてしまっていたマイドも、ここでようやくポキリと折れたと申しましょうか。
 挫折を味わってこそ、オトコノコは強くなるもんですもんねー。
 それも大切なオンナノコのためとあらば!(笑)

 前巻ではチャマーが折れてしまったところが描かれ、マイドの無敵ぶりと比されてしまった感があって、ちょっとチャマーには不憫だなとも思ったものですけれど。
 ま、これで同じ高さに立ちましたよねー。
 マイドも、チャマーも、ケルプも、これで最終決戦に臨むための舞台が整ったカンジ。
 そういう舞台を用意できた意味でも、この巻の存在意義があったのではないかと。


 籠城、もしくは包囲戦からの脱出・救出劇は、「人類戦記録」の当初から繰り返されたシチュエーションでしたけれど、今回のウェストウィックUの戦いは、これまでになく苛烈な状況でしたね……。
 ワルガキくん。最初っから死亡フラグ立ててるんだもんなぁ……。
 このあたりが、マイドやケルプと違う、主役級キャラではない扱いなのかな……。

 もしそうなったら批判は免れないでしょうけれど、万に一つの「偶然」を装ってでいいですから、生きていてほしいです。
 そんな批判などモノともせずに、サプライズができるセンセだと思いますしー。
(それに、WEB上での希望が強まれば、それを叶えるところがあるようなセンセだとも思ってます……ってのは、ちとイヤミデスカ?)

 国とは国民のことです。あなた方の国アウトニアは、その国土を失い、流浪の民と化しても、国債の償還を続けました。それが国債を買ってくれた人に対する約束だからです。
 そして、あなた方アウトニアの王子チャマー様は、ローデスの星の指導者とその孤児たちを守ると約束し、そしてアウトニア軍の方々は、その命をかけて、孤児たちを守り通し、約束を果たしました……。
 アウトニアは、約束を果たす。
 これが、担保ですよ。これが担保でなくて何が担保ですか? 本当の信用とはそういうものです、数字に表せるものではありません。

 長い長い物語が、実を結ぶ姿を思います。
 はじまりは、たぶん、マイドがしたメイへの約束。
 それがこの物語を生んだのではないでしょうか。

 文章術のつたなさや、世俗に通ずる悪ふざけ。
 「アウトニア王国」の物語や、作家・鷹見一幸という人の姿勢などは、必ずしも賞賛に値するものばかりだとは言えないと思います。
 非難される点も分かりますし、過度の弁護もわたしはしません。
 未熟な物語ですし、未熟な作家ではないかと。
 それでも、この作品で描かれたコトの中には、わたしたちが大切にしていかなければならないコトが幾つも散りばめられているように思います。
 作品を批判すること、批評することはできます。
 でも、読み手に求められるのは、そうしたひとつひとつの「大切なコト」を読み取って、それが何故わたしたちに大切なのかを理解し、そして伝えていくことなのではないでしょうか。

 古事記も日本書紀も、はじまりはきっと、つたないお話だったと思います。
 それが幾人もの詠み人をたどっていく中で、昇華され、洗練され、この国のアイデンティティを伝える「物語」になっていったのではないでしょうか。

 さすがに記紀と比べるのは大仰かもしれませんけれど、この作品には伝えていくべき事柄があるのだと、わたしは思うのです。
 だから──この物語が、どう決着するのか、楽しみにしています。

 ……んでも、わたしの中での鷹見一幸センセの評って、「物語を終わらせられない人」ってモノなので、楽しみではあるんですけれど、心配でもあるんですよねー。
 どうも物語の帰着するところが、わたしの好みとはズレているというか……。
 き……杞憂であって!(><)
 



18
 
『ぎぶそん』 伊藤たかみ 著

 うはーっ! あまずっぱー!(≧▽≦)
 舞台背景は昭和末なんですけれど、年頃のオトコノコ&オンナノコが考えることって、あまり変わりがないですよねー。
 オンナノコのほうがちょっとだけ多感に感じているっていうのに、オトコノコのほうは一直線でバカ!(笑)
 そういう鈍感なトコロにイラチしちゃったりするけれど、いざってときの行動力が眩しくて……みたいなー!
 うっひゃぁぁぁぁ。照れます!

 低所得者層が住む地域へ対する差別や、集団行動できない「不良」に対する圧力などは、平成よりも昭和の頃のほうが顕著だったでしょうね。
 でも、そうした鬱屈した世界の中だからこそ、外へ飛び出したい、いまとは違うなにかに変わりたいという願いは強かったのではないでしょうか。
 そんな、爆発する前の、ふつふつと噴き出すときを待っているような、激しい気性を今作の舞台・人物には感じます。

 物語の展開もですね、もう◎!

 ライブを成功させなければいけない少年少女の前に立ちはだかる障害。
 障害を乗り越えるための手段は見つかったものの、それは机上の空論。
 いくら理屈で分かったからといって、その通りにできるとは限らない。
 でも──彼らは本番での一発勝負に賭けた!

 物語ですからライブがすんなり成功するわけがないとは分かるのです。
 でもその障害を、偶然や単なる不注意で巻き起こすのでは、乗り越えるべき対象としては弱い気がするのです。
 問題は明確に。
 そして主人公たちが問題の存在を把握し、知恵をめぐらせ、いかにして乗り越えるか……。
 そこにカタルシスがあるのだと思います。
 この作品の主人公、ガクやリリイたちは、必死になって考え、そして乗り越えます。
 ああっ、もうっスバラシヒ!(≧▽≦)

 わたしたち、つきあうことになりました。だから、世界に報告してください。飛行機雲で、空に二人の名前を書いてください。風に消えないよう、大きくたのみます。

 嬉しさの中に、ほんのり切なさの香りも漂います。
 青春小説として、良作ですわ〜。
 


17
 
『初恋マジカルブリッツ いいからあたしに恋しなさい!』 あすか正太 著

 あすか正太センセという人は、機を見るに敏というか、好感度のアンテナを持っているというか……。
 展開についてや筆致の好き嫌いとは別に、キャラ造型は外さないってイメージがあります。
 いや、ホントに(笑)。
 それをあざといって見る向きはたしかにあるかもですけれど、わたしは好きだなー。
 楽しませるって意識がそこにはあると思うので。
 計算って大事!(^_^;)


 前巻で結ばれたハズのふたりなんですけど、今作では結ばれたという行為が逆に障害となって……。
 あー……照れるなぁっ、もうっ!(笑)
 物語は進まなかったですけれども、ふたりの絆を強くする方向では良かったのではないかと。
 ラストのことを考えるに、次作では安からぬ展開が待っていそうなので……(TДT)。
 

16
 
『処女はお姉さまに恋してる とまどうジュリエット』 村上早紀 著

 パラダイムの「おとボク」ノベライズ第2弾。
 貴子さんメインってことで、先日のJIVE版と近しいモノとなっています。
 んでも、こちらのほうがゲーム本編に近い雰囲気。
 とくに誰を際だたせるという方法をとらず、幾多のキャラの視点をくるくる入れ替えるというあたり。

 それでも、ノベライズでの独自要素はちゃんと採用されていたりして、わたしにはこの独自要素がかなり好感でした。
 プリンの件とか、一子ちゃん未登場の件とか。
 プリンの件は女の子同士のやりとりを描くのに相応しかったシチュエーションを作り出していたと思います。
 それも1度きりのシチュエーションというわけでなく、あとになっても活かすことで、軽く物語の伏線としても機能していますし。

 一子ちゃん未登場は、こと貴子さんのお話においては関与していないということで、思い切って削除されたんでしょうね。
 水泳の件で一子ちゃんの存在ってのは小さくはないとも思います。
 だけれども今作においては「瑞穂がどのように立ち回るのか」が主題ではなく、「エルダー・瑞穂に対する貴子の疑問」をクローズアップすることで、この事件に関しての意義を際だたせることに成功していると思いました。
 貴子さんの気持ちを表に立たせれば、瑞穂ちゃんが一子ちゃんの力を借りて云々……というゲーム本編の流れはさして大きな意味を持たない。
 英断だなぁ……と思うのです。

 わたし的には、まりやとの仲直り?も良かったです。
 ゲーム本編ではふたりの心情変化が描かれていなかったと思うのですけれども、互いを好敵手であるとハッキリ認めていった過程を描かれたのは嬉しく思います。
 そうそう! そうなんですよ!
 貴子さんは、間違いであると分かれば、頭を下げて非を認める潔さを持っている人なんです!
 そしてより良きステップへ向けて歩き出せる人なんです!
 少なくともわたしが思い描く彼女像はそう!
 そしてまりやも、瑞穂ちゃんを想う気持ちに区切りをつける姿がカッコイイと思いました。

 やっぱり、潔いオンナノコはステキだなっと(^-^)。

 

15
 
『PEACE@PIECES』 小林正親 著

 ゲーム本編をプレイしているから分かるんじゃないかなぁ……って思ってしまう展開が多々あったり。
 基本的に、本編の流れについては不満を抱いているわたしなので、そのままなぞるよりはライトノベルとして独自の展開をみせてほしかったなぁ……と思う次第。

 本編でも感じてしまったことなんですけれど、この物語の主人公っていったい誰なんだろうか、と。
 わたしは、ヒカルであり、ナギであると思うんですよ。
 そういう点からも、ノベライズするならユーザーキャラである村上久斗は思い切って視点から外してしまっても良かったのではないかと考えてしまうくらいなのです。

 なんか、こう……。
 ゲーム本編と同じく、誰に感情移入していけば盛り上がって受け容れられるのか、疑問に思ってしまうのデスヨ。


 ただ、ノベライズされたことで第三者視点というポジションが明確にされているので、終盤、ヒカルとナギのふたりで事態打開へ向かう流れは、本編と比較すると素直に受け取れたカンジがしています。
 本編では、ユーザーキャラであるはずの主人公・久斗がないがしろにされていたので……。


 でも──。
 ヒカル・ナギのルートだとしても、誉とまりりんの退場の仕方には不満が。
 もう、ここから先は登場しないよ、といった場面をもうけるべきではなかったのかと。
 いつのまにかふたりは退場……って、ゲーム仕様では理解できる仕組みかもしれませんけれど、ノベライズにするに際しては理由を設けるべきではなかったかなぁ……と、そう思うのです。


 あ、いとうのいぢセンセのイラストは必見かもですよ?
 これまで上梓されている作品のなかでも、飛び抜けた完成度の挿絵といいましょうか……(苦笑)。
 カラーよりもモノクロが。
 ちゃんと清書している……と(^_^;)。
 

14
 
『オルガナー 〜さよなら、もう二人の麻理子〜』 遊直 著

 三人……も必要だったのかな?
 そこに違和感が。
 恋花との物語は母離れに位置づけられると思うんですけれど、真白の存在位置は──ちょっとわかりません。
 彼女から主人公への恋心があると分かっても、主人公からすれば初対面の人に前触れ無く告白されたようなものじゃないかしらん。
 それで琴線に触れるような別離の物語を描くというのは……ちと乱暴ではないかと。
 彼女の説明をするために、中国でのお話が地の文での設定語りになっているところもキライ。

 筆致は読みやすくって好きかもー。
 変に凝った言い回しとかしなくて、すごく素直な筆致だと思うー。
 あとがきも読んで考えるに、女の子を主人公にして女の子集団での賑やかなお話など如何かな〜と思ったりするのですが!
 どうもオトコノコの心情はネガティブな方へ行きやすい気がするので(苦笑)。
 

13
 
『あそびにいくヨ!7 とってもあついのキャーティアシップ』 神野オキナ 著

 騎央を中心としたポジションに落ち着いて物語を進めてくれたらなぁ……と思います。
 複数のキャラ(orグループ)の言動を次々に入れ替えながら進めていくザッピングは、いまはもう、手法として見直す頃なのではないかな、と。
 そうした手法が活かされる作品というものもあると思いますけれど、騎央を中心とした交友関係を描く場合には不適当ではないかと考えるのです。

 叔父さんと先生の関係が進展したとか、この時点では不要だと思ったりするのです。
 後日、ふたりの関係がフランクになっていることで騎央たちが助かるシチュエーションも考えられなくもないですけれど、そうなったらなったで、そのときに──
「いつの間にふたりはそんな仲に!?」
 ──とでも言わせるくらいで良いような。


 恋愛関係において差し迫った障害が見受けられないことが、わたしのなかで停滞感につながっているのです。
 自分の倫理観との葛藤にせよ、いまだそれを保持しているアオイちゃんを応援したくなる=感情移入するのも、真っ当なことですよね……。
 騎央はその……淡泊すぎ?
 悩んでいるとの描写はあっても、その悩みの深さが伝わってこないんですよー。


 異文化コミュニケーションなところは楽しかったです。
 チャイカが子持ちだったなんて……(笑)。
 

12
 
『神様ゲーム カミハダレニイノルベキ』 宮崎柊羽 著

 アレのためにコレはあって……。
 ひとつのガジェットの存在理由が他者を存在させるためで、本当に物語を進めるために必要なのかな……?とか思ったり。
 平たく言えば、構造を考えすぎだという印象が。

 そもそも。
 「全知全能」とする神様を相手にフェアなゲームを行おうとする熱心さが、ちとわたしには鼻についたといいましょうか……。
 神に抗う──というのは、古典的でしかも普遍的な題材だと思いますけれども。
 んでも、それって神が作ったルールに則りながら、真正面からぶつかっていくって物語ではないと思うんです。
 それで造られた存在であるヒトが勝てるなら、ずいぶんと神という存在が堕ちてしまうのではないかと……。

 神が作ったルールを、いかにしてヒトがヒトらしく超えていくのか。
 そうした抗する姿勢が胸打つような。
 ルール通りにゲームをやって、精一杯生きたぞ!って叫ぶのは、ちょっとカタルシスに乏しいというか、そう感じます。


 交渉術の話。
 Aという人が「5回」と提案してきたところ、提案された側のBという人は「少ない。10回でどうか」と持ちかけます。
 そのあと「A:10回なんてダメ」→「B:9」→「A:6」→「B:8」→「A:7」と1単位ずつ繰り広げられていく交渉を、わたしは「駆け引き上手」とは言わないかなー。
 初期提案とふっかけ案のちょうど中間で落ち着くような交渉、普通すぎるというか。
 この場合、交渉すること自体がすでにポーズ以上の意味はなくて、そこへ落ち着くであろうことは両者が初めから認めているのではないかと。
 定められている事柄とでも言いましょうか……。

 この件で表すことが出来るような意外性の無さを、前編通して感じたのです。
 落ち着くトコへ、落ち着く……といった。

 続編、あるのかな。
 口絵には「いち」と表しているから、たぶん……。
 世界を造るために必要な情報はこの巻で十分出ていると思うので、次があるなら人物同士の関わり方や、個々の心理面をたくさん描いていってほしいです。
 

11
 
『処女はお姉さまに恋してる』 皆川千尋 著

 Hシーンの無いキャラクターノベルとして刊行されたJIVE版。
 ゲームの主人公・瑞穂の視点ではなく、ヒロインのひとりであった厳島貴子嬢の視点から書いているお話。
 パラダイム版との差別化を図る意味でも、また、ゲームの展開をなぞるばかりではないという新鮮味を打ち出す意味でも、こうした試みは面白いと思います。
 ──だけど。
 どーも、貴子さんの心情というか掘り下げられたキャラクター部分が、わたしには馴染まなかったといいますか……。

 わたしの貴子さん評というのは、堅物であることを自覚しつつ、その信念には揺らぎがないという清廉で生真面目な人。
 自分が至らない人間だとの弱さを認めても、決して弱さを甘受するような人ではないと思っているんですよね。
 この作品で描かれている貴子さんは、弱さに震え、他者の動向に疑心暗鬼になって、果てには自分には不可能と諦めて卑下する醜さをもっているような。
 それは、ちょっと……わたしが思う貴子さんとは違う、かなぁ。

 ただ、そうした性格描写を取り入れる方向は分からないでもないのです。
 ようは本編で与えられた材料を、わたしと皆川センセの間では異なった解釈をしているのだと。
(そしてキャラメルBOXのチェックを通っているなら、今作で描かれた貴子像のほうが正しいんでしょう)


 前半は貴子さんを主役に据えたことによるオリジナル展開がふんだんにあったのに、後半はゲーム版の貴子さんストーリーを大筋でなぞっているだけになってしまっているのは残念。
 ラストを変化させるなら、もっと大幅に変更しても良かったように思います。
 


10
 
『魔術師の娘』 デイヴィッド&リー・エディングス 著

 最愛の妻を亡くしたベルガラスが、失意の旅のなかで愛の遍歴を繰り返していく物語……かと思いきや。
 失意であったのは長い人生においては、ほんのひとときでしかなく、誰と誰を結婚させなきゃいけないと忙しく世界中を飛び回る、仲人・ベルガラスの物語……?
 おじいちゃんも大変です(笑)。

 それでもリヴァみたいに喜んでくれれば、仲人した甲斐があるってもんでしょ。
 脳裏に閃いた金髪美少女をずっと思い続けている──って書くと、かなりな電波具合なんですが、リヴァ。

 やがてリヴァがカマールに着いた。市民はまちがいなく彼に注目したことだろう。それは彼が七フィートの長身だったせいばかりではない。ベルダランとのあいだに立つものは人だろうがなんだろうがかまわず突破するほどのいきおいで歩いたからだ。

 おちつけ、三十路の男(笑)。
 まー、なんていうんですか?
 無神経ぶりとか、思いこみが激しいとか、ほんとガリオンの祖ですよ。
 セ・ネドラとのことも思いこみで仕掛けておけば、もっとすんなりと運んだんでは?
 ……ああ、ネドラの民に電波しかけてもダメですか(^_^;)。

 ドリュアドのほうもようやくセ・ネドラにつながってきて──。
 ソリアが髪を噛みながら考え込むって、セ・ネドラにもあった癖なんですけれど、彼女から続いているんでしょうか。
 ま、でも、名言は、やっぱあれかなー。

 チョコレートをもっていくといい。本当だよ。

 そういうことは、ガリオンに言ってあげてください(笑)。


 ポー・ワキューンでの話とか、ゲランとの生活とか、谷の小屋での一人暮らしとか、そのあたりの話は「女魔術師ポルガラ」で期待していまーす。
 ガリオンとかダーニクが、どういう気持ちで聞いているのか気になる〜(笑)。


 優勢に見えていた<光の子>側が、<闇の子>側に大きく出し抜かれたのって、ゲランの件が初めてのような。
 大きな時代のうねりがキタッてカンジー。
 ベルガラスとクトゥーチクが、はたから見ると仲良さそうに見えるのが意外だったというか……。
 そしてチャンダー、キタッ!
 いよいよ現代へつながってきているカンジがしてまいりました。


 あー、やっぱり<番人>の家系の人たちの忠誠心には泣けますわ〜(T▽T)。
 どうしてこの人たちは、これほど悲壮な覚悟を持てるのかなー。


 マロリオン物語も刊行予定に入りましたね。
 そのせいか、今作は注釈が多くなっていたような……?
 次巻以降も楽しみ〜♪
 


9
 
『老ヴォールの惑星』 小川一水 著

 SF作家は短編を書けてこそ──なんて、変な思いこみがわたしにはあるのですけれど、そういった点からみても小川センセは、まごうことなきSF作家さんなのデシタ。
 SFらしいガジェットはもちろん用意されるにしても、それを理解させるために読み手に多大な労力を強いることなく、素直に物語を進められるというのは、ホント力量を示しているかと。

 社会の創成と、生の価値……ってあたり、センセの作品の中では『導きの星』を思い浮かべたりして。
 解説のかたも述べられていますけれども、たしかに以前あった現場主義の傾向は近作では後退しているのかも。
 そうなると『千マイル急行』の位置づけ・意味合いも変わってくる……?
 ちうか、あそこでも破壊された社会を復活させることや、社会における個人の定義への反芻などが描かれているわけですし。

 また、小川センセのなかでは、男女という性差すら異種族間の文明交流といった遠大なテーマになっていたり……しますか?
 同じ「ヒト」という種ではなくて。
 愛とか恋とかは生きるために作り出した副次的なモノ──と考えると、センセの著作では「性」は「生」に直結していたり、感情的・心情的には性差が語られないのも理解できるなぁ……とか思ったりして。
 もう、もろにSF的に第一種接近遭遇、なんちて。

 収録作のなかでは「ギャルナフカの迷宮」が面白いなーと最初は思っていたのですけれど、あとになってくると「漂った男」がSF短編として味わい深いかも……と。
 所詮は空気の振動である声での交流で、ヒトはどれほど生きる意味を見つけられるのかなー。
 でもラスト、何故自分が生きてきたのかを知る主人公にはウルッときましたですよ。
 すごく良作。
 

8
 
らぶとラブる!? 学園サンクチュアリ』 早見裕司 著

 なんでしょうか……。
 すがすがしいまでの開き直りップリを覚えるのですが……。

「これは、愛の事件です。石動君は、煙草の匂いをかぎつけたようですが、僕は、愛の匂いを感じます。愛がある限り、それを解決するのが、僕が天から与えられた役目です」
「愛の匂い、ね」
 石動が、くだらない、というように笑い、公佳や教頭先生も、あきれたような顔をした。夏樹はまた、むかつきそうになった。
(圭介は、ほんとうに、愛を感じるんだから!)

 飲んでいたコーヒーが気管に入ってむせました。
 へ? は? 匂い? 愛の?
 観念ではなく実在として「愛」を語る作品ってのも珍しいというか、見たことないデスヨ?
 すごい……ちからわざ(苦笑)。

 でも……。
 今作の中では設定の奇抜さで「愛」というものは作品内で存在感を見せることができていますけれども、物語の展開に馴染んでいるとは思えなかったんですよねー。
 使われちゃっている感……とでも言いましょうか。
 なぜそこに「愛」があるのか、なぜ人は「愛」を求めているのか、「愛する」ということはどういうことなのか。
 そういったことへの語りへ同意できるほど説明が足りているようには思えないんですよー。

 推理ミステリとしては、早見センセらしく真正面から取り組んでいると思いました。
 んでも、ここでもまた「愛」と「推理」が設定としてただ置かれているだけ、互いにうまく混ざっていないように感じてしまったんですよね。
 食材が別個に自己主張している料理なカンジ。


 ところで。
 「N・E・W・S」は富士ミスの新しいコンセプトだそうですが。
 読んだことのない珠玉の物語を──って、そりゃそうあってほしいですよね。
 んでも、今作、わたしの場合、はやみねかおるセンセの「虹北恭助シリーズ」を思い浮かべてしまったんですよー……。
 キャラ造型のあたりが……その……。

 ところで2。
 あとがきのサイン(?)、2004年6月……って、正しいのデスカ?
 作中でマツケンサンバのことに触れていたりするから、1年前ってことはないですよ……ねぇ?(^_^;)
 あ、時事ネタ、芸能ネタは生モノですから、作中で触れるのは控えたほうがよろしいんじゃないかなーって思います。はい。
 



7
 
『猫泥棒と木曜日のキッチン』 橋本紡 著

 「死」を描かせたら、この人はもう……。
 もともと物語のテーマにおいては普遍的なモノですけれど、であるがゆえに、そこを描く力量が問われるってものでー。
 普遍的だということから回避、あるいはガジェットの一部に流し込んでしまう作家さんは、ことライトノベルという分野では少なくないと思います。
 いわゆる死生観のようなトコロまで扱いの幅を広げているセンセって──珍しいような。
 もっとも、珍しいというだけあって、それはもう「ライトノベル」という分野を超えてしまっているのかもしれませんけれど。

 主人公を取り巻く状況の変化の始まりがあって、そして変化の終結──日常に戻るという流れがある限り、ジュブナイル小説として丁寧にまとまっているように思えました。
 成長を描いたというより、経験を描いたってカンジ。
 この経験を糧に成長したのかどうかは分かりませんけれど。

 少年少女の心情の移ろいかたも見事かと。
 行数を割いて細やかに描いているわけではけっしてないにも関わらず、多感な年頃の微妙な変化を感じることができるのはスゴイと思います。


 橋本センセは壊れた子どもたちを描くのが巧みな人だという印象があります。
 壊れた──というのでなければ、心が欠けている子どもたち。
 心の欠けた部分を埋め合わす、補い合う、慰め合うように、必死になって他人と向き合っていく子どもたち。
 大人たちはなにか紛いもので欠けた部分を消しながら生きていますけれど、そんな紛いものでは代替できないほどに、橋本センセの描く子どもたちのココロは、とてもとても純粋な輝きを持っているのですよね。

 「曜日」シリーズは、このまま続くのでしょうか?
 ちょっと楽しみー。
 「金曜日」のほうも、読み返したくなりました。
 あっちもハードカバーで出版されないかなー。


 それにしても、この猫の絵、橋本センセが描かれたのか……。
 良いセンスしてるー。
 

6
 
『しにがみのバラッド。 7』 ハセガワケイスケ 著

 止まってしまった時間を、再び刻み始める主人公。
 その姿にハセガワせんせを重ねて見るってのは、ちと思いこみ激しすぎかしらん。
 んでも、シリーズ前作の落ち込みッぷりからすると、かなり前向き……っていうか、歩き始めようとするまでの想いの過程が描かれているなぁ、と。

 んでも……もうひとつ!
 あともう一歩踏み出して、明確な答えを標してほしかったなぁ……という欲張りな感想が。
 余韻を残す手法もこのシリーズには似合うとは思うんですけれども、そこを言葉にあえてしてほすぃぃぃぃ……。
 想いを伝えるのは言葉だけじゃないのは分かるんですけれどっ!(またか、自分)

 惺がもういちど音楽の道を歩み出したことで、それまでの想いに区切りをつけて、止まっていた時間が動き出したということは十分にわかるのです。
 でも、そこでどう区切りをつけたのか、そこまでの想いとこれからの想いにどう折り合いを付けているのか、それと──やっぱり紗耶ちゃんとの関係に変化はあったのか否か、ですか。

 ……あ、ふたりの新しい関係は、今後のシリーズで明かされるってパターンがあるのか。
 そっか、そっか。
 期待してまーす(笑)。


 絵描きの少年はもしかして──幾間大輝クン?
 クレヨンで描く「らくがき」とか、ヒカリの表現とか。
 各章のつながりを考えるのも、このシリーズの面白みですねー(^_^)。


 地の文が三人称と一人称の混在する視点で書かれているのが、ちょっと読みにくかったデス。
 綾・紗耶の一人称で良かったんじゃないかなー。
 ミッドポイントでの転換も、もっと劇的になったんじゃないかって思いますし。
 もっとも、そうした混在っぷりも、ある意味では舞台劇っぽい印象を受けることにもなっているのですけれど。
 んで、そうした雰囲気が必ずしも悪いモノではないという……。
 でもまぁ、読み物ですから……。
 


5
 
『飛鳥井全死は間違えない』 元長征木 著

 個であることには意味があるけれども、そこに個性を見出すのは「世界」においてはさして重要なことではない──と?
 個であろうとするがために個性を上乗せしようする行為がはびこる現代へのアイロニーがある……という見方は斜めってますか?
 とまれ、ミステリーとしては今年マイ・ベスト・フェイヴァリット!なカンジ。
 元長センセのセンス・オブ・ワンダーは、ホント好きー。
 簡単に読み解くことはできませんけれど、そうした難解さを含めても好きかなー。
 マイ・ベスト!だったりするのなら、時間をかけてゆっくりと読み解いていこうかと思ってます。


 自分に酔ったような文章でありつつも、読み手へのサーヴィスの意識を感じるのは、元長センセが小説家としての体現よりゲームクリエイターとしての自己を強くもっておられるところなのかなぁ……とか思ったりして。
 ──誤解されるとアレなので注釈しておくと、「酔った(ように思える)」文章を書くことを批判するつもりはありません。
 物書きなんて、誰彼、自分に酔ったところが無いと、むしろ変だと思います。
 表現するって、そういう陶酔にも似たものだと思いますし。
 でも、酔いながらもエンターテイナーとしての醒めた(冷めた)部分を残しているというのは、読み手であるわたしには心地よいのですよね。
 過度の切迫感がなくて。
 いや、もう、ホント好き好き。
 元長センセの筆致!


 読みながら音楽を聴いていたら、「PRINCESS BRIDE!」が流れてきて、あまりの雰囲気の相違に思わず笑いが(^_^)。
 世界──社会構造は同じなのかもしれませんけれど。

 センセは「中高生に読んで欲しい」って仰っていますけれど、全死や甲介に共感できる中高生ってのは──恐いかもですよ(苦笑)。
 ファイヴ・プレイヤーズに名を挙げられている中で、まだ2名は未登場ですし、これからの展開が楽しみです。
 


4
 
『キップをなくして』 池澤夏樹 著

 キップを無くした子どもは、駅から出ることができなくなる。
 「駅の子」となった少年少女たちの、ひと夏のファンタジー。

 ひさぶりの池澤センセなんですけれど、ああ、こういうジュブナイルも書けたんですねー……って、嬉しい驚き。
 もっと社会風刺したような作品か、大人(not子どもって意味合いで)な恋愛の作品のイメージがあったので。

 此方と彼方の区分ってのは、存外、近しいところで接しているもの……ってのは、わりと日本的な民俗感かなーと。
 明確な区分はあっても、そこをまたぐのは易しいというか。
 今作の場合、その区分が「キップ」であり、「ラッチ(改札)」で象徴しているラインなのですよね。
 古来、山に取り込まれた子どもは幽界に住むことになったように、「駅の子」となった彼らにも生きていく世界があるわけで。

 うーん……。
 ジュブナイルって言いましたけれど、きわめて民俗学的なお話なのかも。

 んでも、少年が大人への階段をのぼっていく様子も丁寧に描かれているなーと思うのです。
 子どもだけになった世界では、誰でも自分に責任を持って務めるべきを担っていくのです。
 戸惑いながらも務めを果たす姿勢は、成長していく過程を表していくわけで。
 年下の子の面倒をみるようになるくだりとか、気性の荒い子が自制する術をおぼえてくとか、みんなみんな成長していったよなぁ……。

 そして、もちろんほんのりはんなり恋心もー。
 一般のライトノベルで描かれるような仰々しく、形あるものではなかったですけれども、「淡い気持ち」というものはとても感じ取れたー。
 愛とか恋とか、そういう気持ちまでは、達していないのかも。
 それでも大切な人というのを、子ども心に意識する状態というか。
 そしてその大切に想う人との別れもあって……。
 この作品、すごいエンターテインメント気質に溢れていると思います。
 映画化、しませんかねー?(笑)
 

3
 
『憐 Ren 〜routine〜』 水口敬文 著

 短編集……ってカンジはしなかったかな?
 短いお話が複数収められているにしても、全体としては次の展開へ向けての布石のようなものを打っている……んですよね?
 そういうのって本編の一部だよなぁ……と思ったりする次第。

 憐と玲人の交際って、そりゃ本編ではあまり見ない……っていうか、物足りないから増量しました!って方向性での「本編外」という位置づけは分からないでもないですけどー。
 でも、「時の意思」に決められた運命へあらがってみせることが憐の本旨だろうし、運命は決められているのか否かがこの作品の主題だと思うんです。
 その決められた運命ってのが玲人との交際であるというなら、それを扱うコト自体ですでに本編のカテゴリーに含まれると思いますし、また本編として扱うべきなのではないかと思うのです。

 間違っていたらゴメンなさいですけれども──。
 本編でふたりの心情変化を伝えるのに不足した状況であるので、今後の展開を支えるためにもここで「短編集」としてカバーしておきます……って意味合いで上梓されるのは変なのではないかとー。

 ……なんだかんだ言っても、つまりは本編でもっとふたりを絡ませて!って言ってるだけですね、コレ(笑)。
 

2
 
『コッペとBB団 その1』 田口仙年堂 著

 うっぅ……。これまた家族モノでしたか。
 物語の仕掛けは簡単だなぁ……と思ったのですけれど、用意したオチまでの導き方が巧みなのかなー。
 単にわたしのツボだってことなのかもしれませんけれども、コッペちゃんを想う人たちの行動にグッとくるのデスヨ(T▽T)。

 そうした部分──「家族」の定義のようなトコロは『ガーゴイル』のシリーズと同等のモノ、パワーを持っているだけに、これはもう田口センセの本質なのかも。
 かなり深いところの。
 その点で、これからも田口センセの作品は楽しみであります。

 んでも──正義とか悪とかの差、ピカレスク小説でもないかぎり、どうあっても主人公側が「読み手にとっての正義」になりますよねぇ。
 そうした形式ってかなりステロタイプかと思うんですけれど、そこであえて「主人公が『悪』である」って主張は、あまり、その……うまくない売り込み方なんじゃないかなぁと思ったりして。

 「本来は正義であるべきはずの主人公が悪に身をやつしている」というのはキャッチな題材なのかもしれませんが、実質、悪であるはずがないというのは古今東西の物語で普遍な理になってしまっているので、そこに面白みは上乗せしにくいんじゃないかなぁ……と。

 正義を標榜する輩が愚鈍であることを描いて悪の側に正当性を感じさせるのは悪くない手法だと思うんですけど、「相手が愚かだから」という比較だけでは説得力に欠けてくるような……。
 BB団が「悪」であるというなら、実行力を伴って社会に敵対する存在であるとの葛藤を彼らに持たせるべきではないかと。
 というか、そういうジレンマを待ってます。
 苦悩をもってして前に進む人たちのほうが魅力的っしょ!
 


『お・り・が・み 獄の弓り』 林トモアキ 著

 やっぱり、わたしは「家族モノ」に弱いなぁ……と思う次第。
 鈴蘭のお姉ちゃんパワーや新キャラの睡蓮のネガティブ・シンキンもさることながら、すみれさんのお母さんっぷりが好感でした。
 完璧な母親像ではないところが特に。
 ダメな母親であることを認めた上で、良き母親を目指しているところが。
 

「ごめんね。私はもう、そんな過去に縛られるほど弱くないんだ。そうでしょ、お兄ちゃん」
 

 流れの中での台詞なので、それほど目を引く力があるとは思えませんがー。
 んでも、こうまでハッキリと過去を克服したと示す台詞を口にした主人公も珍しいような気がします。
 これまでの自分とは違うと謳っても、そこから先、どのように動けばよいのか、何故に動くことを求められるのか不明のままでも、とにかく「先へ進むこと(停滞しないこと)」を克服とする描写は、ままあると思います。
 今作の鈴蘭は、そういうのとはちと異なっているように思うのです。

 とまぁ、久し振りに主人公らしかったですね、鈴蘭(笑)。
 自分の立ち位置を認めたあたりで、今作が最終巻でもおかしくないなぁ……と思ってしまったのですが、まだ次巻が予定されているとのことで、良き哉。
 キャラの掛け合いとか、林センセの筆致は好きなのでー。


 沙穂ちゃん、あれだけの登場なのに挿絵にしてもらえるなんて……。
 愛されてるなぁ(^_^)。
 

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