○● 読書感想記 ●○ 2005年 【6】 ※ 表紙画像のリンク先は【bk1】です ※
「匂いに対する人間の感受性は、視覚的なイメージに引きずられることが少なくない。(中略)誤認してしまうことは大いにあり得る(後略)」
「少なくない」とか「大いにあり得る」とか、推理披露の場での探偵役の言葉として相応しくないような──? それでは犯人側の台詞ッポイ。 全般的なものとして、主観であると弁証に対しての防御壁を張りつつ、結論を絶対的な客観として論じているところを受け容れがたいのかも。
「突然思い立ったように後先考えずに行動し、何か事件を引き起こすとうじうじ悩むわりに、妙な正義感や義侠心に溢れている」
瑞穂ちゃんを評しての言葉ですけれど、これってわたしが思い描く主人公の形のひとつかなぁ。 次作は貴子さん編だそうで。 楽しみー!
「腕力は負けるかもね。でも彼には、知性も財産も地位もない。たいていの女性なら、賢明に僕を選ぶだろう。でもきみは、そういう種類の女の子じゃない」 「……バカバカしいわ」 「そう、バカバカしいことだ。だけどしようもないことを引き合いに比較して、勝ち負けを考えてしまうのは、恋じゃないのかな」
──GOGO! 伯爵さま!(≧▽≦) リディアが恋への不安から異性との距離感について語ってますけれど、そんな彼女とは反対に伯爵は距離というモノを意識していない……というか、そもそも他人との距離を0か1かでしか考えていないような。 幼少期にダメージ深いイベントがあったリディアですから、そう厳密に距離を意識するのもどうかと思いますけれど、伯爵のようにキッチリ・クッキリ区別してるのもねぇ……。 そりゃリディアも不安になるって言いましょうか……(苦笑)。 彼女とのことを「互いに補え合える」相手と考えているあたり、伯爵もまだまだだなぁ……って思いますけれどっ。 そういう利得関係では、リディアは説得できまい(笑)。 そしてカールトン教授は、頼りなさげな生活不能者に見えても、一人娘のパパさんなのでした。 人生の先輩として伯爵に教鞭たれる姿はステキさー。 ふふふ。悩め悩め、若人よ(笑)。 ちうか、教授の前では、伯爵も心の服を一枚脱いでいる気が。 教授に父親像を見てたり……する?
「ありがとう、妙子ちゃん。でも多賀くんのことをおしえてくれるだけで充分。それ以上のことは、たとえば自分を売り込むこととかは、私自身がいなくちゃいけないことですから。大丈夫。応援してもらえるのとっても心強いです」
うーん。スゴイです。 独特のテンポが気になる人もいるかもしれませんけれど、わたしはそのテンポも含めて良いと思う! ……嗚呼。 この子たちのその後を読みたいなぁ。