○● 読書感想記 ●○
2005年 【4】

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20
 
『神様家族6 鉄棒工場』 桑島由一 著

 う……。
 また、赤さんネタですか。
 世間を見る佐間太郎の視点を変えるというだけなら、他の手段もあるのではないかなぁ……とか思ったり。
 自分の気持ちに気付いた佐間太郎が、赤さんから一気に成長していく演出は良かったと思いますけど。
 ……あー、むしろこの演出のために赤さんである必要があったのか、な?

 勝負の土俵にすら上げてもらえない久美子ですけれど、その根性の入りっぷりに乾杯。
 愛ちゃんと進一もおもしろカップルですけれど、久美子ちゃんにも幸せの片鱗を見せてあげて欲しい今日この頃。
 今の状況は……せつないよねぇ(TДT)。

 できることとできないことを意識して、それでも人の願いを背負うことの重さを知った佐間太郎の成長。
 ほんの少しでしたけれど、その成長が嬉しいですね。


 それにしても……「鉄棒工場」って、すごいセンスだなぁ。
 なんちうか、文字のビジュアル化ってこういうことなのかもしれない……。
 とにかく脱帽ッス。

 

19
 
『あそびにいくヨ! 6 ぎゃくしうのビューティフル・コンタクト』 神野オキナ 著

 主人公が個ではなくて集団なのかなー。
 異文化交流モノとしては分かるんですけれど、それではこの作品って読み手はどこに感情移入すればいいのかなぁ……なんて。
 人間側に視点が定まればそれなりに可能かもしれないのですけれど、この交流はキャーティアが主として生きているような……。

 とにかく騎央の立場が薄いのは、にんともかんとも。

 事件解決に動き出してアントニアを一喝するところなんて、けっこう良かったと思いますけれど、そこへ至るまでの道筋がいきなりなカンジを受けるのですよー。
 騎央が本当に成長しているのか確信が持てないというか……。

 シュレイオーまで持ち出して、いよいよ一見さんお断りなシリーズになってしまったことも残念かもです……。
 

18
 
『届かぬ想いの咲くころに』 萩原麻里 著

 依都香と孝則が恋愛に向き合うようになってきて、そろそろーっと人間関係が面白くなってきたかな〜……と思ったのですけれど、この巻がシリーズ最終章。
 もともと萩原センセにはシリーズ物・連作物としての意識がなかったところへ、編集サイドの意向で続けられてきた感が見受けられましたので、ここでの終了もやむなし、でしょうか。
 先述の通り、キャラが動き始めてきたような気がしていたので、残念です。

 筆者の想定外の理由から執筆をするという状況もあってか、オカルトネタで話を引っ張るにしてはいろいろと準備不足なカンジでした。
 そっち方面のネタ不足をキャラが補ってきて、それがようやく実を結び始めたと思うんですけどねー。

 ……んでも、依都香と孝則以外のキャラに関しては、ちと微妙かも?
 特に話を転がす狂言回しのサブキャラに関しては、輔の他は性格付けが弱いというか、表層的というか。
 祥子にしても単なるアドバイザーではなく、この巻で「依都香の友人」というポジションをようやく獲得できたわけでー。
 そういう愛情と友情のお話がわたしは好きなわけですよ!
 いやさ、物語というのは根本的にそういうものだと思う次第。


 ところで、わたしが困惑に悶絶しそうだった前巻のラスト。
 なんにもなかったみたいです。
 ……あーもー、なにやってんだ、孝則!(笑)
 
17
 
『黒白キューピッド』 中村九郎 著

 筆致がわたしには合いませんでした。

 ライトノベルというジャンルはどう言いつくろうとも「オタク」のニーズに呼応していく市場のはずです。
 そこで「オタク」を揶揄することにどんな意義を見つけているのでしょうか?
 意義がある!と言い切れるなら、それはそれで構わないのですけれど。
 

16
 
『Holy☆Hearts! やさしさ運ぶ、そよかぜです。』 神代明 著

 今回もまた登場人物が入り乱れて……。
 誰か、ちゃんと整理して……。
 コミカライズされれば印象も違うのでしょうけれど。
 挿絵とセットにして覚えるタチなので(T▽T)。

 基底はターニャの恋話なんでしょうけれど、そうしたメインのお話に引きずられることなくお馬鹿で賑やかなお話でした。
 そうそう。こういう雰囲気が好きなんですよーん。

 エクスのお誕生会では、家族の絆が綺麗に描かれてましたね〜。
 定番ネタとはいえ、キュノとエクスのふれあいを見ていると嬉しくなってしまいます。
 ……拗ねるフェリカさんもね(笑)。

 「運動会」って、ちょっと突発過ぎる感があるネタなんですけれど、楽しくなっていたから◎。
 先述の通り、キャラ入り乱れての大騒ぎ。
 先輩、後輩、さらには卒業生と、さまざまな立場の人々が一堂に会するのって長期シリーズならではの醍醐味ですよねー。


 それにしても、キュノの幼児化が進んでいるように感じるのですけれども……気のせい?
 「今度久し振りに一緒にお風呂入ろー」……って、ねぇっ、ちょっと!?
 一方では恋愛に意識を向ける様子もうかがえて……。
 幼児化というより、より純真になっているというべき?

 今回の幸せ描写は、次の展開までのインターバル?
 次巻で思い切り反動をつけられたら……ちょっと、ねぇ?(^_^;)
 

15
 
『護樹騎士団物語 螺旋の騎士よ起て!』 水月郁見 著

 争乱に巻き込まれた主人公が、自分の意志ではなく偶然に近い形で巨大ロボットに乗り込んで、マニュアル片手に危なっかしい操縦をしなかがらも窮地を脱する──って、どこのサンライズのアニメですか!(笑)

 んでもロボット──守護機を起動させてからの展開は迫力あったかと。
 ここがウリのひとつなんですから、それも当然ってところですねー。
 それ以前の身一つでの潜入シーンとかも良かったな〜と思いますけど。

 世界情勢は少し少しずつ披露していくっぽいので、設定の説明過多には感じられなかったところも好感です。
 主人公が子供ということもあって彼の世界自体がそれほど広くないということもあるのでしょうけれど、そこで記す範囲を抑えているところが良いのではないかと。

 キャラの数もそれほど多くないのも好感です。
 でも……ノアンってヒロインなんでしょうか?
 登場の時期も微妙なカンジがしますし、なんというか、その……華が無い?
 ミラボー家の第一息女のほうがヒロインっぽい気がしてしまいますヨー。
 う〜ん……。これからの活躍に期待?
 リジューの正体を知ったときの反応とか楽しみ(^_^;)。

 それでも、もう少し展開させてからこの巻を結んでほしかったと思うのですけれども。
 主人公・リジューが当事者でなくなろうとしているところで結ばれてもー。
 エヴァ19話でシンジくんがカジさんとスイカ畑で話し込んでいるところで終わっているカンジ……っていうか、そのまま?
 あともう少し! もう少し進んでほしかったワケですよ〜。
 「ぼくをエヴァに乗せてください!」って叫ぶまで進んでくれないと、読む側にフラストレーションが溜まってしまうです(苦笑)。
 

14
 
『はかなき夢の覚めぬ間に』 萩原麻里 著

 佑也と付き合うと決めた主人公・依都香なんですけれどー。
 当人は否定してますけど、やぱし、失恋した輔の面影を引きずっているというか代替品として求めているようにしか見えないので、その行動に賛同はできなかった……かなぁ。
 佑也もそれはそれで構わないと言ってはくれているので、当事者同士には問題無いのかもしれませんけれどー。
 ……あ。依都香が否定しているところがキライなのかな?

 佑也に対しても、輔に対しても、誠実じゃない気がするのですよー。
 さらに言えば孝則に対しても。
 もっと、こう、主人公なんですから……。

 ──なんて序盤でイロイロと考えてしまったのですけれども、後半はそれなりに良かったかも。
 依都香のそうした鈍感なところも物語として解消されていきましたし。
 ていうか、ラストどうなったのか気になるんですけど?
 想像におまかせデスカ?
 ……なにかあったのは想像に難くないので、要は「どこまで」進んでしまったのかということですよ! ねぇっ!(笑)
 泣かされた? 泣かされたの?(^_^)
 


13
 
『吉永さん家のガーゴイル 7』 田口仙年堂 著

 梨々ちゃん、大いに悩んで突き抜けるの巻。
 当初は彼女のポジションがわたしのなかでは微妙だったんですよね。
 このシリーズは『吉永さん家』であるはずなのに、どうして他家の彼女がレギュラー級の扱いを受けているのか。
 それでもここまでシリーズを続けていると、そうした思いもなんとなくですけれど解消されていっているわけで。
 表題はそうなっていますけれどシリーズを続けていく中で、描かれている世界が広がっているんですよね。
 吉永さん家がある「御色町」の物語となってきている……のかな?

 で、本編。
 双葉ちゃんとの友情とか、百式に対する憧れとか、梨々ちゃんの葛藤がすべて愛らしくってもうっ。
 ヒネた言い回しとか凝った表現とか全く無しに素直に描かれるものですから、わたしのハートに直球勝負で涙腺ゆるみがちですよ。

『梨々よ、分かっているのか。その服は我の敵の服だ』
 ガーゴイルの目が光る
「……うん」
『それでも汝は、己の信じた道を行くのか』
「──さっきの双葉ちゃんを見てて、思ったの。やっぱりガーゴイルさんの影響を受けてるんだなぁって。双葉ちゃんは、誰かを守ることには躊躇しないもんね」
 最後にカバンから取り出したシルクハット。
 デュラハンが守ってくれた、大切な帽子。
 それを目深にかぶる梨々は、もうガーゴイルに追われていた時のような子供ではなかった。

「だから私は──誰かのために盗む。あの人から、燭台を盗んでみせる」
 

 やっぱり作品というモノはキャラが動いてナンボだと思う次第。
 そういう点からも、この巻は素敵すぎます。
 梨々ちゃんが悩んで、悩んで、そしてたどり着いた結論をもとに動き出す展開などは、盛り上げ方としてすごく正当だと思うのです。
 そして彼女を主人公とすると、周囲でサポートするキャラの布陣がこれまた見事で……。
 デュラハンは機械という素性も相まって、その行動に心動かされました(T▽T)。
 あんた、ほんまもんのナイトやわ〜。
 デュラハンと百式の関係もまた熱くさせてくれますよね〜。
 拳で分からせるあたり、王道すぎるですよ(笑)。
 もちろん双葉ちゃんとガーくんもね!(≧▽≦)

 戦う場面での立ち回りとかも緊迫感と疾走感を併せ持ってて描かれていると思います。
 地の文で脚色過多にすれば良いってもんじゃないぞ!……って、大きな声で言いたくなっちゃうくらいに好き好き〜。


 あ。
 わたし的には「白式」は「びゃくしき」ではなく「はくしき」と読んだほうが良いかな〜とか思ったりして(^_^;)。
 百にはまだ足りない白……って、単純ですけれど彼女にふさわしい名前ですよね。
 まだこれから何者にも染まるであろう色って意味もあるでしょうけれど。

 


12
 
『夏祭りに妖狐は踊れ』 飛田甲 著

 続編だったんですかー。気が付かなかったですよー。
 絵師のかたが変わられていたから……かも。
 謎古さんが描かれる優希が、どうしても間桐桜に見えてしまうんですけれどー(笑)。

 物語としては、細かなトコロを前作から引っ張ってきているので、読み進むのにチト辛かったり。
 また二組四名のキャラクターを中心に描かれて、場面が頻繁に切り替わるのもちょっと……。
 せめて場面転換には一行開けるだけでなく、なにかマークでも配しておいてくれれば良かったかなぁ……。
 260〜261ページではダマサレました(苦笑)。

 時間講釈に関しての数学的分析が正しいのかどうかは分かりません。
 そいういう見地からの読み解きは苦手なので……。
 んでも終盤、謎を解くという段階ではちゃんとドキドキできました。
 やっぱりキャラが動いて事件解決してナンボでしょー……という好例かなー。
 オトコノコとオンナノコの物語としても、心憎い演出と展開ですしー。
 惜しむらくは、そうした男女の機微を、もっと本編で活かしてくれたらなぁ……というところでしょうか。

 ……といっても、冒頭の帰り道シーンだけで、ニヤニヤしてしまうわたしなんですけれどもっ!(笑)

 
11
 
『ましろき花の散る朝に』 萩原麻里 著

 萩原センセのデビュー作ということですけれど──。
 現在の作風に比べると、荒削りってカンジがするのも仕方がない……?

 良い性格を演じて学院のマドンナとして慕われる主人公の裏表を活かさないのかなぁ。
 それこそ『カレカノ』みたいに。

 

10
 
『猫子爵冒険譚 血文字GJ』 赤城毅 著

 前向きな女の子と、それに引っ張られる男の子。
 赤城センセらしい配置ですよね〜。
 猫子爵こと洋一郎は「男の子」という年齢ではないかもしれませんけど。
 もっともそういう年齢ではないからこそウルリーケを攫われたことに対して、正直に自分の気持ちを吐露することができるんでしょうね。
 本人には言わないみたですけど、そこがイイんですよねっ!

「駄目だな。お前は、許すべからざる大罪を犯した」

 あの宣言にはニヤけてしまいましたですよ。
 そんな場面じゃないんですけどねー(笑)。

 

9
 
『はにかみトライアングル』 五十嵐雄策 著

 思いこみ……というか、独特の表現・言い回しで書き表すところは前作から変わらじ……。
 文章のリズムではわたしに合っているのですけれど、比喩とかそういう修辞が引っかかってきます。
 カブトムシみたいに単純で、カナブンのように後先考えていない幼稚な選択かもしれない。──って表現、わたしには何のことだか分かりませんでした。
 それとも、こういう言い回しがCOOL? もしかして時代に取り残されているのはわたしの方?
 朝っぱらから死にかけたグールみたいな顔してるわねー。──って、どうしてグール? ゾンビじゃいけないの? 死にかけた? えっ?

 「●●みたいな××」って表現、好きなのかなぁ。かなり多いですけど。

 表題を作中で用いるのは、読んでいて気恥ずかしさを感じてしまいましたです。
 さっきのいがみ合いから一転、弘司を見つめて三者三様にはにかんでいる三人。……今度は、はにかみトライアングル?──とかですねっ(^_^;)。


 最初の挿絵、女の子の下着を見せる必要は無いと思うんですけれど──。
 なんか媚びている感じがスルー。


 ……いろいろと細かいところが気になっちゃうほうがイケナイんでしょうか。
 ギャルゲ的な賑やかさは嫌いじゃないですけどねー。

 

8
 
『朱い、夜の鳥籠。 蛇々哩姫』 萩原麻里 著

 展開、早い〜。
 凪とカイの仲?が、こんなにも急速に進んでいくとわ。
 別に決定的な何かがあったわけではないんですけど、もう少し反目し合っていくのかと思っていただけに、ちょっとびっくり。
 まぁ、総一郎さんの言葉から思うに、この二人の仲が良い意味で展開していくことは易くないんでしょうね……。
 あぁ、傷害があったほうが燃えるですか。そーですね。

 でも、そうなるとエリッシュが……。
 彼女には彼女を大切に想ってくれる人が現れたッポイから大丈夫……かな?
 GOGO、アンティ!(笑)


 1巻をわりと引きずっていたのは、ちと意外。
 左記子、好きだったので、これは……良かった、かな。
 凪の心の変遷についても相まって、効果的な描写だったとと思いますしー。

 生きる場所を変えた凪が、これから何を考えていくのか楽しみー。
 もちろん、カイとの仲もね(笑)。


 bk1にまだ書影が無かったのでリンクはお休み。
 見つけたら貼っておきまーす。

 

7
 
『シリアスレイジ』 白川敏行 著

 プロローグって設定を披露する場ではないですし、それを過ぎての本編が「あー、やっと春学期が終わったか」なんて主人公の脱力系の台詞で始まるのはちょっと無いと思うんですけれど……。
 いまどき……。
 もっと、こう、これからなにが始まるんだろう!?みたいな、ドキドキする展開はなかったのでしょうか。
 感染対象が変質するウィルスというなら、その変質する状況を描写するとか……。

 そんな入りの印象の悪さから、一時は読む手を離してしまったんですけれどー。
 物語が動き出してからは、そう悪くない……と思うんです。
 設定が滔々と説明されていく点や、もったいぶった比喩などには、ちょーっと辟易しちゃいますけど。
 アクションとかですね。悪くないような。

 でも、やぱし物語として考えると、ちょっと……かなぁ。
 とりあえず、物語を展開させていくために必要な情報量が多すぎ。
 作者である白川センセは理解・記憶できているのでしょうけれども、読み手にも同じ理解力を求められるのは酷デス。
 幼なじみと同性の友人との間で繰り広げる学園内での描写って必要なのかなぁ……とか。
 主人公を巡る女の子二人の対立項は、白川センセの考えではないような気が。
 エピローグを含めて、編集サイドの意向のようなモノを感じます。
 ヒロイン・栞の主人公へ対する思慕が、突然すぎるというか……。
 わたし的には好きなんですけど……。

 恐らく続刊はあるのでしょうし、そこで見極められる……かな?

 ぶっちゃけ、伊達将臣センセと高瀬彼方センセと葉山透センセを思い出してしまったんですよー。
 『COOLDOWN』と『DADDY FACE』と『ディバイデッド・フロント』と『9S』。
 そういう意味でもわたしにとっては新鮮味はなく……。
 どこかで見たような……という辺りが、最近は設定の奇抜さを重視していると思える電撃小説大賞では奨励賞止まりになってしまうのではないかと思ってしまうのです。

 


6
 
星宿姫伝 しろがねの誓約』 菅沼理恵 著

 なに、この「ネオロマンス」っぽい展開わっ!
 好きだからいいですけどもっ!(笑)

 物語が簡単に進みすぎるかなとも思うのですが、どうなんでしょ?
 白雪が蘇芳たちとあっさり行動を共にしていくくだりとか……。
 彼女がそういう気質のキャラだと思えばOK……なのかな?
 蘇芳も紳士的に接してましたしー。

 王都についてからの流れは満足満足。
 ここまで白雪のキャラは十分立っていましたし、そこへきてあの夜のシーンですよ!
 蘇芳の言葉──

「君が悲しんでいることに気づかなかった俺が謝るべきだろう」

 ──は、もう、ウキャー!(≧▽≦)てなもんですよ、はい。
 白雪、ぞっこんLOVE! そして蘇芳、一歩リード!(なにがよ)


 千白との出会いのあと、この世に生まれたときのことを思い返すシーンですけれども……。
 あの演出には、ちょっと身体が震えました。
 かすかに恐怖をおぼえてしまったというか──。
 今後の白雪の運命を暗示するには、効果的だったなー、と。

 そして最後の展開──正直、意表をつかれました。
 ふむふむ、なるほどー。
 敵さん方にもいろいろと事情がありそうですし、彼らの言葉を借りれば白雪たちの国の側にも非がないとは言い切れませんしー。
 このあたり、どう解決していくのか楽しみー。
 もちろん、白雪を巡る人間関係もねっ!(≧▽≦b

 瀬田ヒナコせんせのイラストも、カッコイイわカワイイわで。
 好みの絵柄でございますー。
 あー、続刊が楽しみ楽しみ♪

 


5
 
『涼宮ハルヒの動揺』 谷川流 著

 短編集……とのことですけれども。
 推理ミステリーは、もう回避したほうが良いのではないかと思ってしまったり。
 緊迫感のかけらもなく、ただただハルヒを楽しませるだけのイベントって、読み手を置いてけぼりじゃありません?
 キョンが読み手の代行者となって体験してくれるならともかく、彼自身「ヤラセ」だと感じてしまっているのでは、ちとツライものが……。

 そのほかの細々とした短編は、これまでの本編からパッチワークのように集めてきて補完したものなので、本編好きには面白かったです。
 でも文化祭の話なんて、その本編の中で昇華させておくべきものなのではないかなぁ……と思うのは今でも同じく。
 わざわざ短編のためにネタを残すようなことしないでも……。


 それにしても、ここでも時間跳躍ネタが……。
 最近の流行なんでしょうか?
 ぶっちゃけてしまうと『ハルヒ』での時間跳躍……というか、設定面でのロジックなんて精緻に作られているとは思ってません。
 もう、それはネタとしてしか。
 んでも、この作品は設定を読ませる作品ではないと思っているので、ロジックがグデグデでもわたしはOK!

 ……いつかは終わりが訪れると分かっていながらも、今は「その時」ではないから、それだったら思いっきり祭を楽しんじゃいましょう!……ってお話だと思うワケです。はい。
 んでも、筆致に関しては、今回はちょっと引っかかってしまったり……。
 例え方が妙に凝った言い回しになっていたような気がするのはわたしだけ?
 バカになったんじゃろか、わたしが……??


 ちなみにー。
 とらのあなでの購入特典のしおりは、朝倉涼子ちゃんでした……。
 よりにもよって彼女……(TДT)。

 


4
 
『憐 Ren 錆びゆくココロと月色のナミダ』 水口敬文 著

 やっぱ好きだわー、水口センセの筆致。
 主人公・憐の葛藤がですね、迫ってくるようなカンジを受けるのです、わたしには。
 設定よりも個人の感情を描くことに、より多くの行数を割いてくださっているようにカンジるのも好感なのです。

 物語を転がしていく設定、この世界の根幹を成している部分はですね、SF講釈を重視するかたなどには物足りなく感じるかもしれませんけれどー。
 設定より雰囲気を重視する人向きなのかもしれません。
 個々人の感情をもとに物語は展開されていくので。

 今作は構成も好みでしたー。
 大まかに言えば前半と後半できちんと物語の筋が分かれていても、それは大きな流れの中では破綻することなくつながっているという。
 ちゃんと展開に起伏があって飽きさせないところとか。
 学園モノであったことも、今回は好感ポイントでしょうか。
 仲間同士で一緒になって目的を目指すって、いいですよねー。

 憐が玲人のことを意識する素振りを見せるようになっている点もいいですよねー。
 よしよし(笑)。
 このままツンデレ……にはならないか。
 玲人は下僕といったほうが近いですし(笑)。
 もう少し玲人が、そっち方面で熱くなってくれると、なおよろし。
 現状は子ども……というより、恋愛方面では妙に冷静に対処しているような気がするのデスヨ。
 まぁ、その結果、わたわたする憐がカワイイからいいのですけれどもっ!

 シギサワカヤさんのイラストも、雰囲気に合ってますよねー。
 口絵カラーもこなれたカンジで面白い仕上がりですし。
 ……「九月病」終わっちゃったら、次は何を始めるんでしょ?
 楽しみ〜♪

 

3
 
『ランブルフィッシュ9 大会開幕奇襲編』 三雲岳斗 著

 やーっと大会が始まってくれましたかっ。
 とはいってもサバイブって、なんか地味というか淡泊というか……。
 戦略面が重視される競技のせいか、個々のRFの戦術について行数を割いてられないみたいで……。
 さらにいえば、ライダーたちの心情面などに至っては、もう後回し後回し。

 チーム制というなら、もっと人数が多くても良かったんじゃないかなぁ……とか思ってしまったり。
 いやさ、今でも多いことは多いんですけどっ。
 4機もRFがいたら、管制室はサポートする人員であふれているハズですしー。
 今回も稲杜先輩とか森澤先輩とか……。
 でも、居るからといって物語に影響しているかとえば、正直微妙なカンジがします。
 そこに居るだけ……って気が。
 数だけの多さではなく、チームとして機能している多さ──賑やかさと言い換えても良いかもしれませんが、そうした描写が増えてくれたらなぁ……と思います。

 SRが始まるまでの展開は、ようやくここまで辿り着けたという感慨深いものを感じたのですけれども。
 ぷちオールスターキャストみたいなー。


 RFの戦い方とか背後関係の思惑とか、そのものズバリの説明や描写は割とどうでもよくて、そうした設定や大仕掛けの周囲で動く人々の言動のほうがわたしは好きです。
 瞳子ちゃんなどが、その一例。
 設定に深く根ざしているキャリィなどより、瞳子ちゃんのほうが感情移入できるワケでー。

 既存の舞台でもまだまだ遊んでいけそうなところ(というか、わたしはそちらの展開を望んでいました)、次々に新設定を投入して広がっていく世界に、わたしがついていけないダケなのかもしれません。

 

2
 
『マリア様がみてる 妹オーディション』 今野緒雪 著

 サブタイ発表直後から「妹オークション」だと大勢の方々を勘違いさせたと噂の『マリみて』新作(笑)。
 えーっと、えーっと……。
 これはこれでオチがついているのですけれど……。
 というか、むしろ「そうきたか!」と、わたしなどは手を叩いちゃうくらいなんですけれど……。
 なんでしょう、このモヤモヤ感は。

 ……やぱし、可南子さんの件かなぁ。
 恋愛ゲームでフラグ消滅の際に語られるエピソードを見せられた気分……。
 可南子さん、攻略失敗ーッ!みたいな。
 ハァ……。
 どの選択肢で間違えて、瞳子ちゃんシナリオに入っちゃったのかなぁ……。
 ……やりなおしたい(TДT)。

 ストーリーから退場させるなら、もっとスッキリ退場させて欲しいかなー、なんて。
 祐巳さんと可南子さんの軸で見ていたトコロに、他の人員を絡ませて関係を解消させるようなことは止めて欲しかったといいましょうかー。
 可南子さん自身が祐巳さんを諦めるというような。
 つまりはもともと「祐巳さん−可南子さん」という軸は存在してなかったんですよ?と言われてしまったわけで。
 勝手に夢見たほうが悪いんですけれどもっ!(苦笑)
 本文中でも幻想・幻想、言い過ぎーっ!
 ごめんなさいねーっだ!!
 ……しょんぼり(TДT)。

 こうなったら、乃梨子ちゃんも敵だーっ!(T△T)
 黄薔薇のつぼみの妹候補? そんなん、どうでもいいよーっだ!(ヒドイ)
 ……ああ、でも菜々ちゃんのキャラは面白そうですねぇ。
 令さまとは違った方向で、由乃さんのヒステリーをなだめていきそうです。
 のんびりとした気質の中に、タフネスさを併せ持っているような。

 「妹」関係以外では、キャラが入り乱れて登場して賑やかで面白かったです。
 こうした群像劇のようなものを今野センセは本来はやりたかったのかなぁ……とか思ったり。
 先代が卒業するまでは本編までの長い長い導入部であって、キャラクターを揃えるのに苦心されていたわけですし。
 んでも、今回もまたその先代さまたちが現役を存在感で喰っちゃっているワケですけれども!(笑)
 もう、江利子さまが活き活きしてるったらないですねっ!


 次、降誕祭あたりで決着つけてしまってもよろしんじゃありませんこと?

 

『 総理大臣のえる! 愛の支配者』 あすか正太 著

 サラの話を持ち出されたらヤヴァイですってば!
 あの9.11は、いろいろな人の心に傷を負わせたのだと感じます。
 このシリーズ、かなり無茶なことをして現実離れした感があるのですけれども、あの事件にまつわる話だけは別ですね。
 わたしも、そしてこの物語の中の人も、同じ感覚でいるのだなぁ……と。
 共感というより、共有? 抜けない棘のような記憶を。


 んで、本編なんですけれどー。
 ……これって、シャイニィのときと同じパターンなのでは?
 例の「負けるために登場した当て馬2軍補欠サブヒロインタイプ」というアレの展開……。
 それでもって理屈で動く分だけ、シャイニィより恋愛ヒエラルキーで下位に属してしまっているような……。
 正直なところ、このお話、シャイニィではダメだったのか?……と思うわけで。
 まぁ、シャイニィはもう半ば降りちゃっている感がありますしねぇ……。
 分からないでもないですけれど、うーん……。
 ノアがノアでいなければならない理由が、いまひとつ……。
 今回、ある一つの決着がついてしまったという点も、存在意義を見失わせているような。

 そういう意味では、ほのかちゃんが可哀想すぎます。
 彼女、勝負すらさせてもらってませんもんねぇ……。
 もはや忍ちゃんと同格ですよ、恋愛ヒエラルキー的には。
 彼女ではのえるのライバルになり得ないというところが、次々にサブヒロインを生んでいるのかもしれません。

 ……というか、ほのかちゃんと健太では物語が動き出さないと言ったほうが適切?(苦笑)


 それでも行動力に物言わせて、悪漢を追いつめていく様は痛快ですねー。
 何が良いとか悪いとかは関係なく、信じることのために自分は行動する。
 この作品のそんな真っ正直さが、わたしは好きなんです。

 
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