○● 読書感想記 ●○
2004年 【8】

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20
『涼宮ハルヒの消失』 谷川流 著

 この『ハルヒ』という作品は、最終的には「なんでもなかったこと」にできる世界であるために、今回のキョンの戸惑いと焦燥感はわかるなぁ……。
 愉しいと感じていたことが、無に帰すことへの恐れ……というか?
 ん? というか、それほど難しいことではなくて、単に信じていたものを失う恐怖なのかな? 喪失感みたいな。

 別の言い方をすれば、今回のキョンの心情に同調するにはこの作品を楽しんでいるということが前提条件であるのだと思います。
 また、楽しむためにはキョンの心情に共感することが大切なのだと思います。
 この作品だけをもって評価や感想を述べることは可能なのはもちろんなのだけれど、それだけでしかない見方は正当ではあるのかもしれないけれど本質には届いてないような。

 もともと『ハルヒ』シリーズに懐疑的で愉しく思ってないという人にすれば、今回のキョンの行動も一人芝居と映っているんじゃないかという恐れが(^_^;)。
 究極的に言えば「あいかわらず意味不明だった」になってしまうかもしれないなぁ……と。

 長門ちゃんの萌え仕草はこのさい別にして(笑)、今作でのキョンの行動に同意できるか否かで、その人が『ハルヒ』を許しているかどうかが判別されるのではないでしょうか?

 『溜息』や『退屈』でのキョンは、周囲に踊らされている、付き合わされている感が強かったのですけれど、今作では『憂鬱』以来に自らが動いているところが好感。
 主人公が自分の気持ちをはからずも認めて、そして目標に向かってがんばるというのは、あるいみ真っ当なジュブナイルだと思うんですけどー?
 どうですか?

 もちろん、この物語を構築する上で欠かせないタイムトラベル関係や、ハルヒの意志に世って導かれる世界の理論とか、そういうガジェットの説明に納得いかないかたもいるんじゃないかと思うのですけど、敢えて言うなら、そこの正確無比さが物語を作るのではないと言いたく。


 そんな次第で、結局わたしは『ハルヒ』が好きなんです。

 ……にしても、表紙が朝倉さんっていうのは解せないですねぇ(苦笑)。
 今回こそ長門ちゃんでしょうに。
 まぁ、この方式では仕方がないのでしょうけれども。
 というか、次は新キャラでも登場しない限り、キョンの妹とかなったりしませんか!?
 あ、鶴屋さんがいたか。でも、この二人くらいしか……。
 こう、御期待!?


19
『本格推理委員会』 日向まさみち 著

 名前で損する……ような気がします。
 わたし的には良い意味で「ミステリ風味ではあるけれど、本格ではない」と思うので。
 いわゆる本格推理小説をイメージされてしまうと、いろいろと誤解を与えそう。

 とーにーかーくっ!
 一人の少年を中心とした青春群像劇として格別なんです、この作品わ!
 謎解きの部分は、少年の心情を形成して描くための一つの要素でしかないと思います。
 面白いのは謎解きではなく、キャラの言動、そして掛け合い。
 ここだと思います。
 委員会のみんなだけじゃなくて、虎スケとか響サンとか、脇役の言動にも惚れたッス〜。
 必要なときに、必要な言葉をかける。
 そうした距離感が心憎いッ!(≧▽≦)
 菜摘先輩も怒るときは怒るけど、見捨てることはしないし〜。
 椎ちゃんも、委員長も。
 もちろんミアも、そして修も!

 このメンバーで、ぜひとも続編を書いて欲しいですね〜。


 でも、謎解き部分も決して緩んだモノではなく――。
 ああ、わたしって「 叙述トリック  」が好きなんだなぁ……と思わされました。
 小説が文字を使ったメディアである限り、最大のトリックはこれに尽きるとわたしは思います。
 もちろん、このトリック以外も用いられているわけですが。


 今年読んだミステリ風味のライトノベルでは、現時点、一番好きかもです。

18
『マリア様がみてる プレミアムブック』 今野緒雪 ひびき玲音 with 山百合会

 アニみてはあまり見てないので、カラーページはそれほど……。
 ふーん……というカンジで眺めてました。
 声優さんのコーナーが面白かったかな〜。
 生天目さ〜ん。印象に残ったシーンは、せめて江利子さまが登場しているシーンを選びましょうよ……。いくら印象が薄いお人とは言っても(苦笑)。
 やはり『いとしき歳月』まで進まないとダメか!

 そんな江利子さま、書き下ろしの『Answer』でもやっぱり登場シーンは少なかったり(笑)。
 でも、お姉さまと一緒に令ちゃんを見に行っているというくだりは好きー。
 プチ・スールの江利子さま像というのは新鮮ですよ! いやホントに!
 で、黄薔薇姉妹ですから、江利子さまのお姉さまも令ちゃんを見て楽しくなっちゃっているんですよ、きっと(^_^)。

17
『お兄ちゃん』 おおつやすたか 著

 ライトで萌えな『NHKにようこそ!』……?
 どちらにしても、引きこもりの男性を社会復帰させるには女の子の力が必要ということなんでしょうか。
 いや、それは効果テキメンかもしれませんがっ!(苦笑)

 ほのかちゃん、カワイイですね〜。
 というか、桂お姉ちゃん、漢気ありすぎでは?(笑)
 作品タイトルは「お兄ちゃん」なんですけど、主人公は「お姉ちゃん」ですよねー。
 こんなお兄ちゃんとお姉ちゃんがいれば、ほのかちゃんは立派に育っていくんでしょうね。
 ……お姉ちゃんによるほのかちゃんへの講義(?)が、教育テレビみたいで面白かったです(^_^)。

16
『ナインインチネイル』 くげよしゆき 著

 あー……。
 いろいろと言いたいことあっても、わたしはこの作品が好きかもです。
 設定どうのより、とにかく主人公が体を張って頑張っているところが好感なのです。
 これだけボロボロになる主人公も珍しいかも……。
 その体を張る理由も――
「俺を、好きだと言ってくれた人のため」
 ――だというのもまた好感。
 更には報われそうもない恋を現在進行形で経験しているところも好感(笑)。

 とにかく少年の若さが溢れているところが良いなぁというポイントでしょうか。

 もし続きがあるなら、お父さんと3人のお母さんのなれそめとか、みんなで暮らしていたときの話とか読みたいです。
 あと、できればメルローズの復活を。
 このまま引き下がるのは、女がすたるってもんじゃありませんか?
 負けることを知った女は恐いモノ知らずになってトラビスへアプローチ……みたいな。


15
『ゼロヨンイチロク』 清水マリコ 著

 うーん。これまでの2作、「嘘シリーズ」より好きかもです。
 それは都市伝説めいたことが物語の中で大きな比重を占めてきているからかもしれません。

 物語の入り、キャラクターの造形についてはちょーっと強引というか説明不足のような気もしないでもないんですけど、ここで全てを説明する必要もないのかなぁ……と納得。
 言葉で説明するより、行動することでキャラクターの心情背景なんかは充分に描かれていきますし。

 キャラクターの事が分かるにつれて、みんなが住む街の様子についても伝わってくる流れの良さが心地よいですねー。
 街の雰囲気、空気みたいなものがつてもよく伝わってくるというか。
 それはとても綺麗なものではなくて、むしろ混沌としているカンジ。
 でも、だからこそ本物らしさがあるんですよね。

 そして今回もtoi8さんが良い仕事をしているのでした。
 というか、今回はホラー入ってますよね。
 バスの中の様子を描いたところと、ラストのトオのアップ。
 すごく恐かった……。

 不思議、ミステリーがたくさんつまったこの作品。
 続きを楽しみにしています。

14
『新はっぴぃセブン〜Vol.7 リセットできない夏だから〜』 川崎ヒロユキ 著

 あ、あれれ……?
 新キャラであるサヤンより、性格チェンジしてしまったたもんちゃんのほうが印象深かったりするんですけど……??
 たもんちゃんは菊之介とキスしちゃったとか、くりやちゃんよりずっと正ヒロインの座に近いような気がします。
 まひるさんは……元の性格のほうが好きです……(T△T)。

 黒闇天にいいように操られちゃったせいか、サヤンの印象はあまり良くないかなぁ。
 プロポーズの勘違いにしても、ちょっとアッサリ引きすぎに思えますし。
 それでも福娘のみんなとの対比にはなっていたかなぁ……という感想。
 サヤンは自分の気持ちを伝えることで時間を前に進めることができたのに対して、告白できないことで時間を止めてしまっている福娘たち……という対比ですけど。
 これ、どっちが倖せか不倖せかなんて単純には言えませんよね。
 菊之介もそれを分かっているから、あえて答えを出そうとはしないわけですし。
 モテモテであっても優柔不断じゃない、鈍感であっても気遣いがないわけじゃない、そんな菊之介だからこそ嫌いになれないのかも。
 誰がって、読んでるわたしがですけども。

13
『Bad!Daddy! やっぱり!とっても!パパが好き!』 野村美月 著

 今作の中盤から終盤に語られている設定の類を、どうして既刊の中で活かしてこないというか披露してこなかったのかなぁ……と、激しく残念。
 シリーズ最終巻でダァーッと語られても、はいそうですか、と受け止めるほかないんですけども……。


 煉瓦サンの巻末コメント。
 タイトルを間違えているのはイタタタタ……というカンジが(苦笑)。


12
『晴れた空から突然に…』 田中芳樹 著

 うーわー。面白かったわー。
 14年前に書かれた本とは思えないくらいに、現実性を保っているというか。
 それだけの時間の流れに、物語の面白さが全く色褪せていないのはスゴイなぁ。

 ガジェットが飛行船というだけで、つまるところは限定された閉鎖空間で起こる人間劇であることには変わりないんですよね。
 空の上という日常から切り離された場所、非日常の中で起こる物語というか。

 そして敵味方を問わずして、キャラクターたちの生き生きとした描写がまた。
 どのキャラクターも主義主張が明確なので分かりやすいことこの上なし。
 ヒロインの日記の行動原理も、そうかなそうかなぁ〜……と思いつつもなかなか明示されなくて、ようやく最後になってお母さんの言葉を通して証明される展開も心憎し。
 秘めたる想いはカワイイですね〜!(≧▽≦)
 時代は妹から姪っ子に変わってきているのでしょうかっ!?

 アクション・アドベンチャーとしても、日々過ごすことで鍛えられた素の肉体と、状況を冷静に判断して生き残るための最善を探る知恵の2つで窮地をくぐり抜けていく様が痛快です。
 あからさまな武器である銃火器に頼ることなく、その場で武器を都合してしまう機転なんかもう!
 もっとも「戦士」としては、「大きい兄ちゃん」こと考古学者の俊介よりも、姪っ子の日記のほうが優れているわけですけど。
 子どもの行動力はあなどれません(苦笑)。
 いやはやそれでもこの二人は名コンビですね〜。

 しかし「大きい兄ちゃん」って……(^_^;)。


11
『灼眼のシャナZ』 高橋弥七郎 著

 正直なところ、この作品で描かれている世界観は、よく分からないのです。
 設定としての「現実ではあり得ないこと」を示すウソが、うまく伝わってこないというか。
 でも、背景を知らなくてもこの作品は面白いと言えるのは、やっぱりキャラクターの言動に何かしらの感動があるからなのかなぁ……と思う次第。
 今回……というか、ここ最近の吉田一美ちゃんの頑張り度は心揺さぶられますねっ!
 ボクシングのラウンド判定で言うなら、このラウンド10対9で一美ちゃんが取ったでしょう!
 シャナは、なんていうかやっぱり余裕を見せすぎな気がします。
 いや、当人はそんなことなくて、もっと不安に思っているんでしょうけれども。
 それでも「何も知らないから不安」であった一美ちゃんと、「全てを知っているから不安」であったシャナでは、立場も違えば、悠二くんと向き合う、あるいは向き合うという行為そのものの難易度が違っていたと思うんです。

 というわけで、ガンバレ一美ちゃん!……と応援したいのはヤマヤマなんですけれども、シャナと悠二って、鉄板のカップルくさいので、もうどうにもこうにも。
 それでも戦い続けていれば、何かが起こるかもです!(苦笑)
 ラストの宣戦布告。
 これからの二人を思うと、すごく展開が楽しみです。
 ここまで明確にライバル宣言したラノベって、あまり見たこと無い気がします。
 少女マンガの展開ですよねぇ(笑)。

 ともあれ、池くんに流されてしまうようなことがなくて良かったです。
 池くんには、ほんっとーに申し訳ないんですけどもっ。


 一美ちゃんの事以外でも、今作は面白かったかな〜。
 マージョリーが、いいお姉さんになってきてたりとか(笑)。


 それにしても、オビのコピー「渾身の学園ストーリー!」はないと思うんですけど。
 学園とは全然方向違うとこで物語進んでますけど〜?

10
『Mr.サイレント5 愛情世界の聖なる希望』 早見裕司 著

 シリーズ最終巻! でも、あの終わり方は納得いかーんっ!
 もっとイチャイチャして終わるべきだと思う!(笑)

 このシリーズ、事件も恋もシリーズが進んでいくごとに限定条件の成立が出来てないような気がしていって、恣意的なのか作為的なのか、とかく起きた事象についての説得力が薄くなってしまったような。
 恋の部分は筆者の思い入れがあるでしょうから、どれだけ恣意的でも作為的でもかまわないと思います。
 都合良くラブっていればいい、と。
 でも、事件でそうしたことをやられると、こちらが読み解く楽しみを蔑ろにしているのではないかと、ちと不満が。

 最後の事件に関しても、あの解決法を用いたときにどうして犯人があのように行動するのか理解できないというか……。
 理詰めの推理小説が好きだと作中のキャラに言わせているにも関わらず、本編で用いられる解決法は理詰めでは無いのは、どうにもバランスに欠くような。

 トリックのミステリを楽しむよりは、真理香を中心(え?)にしたキャラ同士の交流を楽しむ物語だったと思います。


『フィリシエラと、わたしと、終わりゆく世界に1 ゆき、ふりつむ』 今田隆文 著

 これが今田センセが描きたかった物語なのでしょうか?
 本編よりも、今回もあとがきのほうで色々と考えさせられてしまいました。



『三月、七日』 森橋ビンゴ 著

 ラストの展開、賛否両論あるのかな、もしかして。
 どちらかといえば、わたしは「否」のほうです。
 でも、それも森橋センセの選択であると納得。
 少なくとも、そこまでの展開に「否」はないので。

 あまり世界の広がりをカンジさせる物語ではないですけど(というか、むしろ閉塞感が漂う)、キャラの配置には不足がありませんし、また起こった事象について全てが説明付いているわけではないですけど、それを説明することは野暮だと思えるくらいにスッキリした筆致かと。
 なんというか、この作品はこのようになるべくしてなった――そんな気がします。


 でもやっぱり三月の選択……というか覚悟は、よわよわなのではないかと思ってしまうんですよね〜。
 好き!って、それでどうにかなるものなのか!?とか。
 それでもこのように三月が思ってしまうのも分からないではないんですけど。
 七日があまりにも潔すぎるので、もうね……。
 あのように変わられちゃったら、もうキツイかなぁ……と(^_^;)。


『めぞんdeぎゃらくしぃ ノアの秘密のお買い物』 夢幻 著

 ノアを好きだと自分でわかっているにも関わらず、それを成就させるためには何をしなければならないのかを理解してない、その無知さ加減が嫌。
 ノアを選ぶなら別の何かを失うとき、どちらにもいい顔をしようとする祐介の態度が腹立つというか……。
 優先順位がついているようでありながら、じつは覚悟不足でその順位が有名無実化してるんですよね。

 ……まぁ、似たようなことがノアのほうにも言えるんですけどー。


『悪魔のミカタ13 It/MLN』 うえお久光 著

 ≪It≫編、さらには1学期編の完結だそーですけども。
 どうにも終わった感が無いんですけども、わたしは。
 ≪It≫編が完結というのはわかるのですけど、じゃあ1学期編って?という印象。
 そもそも1学期という期間を通しての『悪魔のミカタ』って何があったのか、それが曖昧すぎる気がするのです。
 13冊ものシリーズ。
 その1冊1冊を抜き出してみれば、はたして良作に違いないとわたしも思うのですけれど、ではシリーズとして何があったのか、何が変わったのかを問うと、答えが見つからないのです。

 結局、この13巻まで辿り着いても、コウもイハナもサクラも、誰も変わってないという印象。
 これって誰の物語だったのかなぁ……。

 そうした不満足は、シリーズがこれだけ続いても世界がなんたるかをほとんど示していないことに起因しているのだと思うのです。


 筆致とか好きなのはたしかなのですけど、ちょっと物語の高尚さについていけないカンジがしているのかもです……。


『ルーン・ブレイダー!』 神野淳一 著

 待ちに待った新刊なんですけれども――。
 どうしてこれだけのボリュームある作品を、1巻という文章量で出さなければならなかったのか、それが恨めしいです。
 とてもじゃないですけど、1冊で収められる、読み手に理解させる設定量を超えていると思います。

 物語自体のほうも、詰め込みすぎというカンジが……。
 少なくともグローブとクロムウェルの話は、別個に描くべきではなかったかと。
 なにもこの1冊で同じく収める必要は感じないんですけどー。
 特にクロムウェル。

 後半、クロムウェルの話をしなければならないという必要からか、前半、グローブとヒロインであるアンの心の交流が急ぎすぎてますし。
 ここ、もっと掘り下げるトコでしょ!とか、読んでいて思っちゃいました。


 大人の事情なのかなぁ……(TдT)。


『封神機伝マカリゼイン』 神野オキナ 著

 神野センセが御自身で意識しているほどには、ロボット物にはなってないような……。
 そしてキャラ造形と展開……というか、キャラ同士の関わり方が『シュレイオー』を想起してしまうんですけどもー。
 この作品が『シュレイオー』でなくで『マカリゼイン』であるべき理由は、少なくとも神野オキナ作品としては見つけることができないかもです。

 超演繹能力を描くには『シュレイオー』では不都合だった……というのは分からないでもないですけど、そのためにこの作品があるのでしたらとても残念に思います。


『ゼロの使い魔』 ヤマグチノボル 著

 非常に古典的というか、セオリー通りの構成で、読んでいるときは妙な安心感がありました。
 ただ後半の勢いに比べると、序盤、入りの部分では何か緩慢としている気が。
 説明することが少なくないとは分かるのですけど、もっと、こう、ジェットコースター的に勢いつけて進ませても良かったんじゃないかなぁ……と思う次第。

 主人公に危機感が無いのは良いのか悪いのか微妙かとも思いますけど、そんな問題よりは、「主人と使い魔」の間柄に「オンナノコとオトコノコ」の関係がどう作用してくるのかのほうが本質なわけでー。
 「主人と使い魔」の描かれかたはまだ世界がつかめてないので難しいとは思いますけど、「オンナノコとオトコノコ」のほうの描かれかたは好きというか充分でしたねー。
 このまま続けていってほしいなと思えるくらいに。



『家守綺譚』 梨木香歩 著

 不思議な家、彼方と此方の境界にあるような庭をモチーフに書かせたら、梨木センセは当代随一なのではないかと思います。
 明治時代中期から後期っぽい時代背景や、民俗学に少しだけ足を踏み入れたような雰囲気とか、すごく好みです。

 でもって、やっぱりサルスベリ!

――木肌はすべすべとしていて撫でると誠に気持ちがよろしい。
腕を伸ばして頭の上ぐらいから手のひらを滑らすとするするつるつると、なんのつっかえもなくなめらかにしっとりと足下まで撫でることが可能である。
木肌の起伏も感触に興趣を添える。

 エロティーック!(≧▽≦)
 このサルスベリが主人公に懸想して、嫉妬したするんデスヨ!
 もうっ、すっげーカワイイ!

 ほかにも折々の季節を代表する草木が、人と変わらぬ存在で描かれてます。
 妖怪……とはちょっと違くて、もっと、こう……アニミズム的っていうか、古代信仰っぽいカンジがしますけども。
 もちろん妖怪も登場しますよー。

 今作では独特な筆致ですけど、オススメしたい作品です。

『めぞんdeぎゃらくしぃ 超わがままお嬢様アスカ登場!』 夢幻 著

 折込カラーが片面だけしか描かれないのは、この作品の仕様なんですね……。

 祐介が、それこそ寝ているときでもノアのことを考えずにはいられないような強い想いを持っているなら、もっと気持ちよく読めるような気がします。
 新キャラも……まぁ、祐介の友人と同じベクトルのキャラですし――。

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